芸能

若者が憧れる声優業 「1本1万5000円」の仕事にすらほとんどがありつけない

映画「劇場版『鬼滅の刃(やいば)』無限列車編が国内興行収入が歴代1位となったアニメに関わっても声優事務所の経営は厳しい(時事通信フォト)

映画「劇場版『鬼滅の刃(やいば)』無限列車編が国内興行収入が歴代1位となったアニメに関わっても声優事務所の経営は厳しい(時事通信フォト)

 ひとり売れっ子がいればビジネスとして成立するイメージがある芸能事務所と違い、大ヒットアニメの主要キャストに名を連ねる声優が所属していても、声優事務所は経営が立ちゆかなくなるものらしい。『鬼滅の刃』禰豆子役の鬼頭明里や『トロピカル~ジュ!プリキュア』キュアサマー役のファイルーズあいなど人気声優が多数、所属する声優事務所「プロ・フィット」が2022年3月プロダクション業務を閉鎖すると発表した。俳人で著作家の日野百草氏が、子供がなりたい職業の上位常連となった「声優」というお仕事と事務所の厳しい現実について元マネージャーに聞いた。

 * * *
「みなさんが思うほど声優事務所って儲からない、大手でも本業だけでは厳しいです」

 かつて声優事務所で営業を担当していた元マネージャー氏に連絡をとった。ほぼ10年ぶりの再会だがいまはIT関連企業のエンタメ系コンテンツに携わっている。担当する作品の絡みもあって、マネージャー業を離れた今も声優事務所との付き合いは多い。同じく筆者もこの業界に関わってきたため、氏を補足する形で本稿を進める。

「若手の人気声優がいても本業の稼ぎは思うほどではありません、必然的に事務所の上がりも少ないわけです」

 氏の語る「本業」とは所属声優のエージェンシー業務とマネジメント業務を指す。しかし人気声優がいるから儲かっている、人気アニメのメインを何人も抱えているから儲かっているというほど簡単ではない。

「まず声優事務所の取り分が少ない。一般的な芸能事務所なら半分、お笑い系の大手ならもっと持っていきます。でも声優事務所の多くはそこまで取らない。事務所や案件にもよりますが2~3割でしょう。手数料程度という場合もあります」

 一般的な芸能事務所の取り分は少なくて4割、多いと9割くらい持っていく。大手芸能事務所がいわゆる闇営業騒動の中、会社と所属芸人とでギャラの取り分の暴露合戦に発展したケースは記憶に新しいが、経営側の5対5から6対4という言い分と芸人側の1対9というのはおそらく、どちらの言い分も合っている。大物や売れっ子は前者、新人や売れない芸人が後者と推測するが、事務所に強く出られる芸能人は当然、取り分も高くなる。

「抜き分を多くできるのはタレントのギャラが高い、これに尽きます。芸能人と声優では最初から設定されたギャラが違いますからね、こればかりはどうしようもない」

関連記事

トピックス

若手俳優として活躍していた清水尋也(時事通信フォト)
「もしあのまま制作していたら…」俳優・清水尋也が出演していた「Honda高級車CM」が逮捕前にお蔵入り…企業が明かした“制作中止の理由”《大麻所持で執行猶予付き有罪判決》
NEWSポストセブン
「正しい保守のあり方」「政権の右傾化への憂慮」などについて語った前外相。岩屋毅氏
「高市首相は中国の誤解を解くために説明すべき」「右傾化すれば政権を問わずアラートを出す」前外相・岩屋毅氏がピシャリ《“存立危機事態”発言を中学生記者が直撃》
NEWSポストセブン
3児の母となった加藤あい(43)
3児の母となった加藤あいが語る「母親として強くなってきた」 楽観的に子育てを楽しむ姿勢と「好奇心を大切にしてほしい」の思い
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
過去にも”ストーカー殺人未遂”で逮捕されていた谷本将志容疑者(35)。判決文にはその衝撃の犯行内容が記されていた(共同通信)
神戸ストーカー刺殺“金髪メッシュ男” 谷本将志被告が起訴、「娘がいない日常に慣れることはありません」被害者の両親が明かした“癒えぬ悲しみ”
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン