国内

10万円給付の住民税非課税世帯「65歳以上世帯が7割」の現実

実施される10万円給付では、対象セグメントのひとつ「住民税非課税世帯」は、7割が高齢者(写真/JMPA)

実施される10万円給付、「住民税非課税世帯」は7割が高齢者(写真/JMPA)

 11月26日、政府は臨時閣議を開き、岸田内閣が打ち出した経済政策を裏付ける令和3年度の補正予算案の概要を閣議決定した。一般会計からの歳出は約35.9兆円で、補正予算としては過去最大となる。「18歳以下」「住民税非課税世帯」「困窮学生」への給付も盛り込まれたが、昨年の全国民への「10万円一律給付」と違って対象がしぼられていることから、生活に苦しむ一部の人たちには支援が届かないのではないかという懸念が広がっている。

 巨額の事務費がかかることも批判の対象となっているが、岸田文雄・首相は今回の経済対策について「国民に安心と希望を届けられる十分な内容」とする。ただ、給付の“線引き”については様々な議論がある。全国紙政治部記者が言う。

「補正予算案では、『18歳以下の子供への10万円相当の給付』のために新型コロナ対策の予備費約7000億円とは別に約1.2兆円の予算が組まれました。ただし、児童手当の基準に基づいて主たる生計者が年収960万円以上(扶養家族が配偶者と子供の2人の場合)だと給付対象から外れることになりました。都心で子供を2人も3人も育てていて出費がかさむ家庭でも、所得制限で給付対象にならないケースがある一方、共働きで夫婦それぞれが年収900万円といった家庭が給付対象になることなどについて“不公平だ”という声も聞こえてきます」

 そして、補正予算案でその18歳以下への給付を上回る1.4兆円の予算が組まれたのが「住民税非課税世帯への10万円給付」だ。住民税非課税となるのは生活保護の場合や前年の所得が自治体ごとに定められる基準を下回った場合などだ。経済対策の内容が11月19日に閣議決定された際には、こうした給付について〈新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、国民の生活は傷んでいる。雇用を守り、様々な困難に直面した方々が、速やかに生活・暮らしの支援を受けられることが重要である〉と位置づけられている。

 しかし、この給付が〈様々な困難に直面した方々〉に届くものなのか疑問視する向きもある。「住民税非課税世帯への給付金の場合、高齢層への支援に偏ってしまう可能性がある」とするのは、都内で開業する社会保険労務士だ。

 その懸念を裏付けるデータとして、厚生労働省の国民生活基礎調査(令和元年)がある。同調査では、調査に回答した世帯(全国2万2288世帯)の世帯主の年代と住民税課税額を整理したデータを公表している。それによれば、住民税課税世帯は全体の約77%。その数字に基づけば、今回の10万円給付の対象となる「住民税非課税世帯」は残りの約23%だと考えられる。厚生労働省世帯統計室国民生活基礎統計第二係によれば、「アンケート調査のため『無回答』などが含まれることなどから、残りがそのまま住民税非課税世帯とは言えない」とのことなので、おおよその数字となるが、前出の社労士はこう続ける。

「おおよその数字にはなりますが、注目すべきは、世帯主の世代ごとに住民税非課税世帯の割合が大きく違うことです。30~39歳が世帯主だと約9.9%、40~49歳だと約11.4%と若い世代では比較的少ないのですが、世帯主が65歳以上だと約34.9%、75歳以上だと約42.9%が住民税非課税世帯になり、年齢が高いほど住民税を課税されない世帯の割合が大きくなるのです。この調査に回答した人たちのデータから読み取れば、住民税非課税世帯のうち65歳以上が世帯主であるケースが約72%を占めるということになり、高齢層への偏りが見て取れます。

 住民税が非課税となる基準は自治体によっても変わってきますが、たとえば東京23区のような大都市の場合、働いて給与を得ている人だと単身者なら年収100万円、2人世帯であれば年収156万円を超えると、住民税が課税されてしまう。それに対して、公的年金等控除が使える年金受給者の場合、たとえば65歳以上で配偶者を扶養している場合、年金収入211万円までは住民税が非課税になる。こうした違いがあるから、住民税非課税世帯は高齢者が多いということになるのでしょう」

関連キーワード

関連記事

トピックス

24時間テレビで共演する浜辺美波と永瀬廉(公式サイトより)
《お泊り報道で話題》24時間テレビで共演永瀬廉との“距離感”に注目集まる…浜辺美波が放送前日に投稿していた“配慮の一文”
NEWSポストセブン
芸歴43年で“サスペンスドラマの帝王”の異名を持つ船越英一郎
《ベビーカーを押す妻の姿を半歩後ろから見つめて…》第一子誕生の船越英一郎(65)、心をほぐした再婚相手(42)の“自由人なスタンス”「他人に対して要求することがない」
NEWSポストセブン
ネット上では苛烈な声を上げる残念な人がうごめいている(写真/イメージマート)
ネットで見かける残念な人たち…「朝ドラにイチャモン」“日本人じゃないと思う”の決めつけ【石原壮一郎さん考察】
NEWSポストセブン
荒川区には東京都交通局が運行している鉄道・バスが多い。都電荒川線もそのひとつ。都電荒川線「荒川遊園地前」そば(2020年写真撮影:小川裕夫)
《自治体による移動支援の狙いは》東京都はシルバーパス4割値下げ、荒川区は実質0円に 神戸市は高校生通学定期券0円
NEWSポストセブン
阪神の主砲・佐藤輝明はいかにして覚醒したのか
《ついに覚醒》阪神の主砲・佐藤輝明 4球団競合で指名権を引き当てた矢野燿大・元監督らが振り返る“無名の高校生からドラ1になるまで”
週刊ポスト
韓国整形での経験談を明かしたみみたん
《鼻の付け根が赤黒く膿んで》インフルエンサー・みみたん(24)、韓国で美容整形を受けて「傷跡がカパッカパッと開いていた…」感染症治療の“苦悩”を明かす
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
「戦争から逃れてアメリカ移住も…」米・ウクライナ人女性(23)無差別刺殺事件、犯人は“7年間で6回逮捕”の連続犯罪者
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《眞子さんが見せた“ママの顔”》お出かけスリーショットで夫・小室圭さんが着用したTシャツに込められた「我が子への想い」
NEWSポストセブン
大ヒット上映を続ける『国宝』の版元は…(主演の吉沢亮/時事通信フォト)
《映画『国宝』大ヒット》原作の版元なのに“製作委員会に入らなかった”朝日新聞社員はモヤモヤ  「どうせヒットしないだろう」とタカをくくって出資を渋った説も
週刊ポスト
米マサチューセッツ州で18歳の妊婦が失踪する事件が発生した(Facebookより)
【犯人はお腹の子の父親】「もし私が死んだらそれは彼のせい」プロムクイーン候補だった18歳妊婦の失踪事件「# findKylee(# カイリーを探せ)」が最悪の結末に《全米に衝撃》
NEWSポストセブン
不倫の「証拠」にも強弱がある(イメージ)
「不倫の“証拠”には『強い証拠』と『弱い証拠』がある」探偵歴15年のベテランが明かすまず集めるべき「不貞の決定的証拠」
NEWSポストセブン
違法賭博胴元・ボウヤーが激白した「水原と大谷、本当の関係」
《大谷から26億円送金》「ヘイ、イッペイ。翔平が前を歩いてるぜ」“違法賭博の胴元”ボウヤーが明かした「脅しの真相」、水原から伝えられていた“相棒の素顔”
NEWSポストセブン