文学賞の主催者である北九州市の市立文学館の担当者はこう説明する。
「今回、両方の文章を比較して、確かに似たような文章が連なっていることは把握しました。参考文献の記載漏れがあったとしても、同文学賞は作品のテーマ、表現力を総合して評価した結果なので、賞の授与の撤回は考えていない」
今回の件は、情報へのアクセスがしやすい現代においては、まれなケースではないのかもしれない。
「宮内庁が異例の対応をしたのは、昨今、子供のコピペ問題が話題になることが多いからではないでしょうか」とは、さる教育ジャーナリスト。
「最近はインターネット上に読書感想文の手本が載っているサイトがあり、手軽に『コピペ』して自分の感想文とすることも可能。掲示板に宿題を投稿して匿名の相手に答えを出してもらって、書き写すだけの子供も増えています」
振り返れば、STAP細胞問題で話題となった小保方晴子氏の論文剽窃疑惑など、引用元を明示しなかったことで問題の色を濃くしたケースもあった。成蹊大学客員教授でITジャーナリストの高橋暁子氏が語る。
「コピペに慣れてしまうと思考を深める能力が確実に落ち、実生活で答えのない問題に直面した際に、柔軟に考えることができなくなる弊害もあるんです」
親や教育者がよりこの問題に向き合い、“子供を守る”姿勢が必要だろう。
※女性セブン2022年3月3日号
悠仁さまの作文で当該箇所がある部分(北九州市立文学館「第12回子どもノンフィクション文学賞」HPより)
別の人の文章に似ていると言われた当該箇所(北九州市立文学館「第12回子どもノンフィクション文学賞」HPより*拡大)
悠仁さまの作文で当該箇所がある部分(北九州市立文学館「第12回子どもノンフィクション文学賞」HPより)
別の人の文章に似ていると言われた当該箇所(北九州市立文学館「第12回子どもノンフィクション文学賞」HPより*拡大