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ノーマスクを声高に主張する親が増加 子供たちへの影響を危惧する声も

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、規模を縮小し、椅子の間隔が空け、全員がマスク着用して卒業式を行った(イメージ、時事通信フォト)

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、規模を縮小し、椅子の間隔が空け、全員がマスク着用して卒業式を行った(イメージ、時事通信フォト)

 新型コロナウイルス感染対策の基本は、ワクチン接種を済ませてもうがい、手洗い、マスク、ソーシャルディスタンスを保つ「新しい生活様式」が推奨されている。この新様式に合わせたくないと周囲を、子供やその通う学校まで巻き込んで「マスクをつけるな」と強要する行動に出る人たちが各地で悩みの種となっている。ライターの森鷹久氏が、各地の学校の卒業式で起きているマスクをめぐるトラブルについてレポートする。

 * * *
 ひんやりとした体育館内は静寂に包まれていたが、突如空間を切り裂くような甲高い声が響いた。

「子どもたちの成長に、責任取ってもらえるんですか?」

 中部地方のとある公立中学校ではこの日、卒業式が行われていた。本来であれば、全校生徒数百名に教員数十名、保護者数百名が集い、感涙の中で卒業生を送り出していたはずだが、新型コロナウイルスの感染対策で、体育館内には卒業生100名ほどとその保護者100名弱と、人数が限定された上での開催となっていた。我が子が卒業していく姿を感慨深く眺めていた、会社員の水野香織さん(仮名・30代)が振り返る。

「厳かな雰囲気の中、名前を呼ばれた卒業生が壇上に上がり、卒業証書を受け取っていたその時でした。体育館の後方入り口あたりから、女性や男性の大声が聞こえてきたんです。そこには、3人の親御さんと先生方が5~6人いて、館内に入る入らないで揉めていました。親御さん3人は、マスクをしていなかったんです」(水野さん)

 会場は騒然となり、一同の視線はこのトラブルの輪に集まっていたが、式は粛々と進行している。生徒や保護者に事前に配布されていた「式次第」には「消毒やマスク着用の徹底を」と明記されていたのだが、それを守らない親と教員たちの押し問答は続く。卒業生のほぼ全員がマスクを着用していたが、ステージ上に上がり卒業証書を受け取る直前から、壇上から降りるその瞬間まではマスクを外すよう指導されていたのは、子供たちの晴れ姿を親たちにしっかり見てほしいという配慮によるものだったが、ノーマスクの親たちは、子供たちに向かって声を荒げたという。

「壇上から降りる際、再びマスクを着用しようとする子供たちに向かって、マスクなんかしなくていい、と大声で叫ばれるんです。子供たちもみな動揺していました。その3人の親御さんは、普段から子供にマスクをさせないことで有名で、卒業式でも何か起きるんじゃないかと噂になっていました。感動に包まれるはずだった式が台無しになり、子供たちに申し訳ない気持ちでいっぱいです」(水野さん)

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