2018年1月、弾道ミサイル発射を想定した避難訓練で地下鉄構内へ避難する参加者ら(時事通信フォト)

2018年1月、弾道ミサイル発射を想定した避難訓練で地下鉄構内へ避難する参加者ら(時事通信フォト)

 他方、東京の地下鉄はキエフと比べると格段に浅い。東京の地下鉄が核シェルターとして活用できるのかは疑わしい。

 それでも東京の地下鉄が核シェルターとして利用できるという噂が絶えないのは、交通局の担当者が言及した備蓄倉庫の存在があるからだ。また、大江戸線の光が丘駅は陸上自衛隊の練馬駐屯地から近く、有事の際に自衛隊が大江戸線を使って移動する訓練も実施されたこともある。

 六本木駅と清澄白河駅の備蓄倉庫は交通局が管理しているのではなく、東京都福祉保健局が所管している。交通局は備蓄倉庫の中を把握していないという。そこには、何がどのぐらい備蓄されているのか?

「東京都は地震や火事を想定して、東京都墨田区の都営白鬚東アパートの敷地内や立川市の立川地域防災センターなど都内20カ所に備蓄倉庫を設置しています。そこには220万人が3日間、最低限の生活を送れるように非常食・水・紙おむつなどの衛生用品などを備蓄しています。大江戸線の清澄白河駅や六本木駅に備蓄倉庫があるのは、地下鉄構内を避難場所として想定しているからではありません。あくまで、空いているスペースを有効活用するという観点からです」(東京都福祉保健局生活福祉部計画課)

 昨今、コロナで消毒液などの衛生用品も備蓄の重要性は高まっている。しかし、アルコール消毒液は消防法の関係で備蓄することが難しいという。都営地下鉄が備えをしていることは、都民や東京都に在勤・在学者にとって心強い。それは東京メトロも同様のようだ。

「東京メトロでは委託駅を除く171駅に、約10万人分の非常用飲料水、アルミ製簡易ブランケット、簡易マット、携帯用トイレ・救急用品・簡易ライトを配備しています。このほか、帰宅困難者受入れマニュアルを策定し、関係機関とも連携して帰宅困難者対策訓練等を実施しています」(東京メトロ広報部)

 東日本大震災の発生時、東京は震度5の揺れに襲われた。各所で停電や断水が起き、オフィスや学校から自宅へと帰宅しようと考えた人も少なくない。しかし、自宅まで徒歩で帰宅するのは距離的に難しかったために、一時的に近隣の駅へ退避した人もいるのではないか?

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