菅グループを含めた反岸田派連合は80人規模に
新聞各紙は伊吹発言を「細田議長への苦言」などと報じたが、伊吹氏がこのタイミングで岸田首相や細田議長に厳しい言い方をしたのには別の事情がありそうだ。
表面上は「無風状態」に見えても、自民党内では水面下で主流派と反主流派の各派が“議員スカウト合戦”を活発化させている。
この日も、二階派から安倍内閣で首相補佐官や一億総活躍相を務めた衛藤晟一氏が退会し、すったもんだを経て同派から安倍派に転じた片山さつき・元地方創生相に続いて2人目の退会者が出たばかり。二階派は会長の二階俊博氏が幹事長を退任して以来勢いが落ちているだけに「安倍派が露骨に手を突っ込んできた」(同派ベテラン)との不満が高まっている。
だが、反主流派もやられっぱなしではない。岸田首相を支える「主流派」の麻生派からはこの2月に同派会長代理だった佐藤勉・前総務会長ら4人が脱会、その佐藤氏は4月6日夜に二階派幹部の武田良太・元総務相らと会談し、岸田首相の政敵である菅義偉・前首相を中心とする「菅勉強会」=事実上の反岸田派閥連合の立ち上げについて協議した。
佐藤氏は武田氏の他にも、二階氏側近の林幹雄・元幹事長代理、旧石原派を継いだ森山裕・総務会長代理、菅グループ「ガネーシャの会」のまとめ役、坂井学・元官房副長官らと会合を重ね、菅勉強会旗揚げの準備を着々と進めているとされる。
「菅勉強会は二階派、菅グループ、森山派、旧石破派など70~80人規模になる。役員には佐藤さんを林さんと武田さん、森山さんらの顔触れが固まりつつある」(二階派議員)
そんな折も折、飛び出した伊吹発言は反岸田勢力決起の“鬨の声”に聞こえなくもない。