ライフ

沖縄本土復帰50周年 昭和、平成、令和と皇室で受け継がれる沖縄への祈り

「沖縄には、今なお様々な課題が残されています」と、陛下は沖縄の今後についても言及された(宮内庁提供)

「沖縄には、今なお様々な課題が残されています」と、陛下は沖縄の今後についても言及された(宮内庁提供)

 沖縄県が本土に復帰してから、5月15日で50年。その節目に合わせて行われた「沖縄復帰50周年記念式典」に天皇皇后両陛下がオンラインで出席された。

「大戦で多くの尊い命が失われた沖縄において、人々は『ぬちどぅたから』の思いを深められたと伺っています」

 天皇陛下は式典で“命こそ宝”という意味の方言を用いながら、沖縄の人々へお言葉を寄せられた。

皇居・御所(東京・千代田区)と沖縄・宜野湾市をつなぎ、オンラインで出席された(撮影/JMPA)

皇居・御所(東京・千代田区)と沖縄・宜野湾市をつなぎ、オンラインで出席された(撮影/JMPA)

「忘れてはならない4つの日」の1つに、沖縄慰霊の日(6月23日)を掲げるほどに、皇室にとって沖縄は思い入れの深い場所でもある。次ページからは、昭和・平成・令和と受け継がれてきた、沖縄への「祈りの歩み」を振り返る。

【昭和天皇・香淳皇后】

●1972年5月「沖縄復帰記念式典」

●1972年5月「沖縄復帰記念式典」

 いまから50年前の1972年5月15日、東京・日本武道館で行われた「沖縄復帰記念式典」に出席された昭和天皇と香淳皇后。沖縄訪問を悲願としていた昭和天皇だったが、体調を崩されその願いは叶わず。「祈りの旅」は上皇陛下へと受け継がれることとなる。

【上皇ご夫妻】

●1975年7月 初めての沖縄県ご訪問

●1975年7月 初めての沖縄県ご訪問(時事通信フォト)

「たとえ石を投げられても行きます」と語った

「たとえ石を投げられても私は行きます」と沖縄行きを決めたという(共同通信社)

 本土返還から3年後に上皇ご夫妻が初めて沖縄を訪問された。戦争での遺族も多く複雑な感情の残る時代だったが、ご夫妻は“たとえ石を投げられたっていい”と沖縄入りを決めたという。「ひめゆりの塔」で献花された際、過激派の青年がご夫妻に向かって火炎瓶を投げつける事件があったが、退避され事なきを得、以後も現地の施設訪問を続けられた。

●1976年1月 2度目の沖縄県ご訪問

●1976年1月 2度目の沖縄県ご訪問

 前年に「ひめゆりの塔事件」がありながらも、ご夫妻は翌年も続けて沖縄入りを果たされた。写真は沖縄海洋博覧会の閉会式の折に、伊江島芳魂之塔で黙祷を捧げられた際のもの。

●1987年10月 「沖縄平和祈念堂」ご訪問(時事通信フォト)

●1987年10月 「沖縄平和祈念堂」ご訪問(時事通信フォト)

 沖縄・糸満市にある「沖縄平和祈念堂」を訪問され、歓迎の人たちにお言葉をかけられるご夫妻。10年にわたって訪問を続けられ、現地の人の受け入れ方にも変化が見て取れる。

●1987年10月 昭和天皇のお言葉を代読(時事通信フォト)

●1987年10月 昭和天皇のお言葉を代読(時事通信フォト)

「沖縄平和祈念堂」を訪問された際、体調を崩され訪問が叶わなかった昭和天皇のお言葉を、皇太子(当時)として代読された。

●1993年4月 天皇として初の沖縄県ご訪問(時事通信フォト)

●1993年4月 天皇として初の沖縄県ご訪問(時事通信フォト)

(時事通信フォト)

首里城(那覇市)を訪れ、正殿内の「御差床(うさすか)」ご覧に(時事通信フォト)

 平成の御代がわりを経て、天皇皇后として初めて沖縄を訪問されたご夫妻。名護厚生園(名護市)で入園者に声を掛けられたときの写真や首里城(那覇市)を訪れ、正殿内の「御差床(うさすか)」と呼ばれる御座所をご覧になったときの写真がある。

●2012年11月 国立沖縄戦没者墓苑にて(時事通信フォト)

●2012年11月 国立沖縄戦没者墓苑にて(時事通信フォト)

 80才近くになられても沖縄訪問を続けられたご夫妻。糸満市にある「国立沖縄戦没者墓苑」を訪れ、犠牲者に白菊の花をささげられた。遺族らには「お体を大切に」などのお声をかけられたという。

●2018年3月 平成最後の沖縄訪問(時事通信フォト)

●2018年3月 平成最後の沖縄訪問(時事通信フォト)

 平成の天皇皇后として最後となった沖縄訪問は退位の約1年前の2018年3月のこと。退位の直前まで訪問を続けられ、ご夫妻の沖縄訪問は計11回にも及んだ。

関連記事

トピックス

国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
国民に「リトル・マリウス」と呼ばれ親しまれてきたマリウス・ボルグ・ホイビー氏(NTB/共同通信イメージズ)
ノルウェー王室の人気者「リトル・マリウス」がレイプ4件を含む32件の罪で衝撃の起訴「壁に刺さったナイフ」「複数の女性の性的画像」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン