岸田文雄・首相の看板政策「新しい資本主義」を牽引するのは、女優・菊池桃子との結婚で世間を驚かせた新原浩朗・内閣審議官。総理の肝いり政策に重用された最側近に、国家公務員としては不適切ととられる問題が起きていた。ジャーナリスト・赤石晋一郎氏がレポートする。
* * *
その宴会が開かれたのは、6月8日18時からだった。内閣府本府庁舎の2階に岸田文雄首相の“目玉政策”である「新しい資本主義実現本部事務局」が設置されている。そのオフィスで「打ち上げ」と称される飲み会が開催されたのだ。筆者はこの宴会の写真数枚と録音テープを入手した。
冒頭、宴会はこのような挨拶からスタートする。
「昨日付けで、新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画が閣議決定されました。異論のないカタチ、綺麗なカタチで閣議決定がされました。総理も大変喜んでおられました」
強い口調で挨拶を述べる男―世間では“菊池桃子の夫”として知られる新原浩朗・内閣審議官である。東大経済学部卒で、1984年に経済産業省(当時は通商産業省)に入省したキャリア組で、経済産業政策局長などを務めたエリート官僚だ。
宴会に参加したのは新原氏が事務局長代理を務める「新しい資本主義実現本部事務局」で働く官僚たち。事務局内で仕事をするスタッフはオフィスで飲み、自宅作業などをするスタッフはオンラインで参加した。
問題となったのは、新原氏の挨拶に続けて事務局幹部が発言した次のシーンだった。
「経団連の十倉雅和・会長からワイン2本をいただいてます。みなさんお楽しみいただければと思います!」