〈コの先も ロくな策なし ナに打つの〉と、政府のコロナ対策を批判し、〈お前まで 首を振るのか 扇風機〉と家庭での立場のなさを嘆く句。さらには〈昼食は 妻がセレブで 俺セルフ〉と、2006年のサラリーマン川柳大賞作と同じものまで見受けられるが、冒頭の句のように組員の経済状況、健康状態を詠んだ句が目立つ。
〈リモートで 会議したいが 俺、無職〉〈割り箸が やたらと折れる食べ放題〉〈詰め将棋 コロナ時間で 腕上げた〉〈くしゃみして 入れ歯とマスクが よくずれる〉
いまの組員が置かれている状況について、山口組分裂抗争を取材するフリーライターの鈴木智彦氏が語る。
「山口組の高齢化は深刻なものになりました。六代目山口組の司忍組長は80歳になり、高山清司若頭も今年75歳を迎えます。神戸山口組の井上邦雄組長も74歳です。当然、子も高齢化していて、この分裂抗争でヒットマンとしてかり出された組員は68歳や76歳とこれまでの抗争では考えられない状況になっています。警察の規制は抗争以降非常に厳しくなり、コロナ禍もあってシノギ(暴力団の稼ぎ)もうまくいかない。ヤクザに入るメリットがなく、組織の新陳代謝が行なわれていない。分裂抗争がどういう結末を迎えるかはわかりませんが、この7年にわたる分裂抗争で山口組そのものが弱体化したことは間違いないでしょう」