中村さんは「様子見」をすすめる。
「現状の治験データでは接種効果が劇的に改善するとは思えません。実際に接種が始まってみなければ本当のところはわからない。アメリカはワクチンが完成したらすぐ承認の方針なので、その結果がよければ2価ワクチンを選択肢に入れてもいいかもしれない。
そもそもワクチンは追加接種するごとに一時的に効果は上がりますが、その上昇幅は徐々に低くなります。今後は接種後に高い確率で発生する平均2日の発熱などの副反応と、感染後に平均4日寝込む感染リスクを天秤にかけることになる。重症化に大きな不安を持つ人は打てばいいし、若年で感染する可能性が低い人は2回目以降はどちらでもいいと思います。ちなみに私は4回目接種にはそこまでメリットがあるとは思っていません」
4回目接種に異を唱える医療従事者は少なくない。都内の内科医が打ち明ける。
「医療従事者なので4回目を推奨されましたが、打っていません。現行のワクチンはオミクロン株にほぼ効果がないとみているし、ウイルスは今後も変異するから2価ワクチンにも期待できない。周囲にも4回目までは“社会の空気”に合わせて打ったものの、その後の接種は見送るという医師が多いです」
久住さんは“右へならえ”の時期は過ぎたと指摘する。
「政府の指示は一貫して『なるべく多くの人が打つべし』ですが、もはや全員が同じように考える必要はない。高齢者や基礎疾患のある人、医療従事者や介護施設スタッフは追加接種を検討すべきかもしれませんが、重症化リスクの少ない人は感染したら解熱鎮痛剤で対応する方法もある。全員に同じやり方を求めるのではなく、個々のリスクに応じて対策を変えるべきです」(久住さん)
変異するコロナにどう対峙するか。4回目の接種直後に感染した岸田首相はぜひ自らの体験を生かしてほしい。
※女性セブン2022年9月15日号