国内

犬を連れた街頭募金活動にトラブル増 あわれむ前に確認すべきこと

犬を連れたホームレス。小銭を入れてもらうための容器も(dpa/時事通信フォト)

犬を連れたホームレス。小銭を入れてもらうための容器も(イメージ、dpa/時事通信フォト)

 物乞いがビジネスとなっている発展途上国では、病気やケガで動けない子供たちがレンタルされるのだという。かわいそうな子供を持つ親、という設定で街頭に出て物乞いをするためだ。現代日本ではさすがにレンタルの子供はいないが、街頭募金の集金率をよくするために犬や猫、ときにシニア犬や病気の犬を利用する人たちが存在する。俳人で著作家の日野百草氏が、一部の心ない人たちによる、かわいそうな動物を伴う募金活動とその闇についてレポートする。

 * * *
 すべてが詐欺ではない。すべてが違法でもない。大半が真っ当な団体、かもしれない。

 しかし動物たちのためでなく、一部の人間の生活費や遊興費のために行われる募金が存在することは事実である。

 神奈川県のターミナル駅、30度をゆうに越える猛暑の中、その大型犬はとてもいい子にしていた。

 これだけの暑さ、パンティング(舌を出してハァハァと呼吸する行為)は無理もない。簡易な布の上で寝そべって、よだれを垂らしながら目を閉じている。雑踏からは「かわいい」「大きい」と声が上がる。ごくまれに、傍の募金箱にお金を入れる人もいる。

 犬と一緒にいる女性は、ずっとスマホとにらめっこ。募金箱は直置き(地域によっては違反)、大きなボード(看板、大きさにもよるが、これも地域によっては違反)には団体の活動について写真入りで綴られていた。

 こうした昔からよくある駅前の犬や猫を連れての募金活動、近年はターミナル駅を中心に増えている。時期にもよるが犬や猫を連れた団体による募金活動があちこちで見受けられる。とくに増えたのが人間と犬とペアで座り込むような小さな活動だろうか。

 関東近郊、別の日の別のターミナル駅、こちらも人間一人に犬一匹を連れた募金だ。若い女性に話しかけてみると、アジア系の外国人だった。筆者に「募金お願いします」と座ったまま上目遣いで言う。こちらもスマホとにらめっこ、少し詳しく話を聞こうとすると険しい顔で「わからない、ここに聞いて」とパネルを指さして言う。筆者はあえて道路使用許可証の有無を尋ねてみた。すると彼女は座ったまま今度はこちらに背を向けて、先ほどまでの動画視聴ではなくスマホで連絡を取り始めたようだ。こうした外国人や一部の若者はボランティア職員だけでなく、「募金番」として雇われている場合がある。犬は中型犬で、少々ぐったりした様子で寝そべっていた。

 さらに日を改めて再び神奈川県、犬を連れた募金番が警察と揉めている。犬は二匹の中型犬でぐったりだ。かわいそうに、布切れ一枚敷いていないため、犬は地べたで寝っ転がっている。こちらも募金箱は地べたに直置き、募金を呼びかける看板も複数枚あり大きすぎる。それにしてもこの二匹の犬は水をちゃんと貰えているのだろうか、撤収を始めたので犬たちもようやくお役御免、それにしても何時間、この場所に留め置かれていたのだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン