「路地から幹線道路に出る際など、〈止まれ〉の標識のあるところでは、停止線で地面に片足をついて、時速0kmの状態で、周囲の安全を確認すること。自転車は一旦止まるとこぎ出すのが重くなるため、つい止まらずに進みがちですが、これも赤切符の対象です」
関さんによれば、自転車事故の発生件数をみると、車の運転者からの死角になりやすい右側通行の方が、件数が多い。
「私は日頃から、自転車が左側通行を厳守すれば、自転車交通事故の死者数を半減できるはずだと提言しています。左側を走る車から見ると、右側通行で逆走してくる自転車は建物や駐停車車両の死角に入ってしまう。自分の命を守るためにも、自転車は左側通行を徹底しなければなりません」(疋田さん)
日本は世界でも珍しく、自転車が車道と歩道の両方を走ることが許されている。だが、自転車が歩道を走ることができるのは、標識等で通行が許可されている場合や「自転車の運転者が高齢者や子供などの交通弱者の場合、または交通量や工事などの理由でやむを得ず歩道を通行するしかないとき」といった例外的なケース。この場合も、(車道寄りを)徐行せずに歩道を走行すると違反になる。
ここでいう「徐行」とは、“いつでも停止できるスピード”の、およそ時速7.5kmが目安とされている。一般的ないわゆるママチャリが時速12kmほどなので、普通の速度で歩道を走ることはほぼ不可能。自転車で普通のスピードで走りたければ、「車道」の「左側」だけが許されるということになる。自転車活用推進研究会理事長の小林成基さんは、いまだに、自転車は歩行者の仲間だと勘違いしている人が多いのが問題だと語る。
「徐行すれば歩道を走ることが一応は許可されているのは、1960年代に交通事故の死者数が増えた際、緊急避難的に自転車の歩道走行を認めた名残です。
歩行者優先の原則があるため、歩道で警音器(ベル)を鳴らして前を歩いている歩行者に道を空けさせるのは重大な違反。“〈警笛鳴らせ〉の標識のある、左右の見通しのきかない交差点”“ブレーキがきかなくなってしまった”など、道路交通法で許された場面でしか、ベルを鳴らしてはいけません」(小林さん)
原付バイクを運転するつもりで、自転車をこぐ。まずは、気を引き締めよう。
※女性セブン2022年12月8日号