米国で「RS」が猛威
さらにコロナとインフルの同時感染のリスクも浮上している。イギリスの調査では、同時感染した患者は、コロナ単独の感染より2.4倍も死亡率が高かったとされる。
「38℃の発熱があり検査した私の患者さんはコロナとインフルの両方が陽性でした。若い方なので軽症で済みましたが、これがもし高齢者だったら、重症化、死亡のリスクが高まります」(上医師)
今冬は「インフル+コロナ」の“フルロナ”到来に加え、さらに「もう一つ」の脅威が迫る。「RSウイルス」だ。今秋に米国で大流行し、感染による入院率は例年の10倍となった。
そもそもどんなウイルスなのか。感染症学が専門の二木芳人医師(昭和大学客員教授)が言う。
「日本でも去年の夏頃に流行った、主に子供がかかる小児科領域の病気です。風邪によく似た症状で、乳幼児期から繰り返し罹患します。就学前に気管支炎などでRSにかかると後は軽症で済みますが、先天的な免疫不全がある人や乳幼児は重症化することもあります」
健康な大人はほとんど心配ないが、高齢者は注意すべきポイントがある。
「RSは風邪に近い症状ですが、高齢者が危険なのは脱水。喉の痛みなどから食べ物や水分を控えたり、発熱による水分消耗で引き起こされる脱水は、放置すれば命にかかわります」(勝田医師)
RSウイルスの流行で懸念されるのが、かつてない「医療逼迫」だ。米国では全米の小児科病床の4分の3近くがRS患者で埋まっているという。
日本でもコロナ、インフル、RSの3つが同時流行する“トリプルデミック”の可能性はあるのか。勝田医師が言う。
「十分あります。さらに発熱した患者がどのウイルスかは検査しないと判断できないため、医療は渾然一体となって対応に追われることになる」