芸能

天下を取った女性芸人・山田邦子が語る「テレビが求心力を失った理由」と「傷つけないお笑いへの疑問」

山田邦子

山田邦子が今と昔のテレビ界について語った

 生活に欠かせない“最強メディア”として長らくその頂に君臨していたテレビはいま、かつての輝きを失ってしまった。インターネットの隆盛などで「テレビ離れ」が指摘されて久しい。2019年にはインターネット広告費がテレビを超え、芸能人の中にもテレビを離れYouTubeなどに活路を見出す人が現れている。テレビは栄光を取り戻せるのか──。

 1980〜1990年代のテレビ黄金期にはレギュラー番組14本を抱え、睡眠時間は各局の専用部屋で仮眠をとる程度、NHKの好きなタレント調査では8年連続1位という、芸能界の頂点を極めた山田邦子(62才)。昨年末の『M-1グランプリ』(テレ朝系)の審査員を務めたことも大きな話題を呼んだ。“天下を取った唯一の女性芸人”と呼ばれる山田邦子に、今と昔のテレビ界について話を聞いた。

 * * *
 かなり賛否ありましたね。私の中では普通のことだったけど1組目の審査の点数がほかの人より辛めだったらしくて、Twitterでも直接非難の言葉をもらいました。老害とか死ねとか、中にはカチンとくるものもありましたけど、でも攻撃してくる人って少なくとも番組を見てくれているわけで、見ていないよりずっといいんです。そういう気持ちで返信していたら、私をフォローしてくれる人もどんどん現れて。それだけでも出た意味があったと思いました。

 昔はもっとひどくて、街を歩くと「ブス!」って当たり前のように言われましたからね(笑い)。でもまあ時代ですよね。それこそ『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系・1981年~1989年)ではセクハラパワハラなんでもありで、私も数々の男性芸人の股間を見たものです(笑い)。女性芸人は私ひとりでしたから、懺悔室で水を被った男性陣が、全員お風呂から上がるのを待たないといけなかったり……。でもその分、メイクさんに優しくしてもらったり、得難い体験もさせてもらいました。

〈押しも押されもせぬ売れっ子芸人となった後も、視聴率問題はついてまわり、スポンサーや上層部などによるさまざまな思惑が押し寄せたという。やりたいことが制約されたとき、彼女はどう乗り越えてきたのか?〉

 説得したり、流したり、反発したり、その合わせ技だったり、考えつくことは全部したと思います。でもいちばん覚えているのは「じゃあ終わりですね」って番組を終わりにしたことですね。『邦ちゃんのやまだかつてないテレビ』(フジテレビ系・1989年~1992年)もそうですけど、視聴率が悪くないのに終わる番組は、そういうことがいくつもありました。

 逆に『ギブUPまで待てない!!』(テレビ朝日系・1987〜1988年)みたいに、こちらが続けたくても上層部が打ち切りを決めることもありました。

 いまならテレビを盛り上げるための嘘だったとわかりますけど、『8時だョ!全員集合』(TBS系・1969年~1985年)と『ひょうきん族』はどちらも土曜の夜8時から放送していたので“土8戦争”っていわれたり、不仲説もありましたね(苦笑)。

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