ライフ

トクホや機能性表示食品には信頼度が低いものも 明確な根拠なくても「届け出れば認可される」現状

(写真/PIXTA)

信頼度が低い健康食品は多いので要注意(写真/PIXTA)

「血圧の高いかたに」「いつまでも歩けるように」「ひざの曲げ伸ばしが気になるかたへ」──日本人は「サプリメント」が大好きな国民だと言える。厚生労働省の国民生活基礎調査」によれば、サプリメントなどの健康食品を摂取している人の割合は、男性21.7%、女性28.3%。そのうちもっとも利用者が多いのが、50代女性の37.6%だ。のめば体の不調から解放されるかのように喧伝されているが、本当なのだろうか。

 昨年4月頃、人気タレントがトーク番組で愛飲していることを明かしたことから話題になり、多くの芸能人がその効果を絶賛して大ヒットを記録した乳酸菌飲料がある。SNSでもこの商品について「長年の便秘が治った」「夫にイライラしなくなった」などと評判が広がった。爆発的人気になり、いまも公式サイトでの購入はできず、品薄状態が続いている。

 この健康飲料は、健康食品の中でも「機能性表示食品」に該当する。これはメーカーが独自で調査した科学的根拠を基にした機能性について消費者庁に届け出た内容が表示された食品だ。パッケージには〈一時的な精神的ストレスがかかる状況での「ストレス緩和」「睡眠の質向上」機能〉などがあると記されている。健康食品にはこのほかにも、国が個別に許可する「特定保健用食品(トクホ)」や、国の規格基準に適合した「栄養機能食品」などがある。

 東京大学非常勤講師で『「健康にいい」ものばかり食べると早死にします』などの著書がある左巻健男さんが解説する。

「トクホや機能性表示食品が裏づけとしている論文を精査すると、被験者の数が少なかったり追跡が甘かったりと、信頼度が低いものが多い。明確な根拠がなくとも、届け出れば簡単に認められてしまうのが現状なのです。特に機能性表示食品はデータを添えて申請すれば、それほど厳しい審査を経ずに通ってしまう。私たちが思っているよりずっとゆるいのです」(左巻さん・以下同)

 腸活がブームになり、乳酸菌により腸内環境を整えて健康に寄与するというアプローチをうたう商品が増えているが、左巻さんはこれを「プラセボ効果の方が強いのではないか」と分析する。つまり、飲むことで何となく体調がよくなった気がしているだけの可能性があるということだ。

「乳酸菌飲料には果糖ブドウ糖などが多く含まれています。これらの糖はすぐに吸収されてエネルギー源になるので、それによって元気が出たり、ストレスが緩和されたように感じている可能性があります」

 そもそも、左巻さんは「乳酸菌の働きを過大視している」と話す。

「乳酸菌が生きて腸まで届いたところで、定着することはあり得ない。ヨーグルトも同様で、食べると腸内環境がよくなるといわれますが、実は確たる証拠はないのです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
3年前に離婚していた穴井夕子とプロゴルァーの横田真一選手(Instagram/時事通信フォト)
《ゴルフ・横田真一プロと2年前に離婚》穴井夕子が明かしていた「夫婦ゲンカ中の夫への不満」と“家庭内別居”
NEWSポストセブン
二刀流かDHか、先発かリリーフか?
【大谷翔平のWBCでの“起用法”どれが正解か?】安全策なら「日本ラウンド出場せず、決勝ラウンドのみDHで出場」、WBCが「オープン戦での調整登板の代わり」になる可能性も
週刊ポスト
高市首相の発言で中国がエスカレート(時事通信フォト)
【中国軍機がレーダー照射も】高市発言で中国がエスカレート アメリカのスタンスは? 「曖昧戦略は終焉」「日米台で連携強化」の指摘も
NEWSポストセブン
テレビ復帰は困難との見方も強い国分太一(時事通信フォト)
元TOKIO・国分太一、地上波復帰は困難でもキャンプ趣味を活かしてYouTubeで復帰するシナリオも 「参戦すればキャンプYouTuberの人気の構図が一変する可能性」
週刊ポスト
世代交代へ(元横綱・大乃国)
《熾烈な相撲協会理事選》元横綱・大乃国の芝田山親方が勇退で八角理事長“一強体制”へ 2年先を見据えた次期理事長をめぐる争いも激化へ
週刊ポスト
2011年に放送が開始された『ヒルナンデス!!』(HPより/時事通信フォト)
《日テレ広報が回答》ナンチャン続投『ヒルナンデス!』打ち切り報道を完全否定「終了の予定ない」、終了説を一蹴した日テレの“ウラ事情”
NEWSポストセブン
青森県東方沖地震を受けての中国の反応は…(時事通信フォト)
《完全な失敗に終わるに違いない》最大震度6強・青森県東方沖地震、発生後の「在日中国大使館」公式Xでのポスト内容が波紋拡げる、注目される台湾総統の“対照的な対応”
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
《名古屋主婦殺害》「あの時は振ってごめんねって会話ができるかなと…」安福久美子容疑者が美奈子さんを“土曜の昼”に襲撃したワケ…夫・悟さんが語っていた「離婚と養育費の話」
NEWSポストセブン
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
《悠仁さまとの差》宮内庁ホームページ“愛子内親王殿下のご活動”の項目開設に「なぜこんなに遅れたのか」の疑問 皇室記者は「当主の意向が反映されるとされます」
週刊ポスト
優勝パレードでは終始寄り添っていた真美子夫人と大谷翔平選手(キルステン・ワトソンさんのInstagramより)
《大谷翔平がWBC出場表明》真美子さん、佐々木朗希の妻にアドバイスか「東京ラウンドのタイミングで顔出ししてみたら?」 日本での“奥様会デビュー”計画
女性セブン