外国人も様々で一概には言えないかもしれないが、文化面の違いは確かにある。
「彼らのような外国人が日本の異常で潔癖な接客を変えてくれるかもしれない」
私たち日本人の「当たり前」は海外から見たら「異常」なのかもしれない。「100円であってもお客様なのだから最上級のおもてなしを」は「いい話」のように聞こえるが、それは提供する側の心がけの問題であり、客が求めることではないようにも思う。例えば、居酒屋ではないが「スマイル0円」は提供する側の心がけであり、客が「無料で笑顔を作れ」と強いる話ではない。こうした慣習もまた、この国の失われた30年の遠因だろうか。
そして彼もまた転職を考えている。外食チェーンのダイナミズムに魅力を感じて入社したが、30代で他に転職先のあるうちに、とのこと。今回、少し一方的な感もあるが、残念ながら本当に現役、OB含め非難ばかりであった。労基の公表や各ユニオンの報告含め、居酒屋チェーン各社ともあり得ない事案ばかり、もはやビジネスモデルそのものに限界が来ているのかもしれない。実際、居酒屋チェーン大手は他業種に鞍替えを始めて久しい。
居酒屋チェーンは安価に酒を、食事を楽しめる場所として親しまれてきた。しかしその「安価」の影には多くの労働者が消費されてきた現実がある。急激な少子化、人口減に向かうこの国にあって、もはや労働者は選ばれる側ではなく選ぶ側となりつつある。これから居酒屋チェーンは「選んでもらう」努力をしなければならない。そして、これまでの「積み重ね」を考えれば、それは他の業種以上の努力が必要となるだろう。
【プロフィール】
日野百草(ひの・ひゃくそう)日本ペンクラブ会員。出版社勤務を経てフリーランス。社会問題、社会倫理のルポルタージュを手掛ける。