今年の4月22~23日に行われた東京レインボープライド主催のパレードの様子(共同通信社)
■「東京レインボープライド」とは何か
東京レインボープライドとは、性的少数者が差別や偏見にさらされず、前向きに生活できる社会の実現を目指した団体やイベントの総称。2012年より毎年4月か5月に、東京都渋谷区代々木公園周辺で団体名を冠したパレードが開催されており、今年は約24万人が参加した。こういったパレードが初めて日本で行われたのは、1994年8月28日のことで、「第1回レズビアン&ゲイパレード」とされた。その後、中断などを繰り返し、現在のように定期開催されるようになった。性社会・文化史研究者の三橋順子さんが説明する。
「最近では、東京だけでなく、地方でもこういったパレードを開催する自治体が増えてきました。2010年代に青森で行われたときは参加者が3人でしたが、5年で200人を超えました」
性的マイノリティへの偏見をなくす活動として気軽に参加できることから、年々注目が集まっている。
■同性同士での結婚
2000年にオランダで同性婚が認められてから、約2割の国と地域で同性婚が認められるようになった。6月4日に放送された『新婚さんいらっしゃい!』(朝日放送テレビ)に出演した男性同士のカップルもフランスで結婚したという。アジアでは2022年に台湾とタイで同性婚が認められた。
「現在の日本で同性婚は認められていませんが、今後、各種裁判所で同性間の結婚ができないことについて違憲判決が相次ぎ、それに対応して法制度が変わることも大いにありえます」(森山さん・以下同)
■政治家の差別発言が繰り返されるのはなぜか?
今年2月3日、荒井勝喜首相秘書官(55才)が、首相官邸でオフレコを前提とした取材を受けた際、「(同性婚カップルが)隣に住んでいたら嫌だ。見るのも嫌だ」などと発言。同性婚の合法化に関しても、「認めたら、日本を捨てる人も出てくる」と語った。これを受けて翌日、岸田文雄首相は荒井氏を即時更迭した。こうした政治家の差別発言は枚挙にいとまがないが……。
「人権感覚が欠如しているのでしょう。周りの支援者にそういった意識を持った人が多いのかもしれません」
性的マイノリティへの差別発言をする政治家は過去で意識が止まっている。そういう人物を選挙で選び続けたことが、性的マイノリティに関する法制度の遅れにつながっているのかもしれない。
■橋本愛のSNS投稿は何が問題だったのか
今年3月、女優の橋本愛がインスタグラムで「入浴施設や公共のトイレは体の性に合わせて区分することがベター」という趣旨のメッセージを投稿。これに対して、性差別発言だと批判が殺到した。
橋本愛
「トランスジェンダーの人々の性別移行のあり方はさまざまですが、“体の性”という言葉はそれらの多様なあり方に対応していません。まして入浴施設や公共トイレの使用ルールを、“体の性”という概念に基づいて決めることは、トラブルを引き起こします。トランスジェンダーを、“生まれたときの性別”の人間として扱ってしまう可能性がある点でも問題です。私としてはこの件を炎上の事例として片づけず、少しでも多くの人が性の多様性について正しく考えるための機会としてほしいと思います」