■バラエティ番組でのキャラクターの問題点
1998年にテレビ番組『とんねるずのみなさんのおかげです』(フジテレビ系)のコントに登場したキャラクター・保毛尾田保毛男は、お笑いタレント・石橋貴明が同性愛者とみられる男性に扮したもの。当時は人気キャラクターとなっていたが、2017年9月に『とんねるずのみなさんのおかげでした』の30周年記念特番で、再登場してコントを披露すると大きな批判を受けた。放送後、「差別だ」という抗議があり、翌日、フジテレビ社長の宮内正喜氏は定例記者会見にて公式な謝罪を発表した。
「1990年代は人権意識がいまよりも希薄で、『保毛尾田保毛男』に限らず、性的マイノリティのキャラクターやタレントを笑いの対象にしてきました。しかし当時から、それで傷ついていた人は多かったのです。そのことに声を上げ続けた人がいたおかげで、時代を経て、性的マイノリティへの差別だと気づくようになったのではないでしょうか」
【プロフィール】
早稲田大学文学学術院准教授 森山至貴さん/東京大学教養学部卒業。社会学、クイア・スタディーズの専門家。主な著書に『LGBTを読みとく クィア・スタディーズ入門』(ちくま新書)など。
性社会・文化史研究者 三橋順子さん/性別越境(トランスジェンダー)の社会・文化史研究家。中央大学、早稲田大学などで教鞭をとり、現在は明治大学文学部非常勤講師。主な著書に『歴史の中の多様な「性」―日本とアジア 変幻するセクシュアリティ』(岩波書店)など多数。
取材・文/前川亜紀
※女性セブン2023年6月22日号