──不信任案可決後、解散総選挙になり、自民党を出た羽田・小沢率いる新生党、武村正義の新党さきがけが結成され、前年に結成された細川(護熙)の日本新党も含めて新党ブームの選挙となった。
「武村さんは、不信任案に反対したにもかかわらず、自民党を離党して新党を作った。それは変だと思ったね。まあ、彼はマスコミには持てはやされていたが、元々権力志向が強かったから。社会党も、最後までグラグラして危なかった。それで選挙では議席を半分近くまで減らした」
──その一方で、いざ選挙を終えてみると自民党が比較第一党でした。
「本当は国民がもっと大きく支持してくれると思っていた。今になって振り返ると、やっぱり選挙制度改革というのは国民のフトコロと関係ないからピンと来なかったんだろう。それでも我々が議席を増やした分、自民党は過半数に足りなくなった。結果として政権交代という目的は果たせたが、あれは本当の意味での結集ではなかったんだ」
──え、そうなんですか。
「あれは8党派が政治改革だけで合わさったもの。だから社会党は参議院で反乱を起こすし、いいかげんなのもいっぱいいた。うまくいったのは二度目の鳩山(由紀夫)民主党での政権交代(2009年)だ。マニフェストを訴えて自民党に圧勝できた。ところが、総理になる寸前に旧勢力の検察に攻撃された。あれで僕が政権から引き離され、政権運営も失敗した。だからもう一回政権交代をやらなきゃならない」
【プロフィール】
城本勝(しろもと・まさる)/1957年熊本県生まれ。フリージャーナリスト。一橋大学卒業後、1982年にNHK入局。福岡放送局を経て東京転勤後は、報道局政治部記者として自民党・経世会、民主党などを担当した。2004年から政治担当の解説委員となり、『日曜討論』などの番組に出演。2018年退局後は、日本国際放送代表取締役社長などを経て、2022年6月からフリージャーナリスト。
※週刊ポスト2023年8月4日号