反日ムードが高まる中国(写真/EPA=時事)
中国の対応には怒りを覚えつつも、冷静だ。
「禁輸は長くは続かねぇよ。ほとぼりが冷めたら徐々に緩むだろう。中国に言いたいのはさ、あんたらは自分の首絞めてるのがわかんねえのかってこと。こんなに大騒ぎして何の健康被害も起きなかったら恥をかくのはそっちだぞ。国際社会に『中国はバカです』って宣伝しているようなもんだ」
別の漁業職員も同じ意見だった。
「食いたくねぇなら結構。日本産がなくなって困るのはそっちも同じ。俺らは日々、漁に出て魚を捕るだけ」
昨今、中国では空前の日本食ブームが続いており、とりわけホタテなどの海産物は日本産の人気が高い。彼らもまた、好んで食べていた日本の海の幸を自ら手放している。
禁輸措置に対して慌てたり頭を下げたりするのは禁物だ。安易に譲歩すると、かえって解決が遠のくのが中国である。
漁師たちが心配しているのは、あくまで風評被害。ならば、福島産の食材を皆で「食べて応援」すれば、地元の不安は払拭されるはずだ。
「全人類的罪人」
日本国内よりも苛烈な「反日嫌がらせ」が横行しているのが中国国内だ。青島の日本人学校は投石され、別の日本人学校でも卵が投げ込まれた。北京の日本人学校では校門にバリケードを設置することになった。
ネット上で日本産の海産物は〈核海鮮〉と呼称され、日本人に対しては〈大核民族〉〈全人類的罪人〉といった言葉が並ぶ。〈放射能ブランド〉と称して日本の化粧品メーカーリストが出回り、不買運動も呼びかけられた。
一方で「処理水は問題ない」とする書き込みは続々と削除されており、中国当局は“意にそぐわない”投稿に神経を尖らせているようだ。
街中でも時折不穏な空気が流れており、「日本料理店で中国人と日本人が処理水の問題で口論になっているのを見ました」(上海の日本人駐在員)との声もある。
