この日のために美容院まで行った記者だが、フォーマルな装いは逆に浮くことが判明
記者の隣の席には、45才の専業主婦・A美さんが座っていた。ややふくよかな女性で、柔和な雰囲気と親しみ感のある笑顔が魅力的だ。この日は、17才の娘が部活の合宿で不在。夫には「ママ友と飲み会に行く」と言って出てきたという。5回目の参加だそうだ。
女性の装いはカジュアルなスタイルが多い。A美さんも、シンプルなブラウスにデニムのスカート。おしゃれをして出かけると、夫にいらぬ誤解を与えるからだろう。
主催者の乾杯の音頭で合コンはスタート。男性は10~15分ごとに4人単位で席を入れ替わるので、意外と慌ただしい。「ひとりで来たの?」「この合コンは何回目?」「話題のあの映画は見た?」など、男性陣がどんどん質問してくれるので、会話に自信がなくても、人見知りでも緊張することなく楽しめる。コミュニケーション能力の高さも、さすが既婚者といったところ。独身者とは違うメリットだと感じた。最初の緊張はあっという間にほぐれ、普通に楽しくなってくる。
「どうしてこの会に参加したんですか?」
という質問をすると、
「飲み歩きが好きなんだけど、妻は飲めないから、一緒にお酒が楽しめる女友達が欲しくて」
「単身赴任で寂しくて」
「妻と5才の娘がべったりで、すぐ実家に帰っちゃうし、家で居場所がないんだよね。話し相手が欲しいんだ」
などと答える人もいれば、
「妻は大切だけど、家族になっちゃっているから、もう“そういう気持ち”になれない。だからパートナーが欲しくて」
と、不倫相手を探していると明言する人もいた。とはいえ、そこに後ろめたい感じはなく、テニスをしてくれる相手を探しているくらいの軽いノリだ。そんな軽い人は嫌だと思っていたが、全員妻帯者だと思うと価値観が少し揺らいでくる。
A美さんは、男性の職業が気になるようで、いちいち聞いていたが、医師や士業、商社勤務、経営者などが多かった。本当のことを言っているかわからないが、会話に詰まったときは仕事の話を聞くと、無口な男性も冗舌になりがちなので、質問しておいて損はない。
それにしても、不倫相手を探すなら、若い女性がいいのではないかと、ふと疑問に思った記者。そこで素直に聞いてみると、
「会社にも若い女の子はいるけど、話が合わないし、“おじさん”って思われていたら嫌で(笑い)。同世代の女性の方が話しやすいし、特に既婚者にしかわからない愚痴とか理解し合えるのがいいんだよね」
と言う。会社の若い子に手を出すのはリスクが高いというのもあるだろう。既婚者同士なら口も堅く、バラされる危険性が低い。だから遊ぶには既婚者同士の方が都合がいいのだ。そういう理由もあってか、意外と40代・50代の既婚女性の需要は高い。
ひと通りの会話が終わると、
「LINEの交換しない?」
と男性陣から言われる。迷っているとA美さんが、
「こういうときは自分のQRコードを見せればいいの。相手が登録してLINEをしてきても、こっちが『友だち追加』しなければ、つながれないのよ」
とこっそり教えてくれた。
