ビジネス

「こち亀」にも登場した京成・博物館動物園駅 開業90周年、廃止から19年の今も異業種とのコラボイベント会場として活躍

東京都台東区上野公園にあった博物館動物園駅駅舎。外観デザインは国会議事堂に似ていると言われるが、国会議事堂より先に竣工している。リニューアル前2017年の外観(撮影:小川裕夫)

東京都台東区上野公園にあった博物館動物園駅駅舎。外観デザインは国会議事堂に似ていると言われるが、国会議事堂より先に竣工している。リニューアル前2017年の外観(撮影:小川裕夫)

 博物館や水族館、劇場に空港、駅など、利用者にはふだん足を踏み入れることが出来ない裏側を観察できるバックヤードツアーが各方面で開催され、人気を集めている。京成電鉄がこのたび期間限定ショップで販売した入場券は、廃止された駅の中へ入ることができるというイベントと、限定アイテムを手に入れられるファッションイベントを掛け合わせたものだった。ライターの小川裕夫氏が、アパレルという異業種とのコラボで博物館動物園駅の新たな魅力を発信する試みについてレポートする。

 * * *
 京成電鉄が博物館動物園駅の開業90周年を記念して、2023年12月16日と17日の2日間限定でポップアップショップ「京成フリーク」をオープンさせた。

 同ショップではアパレルの「FREAK’S STORE(フリークス ストア)」とコラボレーションしたTシャツ・スウェット・キャップ・アクリルスタンドの京成グッズが販売されたが、なかでも目玉商品になっていたのが、京成上野駅改札外コンコース特設ブースにて1500円で販売された「コラボ記念限定キーホルダー付き入場券」だ。この入場券を購入すると、その日限定で普段は立ち入ることができない博物館動物園駅へと入ることができる。そして、限定ショップ「京成フリーク」を訪れることができるというものだ。

人気の廃止駅をイベント活用

 現在、使われていない博物館動物園駅は、もともと皇室の「世伝御料地」だった場所に立地している。そのため、皇室に相応しい品位のある駅舎が求められ、荘厳な外観デザインになった。そうした過去の経緯のほか、『週刊少年ジャンプ』で長らく連載されていた人気マンガ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(通称:こち亀)にも登場することなどから高い人気を誇っていた。だが、博物館動物園駅は1997年に休止、2004年に廃止された。

 上野の山の地下に設けられた駅だったということもあり、その地形から大きな駅施設を造ることができず、ホームは4両分しか確保できなかった。そのため、京成の利用者が増えて電車が長編成化していくと、6両編成の普通電車も通過するという状態になっていた。

 こうした状態で利用者が増えることはあり得ず、博物館動物園駅の利用者は低迷。1990年代になると、1日あたりの利用者は200人前後になっていた。

 そして、そのまま廃止されるわけだが、廃止後も駅舎は残されたままになっていた。16、17日で販売された入場券は、購入者が博物館動物園駅の構内へ入場することができるという、一種の鉄道イベントでもあった。

 博物館動物園駅は駅機能こそ失っているものの惜しむ声は多くあり、京成電鉄やNPOなどが利活用を模索していた。

「同駅は2018年に駅舎を改修しましたが、その前年には東京藝術大学と京成は連携・協力に関する包括協定書を締結しています。駅舎改修時、同協定に基づいて同学の美術学部長(当時)だった日比野克彦氏によるデザインを出入口扉に使用しました」と話すのは京成電鉄経営統括部広報・CSR担当者だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚することがわかった
女優・趣里の結婚相手は“結婚詐欺疑惑”BE:FIRST三山凌輝、父の水谷豊が娘に求める「恋愛のかたち」
NEWSポストセブン
タレントで医師の西川史子。SNSは1年3ヶ月間更新されていない(写真は2009年)
《脳出血で活動休止中・西川史子の現在》昨年末に「1億円マンション売却」、勤務先クリニックは休職、SNS投稿はストップ…復帰を目指して万全の体制でリハビリ
NEWSポストセブン
中川翔子インスタグラム@shoko55mmtsより。4月に行われた「フレンズ・オブ・ディズニー・コンサート2025」には10周年を皆勤賞で参加し、ラプンツェルの『自由への扉』など歌った。
【速報・中川翔子が独立&妊娠発表】 “レベル40”のバースデーライブ直前で発表となった理由
NEWSポストセブン
『ザ・ノンフィクション』に出演し話題となった古着店オーナー・あいりさん
〈一緒に働いている男性スタッフは彼氏?〉下北沢の古着店社長・あいりさん(20)が明かした『ザ・ノンフィクション』の“困った反響”《SNSのルックス売りは「なんか嫌」》
NEWSポストセブン
“凡ちゃん”こと大木凡人(ぼんど)さんにインタビュー
「仕事から帰ると家が空っぽに…」大木凡人さんが明かした13歳年下妻との“熟年離婚、部屋に残されていた1通の“手紙”
NEWSポストセブン
太田基裕に恋人が発覚(左:SNSより)
人気2.5次元俳優・太田基裕(38)が元国民的アイドルと“真剣同棲愛”「2人は絶妙な距離を空けて歩いていました」《プロアイドルならではの隠密デート》
NEWSポストセブン
『ザ・ノンフィクション』に出演し話題となった古着店オーナー・あいりさん
《“美女すぎる”でバズった下北沢の女子大生社長(20)》「お金、好きです」上京1年目で両親から借金して起業『ザ・ノンフィクション』に出演して「印象悪いよ」と言われたワケ
NEWSポストセブン
奈良公園で盗撮したのではないかと問題視されている写真(左)と、盗撮トラブルで“写真撮影禁止”を決断したある有名神社(左・SNSより、右・公式SNSより)
《観光地で相次ぐ“盗撮”問題》奈良・シカの次は大阪・今宮戎神社 “福娘盗撮トラブル”に苦渋の「敷地内で人物の撮影一切禁止」を決断 神社側は「ご奉仕行為の妨げとなる」
NEWSポストセブン
“凡ちゃん”こと大木凡人(ぼんど)さんにインタビュー
《“手術中に亡くなるかも”から10年》79歳になった大木凡人さん 映画にも悪役で出演「求められるのは嬉しいこと」芸歴50年超の現役司会者の現在
NEWSポストセブン
花の井役を演じる小芝風花(NHKホームページより)
“清純派女優”小芝風花が大河『べらぼう』で“妖艶な遊女”役を好演 中国在住の実父に「異国まで届く評判」聞いた
NEWSポストセブン
第一子を出産した真美子さんと大谷
《デコピンと「ゆったり服」でお出かけ》真美子さん、大谷翔平が明かした「病院通い」に心配の声も…出産直前に見られていた「ポルシェで元気そうな外出」
NEWSポストセブン
2000年代からテレビや雑誌の辛口ファッションチェックで広く知られるようになったドン小西さん
《今夏の再婚を告白》デザイナー・ドン小西さんが選んだお相手は元妻「今年70になります」「やっぱり中身だなあ」
NEWSポストセブン