神戸山口組・井上邦雄組長(時事通信フォト)

神戸山口組・井上邦雄組長(時事通信フォト)

溝口:これまでは二次団体のトップだけが、山口組組長と親子の盃を結び直参となっていた。ところが昨年末、傘下の矢嶋組と益田組で跡目継承が行なわれ、新組長が直参となり、それぞれの先代組長は山口組直参のまま総裁に就任した。

鈴木:二次団体から複数の直参組長が輩出されるケースは、他団体だと昔からありましたが山口組では異例です。

溝口:二次団体に総裁制が誕生したのだから、山口組に総裁制が敷かれる布石かもしれないと囁かれているわけだ。

鈴木:なるほど。去年同様、抗争にほとんど進展がない分、組内政治は動きそうですね。

溝口:抗争長期化の要因はほかにもある。分裂抗争は途中で枝分かれし、「六代目対神戸」の対立軸のほかに、神戸山口組から脱退した岡山の池田組との抗争が同時進行しています。

鈴木:六代目山口組は神戸山口組との抗争を終わらせても、対池田組抗争を終結させねば警察の特定抗争指定が解除されず、神戸市篠原本町の本部や指定区域にある傘下団体の事務所が使えないわけですね。可能性はほぼないにせよ、万が一、神戸山口組が抗争終結に舵を切ったら、池田組も続くでしょうか? 完全終結のチャンスですよね。

溝口:六代目山口組側はそうしたいだろうけど、追従はしないだろうね。もはや個別の抗争と考えたほうがいい。

鈴木:山口組から離脱した池田組の池田孝志組長、絆會・織田絆誠会長、そして宅見組の入江禎組長の関係はどうですか?

溝口:きわめて良好で、池田、織田、入江の三者会談は毎月のように行なわれている。

鈴木:いずれの組も規模こそ小さいけど、六代目に潰されることなく、活動できています。

溝口:池田組の軍資金は豊富らしく、「あと10年は戦える」と言っている。もう山口組のような広域暴力団は法に縛られるばかりで時代に即さないんだろう。地元に根を張るという暴力団の原点回帰が起きるのではないか。

鈴木:やはりまだ抗争は続きそうですね。

(了。前編から読む

【プロフィール】
溝口敦(みぞぐち・あつし)/1942年東京都生まれ。早稲田大学政経学部卒業。『食肉の帝王』で2004年に講談社ノンフィクション賞を受賞。主な著書に『暴力団』『喰うか喰われるか 私の山口組体験』など。

鈴木智彦(すずき・ともひこ)/1966年北海道生まれ。日本大学芸術学部写真学科除籍。ヤクザ専門誌『実話時代』編集部に入社。『実話時代BULL』編集長を務めた後、フリーに。主な著書に『サカナとヤクザ』『ヤクザときどきピアノ』など。

※週刊ポスト2024年1月12・19日号

関連記事

トピックス

日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
実業家の宮崎麗香
《セレブな5児の母・宮崎麗果が1.5億円脱税》「結婚記念日にフェラーリ納車」のインスタ投稿がこっそり削除…「ありのままを発信する責任がある」語っていた“SNSとの向き合い方”
NEWSポストセブン
出席予定だったイベントを次々とキャンセルしている米倉涼子(時事通信フォト)
《米倉涼子が“ガサ入れ”後の沈黙を破る》更新したファンクラブのインスタに“復帰”見込まれる「メッセージ」と「画像」
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン
峰竜太(73)(時事通信フォト)
《3か月で長寿番組レギュラー2本が終了》「寂しい」峰竜太、5億円豪邸支えた“恐妻の局回り”「オンエア確認、スタッフの胃袋つかむ差し入れ…」と関係者明かす
NEWSポストセブン
2025年11月には初めての外国公式訪問でラオスに足を運ばれた(JMPA)
《2026年大予測》国内外から高まる「愛子天皇待望論」、女系天皇反対派の急先鋒だった高市首相も実現に向けて「含み」
女性セブン
夫によるサイバーストーキング行為に支配されていた生活を送っていたミカ・ミラーさん(遺族による追悼サイトより)
〈30歳の妻の何も着ていない写真をバラ撒き…〉46歳牧師が「妻へのストーキング行為」で立件 逃げ場のない監視生活の絶望、夫は起訴され裁判へ【米サウスカロライナ】
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト