国内

《メディア殺到の告別式を終えて》能登半島地震で家族を失った警察官が抱える“自宅での孤独”「生き続けるしかない」

激動の1か月を経て石川県警の警察官・大間圭介さんは今、何を思うのか

激動の1か月を経て石川県警の警察官・大間圭介さんは今、何を思うのか

 能登半島の震災で妻と3人の子どもを失った石川県警の警察官・大間圭介さん(42)。1月14日の告別式の様子を多くのメディアが報じたことで心を揺さぶられた人もいるだろう。激動の1か月を経て、思い出が詰まった自宅に戻りひとり過ごす大間さんは今、何を思うのか。ノンフィクションライターの水谷竹秀氏がレポートする。

 * * *
 かつて子どもたちの遊び場だった6畳間には、妻子の骨箱と遺影が並び、花束やお供え物に囲まれていた。家族で1人生き残った大間圭介さんは毎晩、4人の笑顔の写真に向かって語りかける。

「今日はこんなことがあったよ。誰それからこんな話を聞いたよって。1日の出来事を伝えます」

 圭介さんが喪主を務めた告別式には約800人が参列。あえてメディアの撮影も受け入れて取材に応じ、テレビや新聞で連日報じられた。心を痛めているなかで取材に応じた理由を、圭介さんはこう語っていた。

「葛藤もあったが、自分が何も語らなければ、“ある家族4人が命を落とした”という事実しか伝わらない。僕がメディアに出ることに対して、批判も当然あると思います。だけど、誰がなんと言おうと、妻と子どもたちの生きた証を知ってほしい」

 事件や事故の遺族取材を続ける私もテレビでその悲痛な姿を見たが、家族全員がいなくなった今、その現実とどう向き合っているのだろうか。発生から3週間、圭介さんが暮らす金沢市の自宅に伺うと、冒頭のようにしみじみと語った。

妻の「家事」に感謝

 圭介さんの妻、はる香さん(38)、長女の優香さん(11)、長男、泰介君(9)、次男、湊介君(3)は、珠洲市で倒壊した家屋と土砂に埋もれて命を落とした。地震の最初の揺れの後、周囲の様子を見ようと家を出た圭介さんだけが命拾いした。年末年始で、はる香さんの実家に帰省中の悲劇だった。はる香さんの祖父母は死亡が確認され、両親も依然行方不明となっている。

 圭介さんが4人と対面したのは発生から4日後の1月5日。地域の公民館には、毛布にくるまれた遺体がブルーシートの上に並んでいた。

「最初に毛布をめくったのは妻でした。土砂に埋まっていたので圧迫され、顔が赤くなっていて……。片腕が曲がった状態だったのを、真っ直ぐに直してあげたんです」

関連記事

トピックス

“親友”との断絶が報じられた浅田真央(2019年)
《村上佳菜子と“断絶”報道》「親友といえど“損切り”した」と関係者…浅田真央がアイスショー『BEYOND』にかけた“熱い思い”と“過酷な舞台裏”
NEWSポストセブン
6月15日のオリックス対巨人戦で始球式に登板した福森さん(撮影/加藤慶)
「病状は9回2アウトで後がないけど、最後に勝てばいい…」希少がんと戦う甲子園スターを絶望の底から救った「大阪桐蔭からの学び」《オリックス・森がお立ち台で涙》
NEWSポストセブン
発見場所となったのはJR大宮駅から2.5キロほど離れた場所に位置するマンション
「短髪の歌舞伎役者みたいな爽やかなイケメンで、優しくて…」知人が証言した頭蓋骨殺人・齋藤純容疑者の“意外な素顔”と一家を襲った“悲劇”《さいたま市》
NEWSポストセブン
反日的言動の目立つ金民錫氏(時事通信フォト)
韓国政権ナンバー2・金民錫首相の“反日的言動”で日韓の未来志向に影 文在寅政権下には東京五輪ボイコットを提起 反日政策の先導役になる可能性も
週刊ポスト
2人の間にはあるトラブルが起きていた
《浅田真央と村上佳菜子が断絶状態か》「ここまで色んな事があった」「人の悪口なんて絶対言わない」恒例の“誕生日ツーショット”が消えた日…インスタに残された意味深投稿
NEWSポストセブン
6月6日から公開されている映画『国宝』(インスタグラムより)
【吉沢亮の演技が絶賛】歌舞伎映画『国宝』はなぜ東宝の配給なのか 松竹は「回答する立場にはございません」としつつ、「盛況となりますよう期待しております」と異例の回答
NEWSポストセブン
さいたま市大宮区のマンション内で人骨が見つかった
《さいたま市頭蓋骨殺人》「マンションに警官や鑑識が出入りして…」頭蓋骨7年間保管の齋藤純容疑者の自宅で起きた“ある異変”「遺体を捨てたゴミ捨て場はすごく目立つ場所」
NEWSポストセブン
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン