向かうところ敵だらけの反町
8位には反町が主演を務める『グレイトギフト』がランクイン。大学病院を舞台に、波瑠(32才)、佐々木蔵之介(56才)ら豪華キャストが揃うサバイバル医療ミステリーだ。病理医の藤巻達臣(反町)は、ある患者の不審死から未知の殺人球菌「ギフト」を発見する。その球菌が体内に入ると人を死に至らしめ、その後ギフトは完全消滅してしまうため、急性心不全としか診断できなくなる。つまり、「完全犯罪」を可能にしてしまう殺人球菌だったのだ。この新種の菌の発見によって、藤巻の人生はみるみる激変する──。
ドラマコラムニストの吉田潮さんは今回、医療ドラマに初挑戦した反町に注目する。
「壮大なサスペンスを描くのかと思いきや、大学病院内の小さな権力争いがストーリーのメインになっていて、“医療ドラマあるある”だなと若干辟易していますが、とにかく反町さんが気になりランクインさせました。
今作で彼は人の目を見て話せないような内向きな病理医で、全然かっこいい役じゃないんです。ほかの登場人物から嫌われたり、叱責されたり、さらに妻からも娘からも嫌われている。向かうところ敵だらけという反町さんの立ち位置は新しいし面白いな、と。
今後、小さな病院だけの話に終わらせず、殺人球菌が院外に出てしまったら……など壮大な話まで描くのだとしたら本当に面白い」
7位には『厨房のありす』がランクインした。
「料理は化学です」が口癖の自閉スペクトラム症の料理人・ありすを門脇麦(31才)が、彼女の料理店「ありすのお勝手」にバイトとして転がり込む謎の青年をKing & Princeの永瀬廉(25才)が演じる。
「ハンデを持った人が主人公の場合、どうしても暗い話になりがちですが、このドラマはハンデを個性としてしっかり描いているので、暗いだけの作品になっていないところがすごい。
脚本家のひとりである玉田真也さんは30代半ばでこれまで演劇界で活躍してきた人なのですが、今後に期待したいです」(高堀さん)
5位は木梨憲武(61才)と奈緒(28才)がダブル主演で親子役を演じる『春になったら』。木梨は、前出の反町に続き、今クールで頑張る“お父さん”のひとりだ。
3か月後に他界する父と、3か月後に結婚する娘の心温まる交流を描き、初回放送後、「傑作!」「今期いちばん」と高い評価を得た。
木梨は1999年7月期に放送されたドラマ『小市民ケーン』(フジテレビ系)以来、24年ぶりとなる連続ドラマ主演で、福山雅治が書き下ろした主題歌『ひとみ』も話題だ。
ドラマ評論家の成馬零一さんも「本当にいいホームドラマ」と評する。
「基本的には奈緒さんと木梨さんの2人の会話が中心で、そこに別の人が少しずつ絡むというシンプルなつくりなのですが、それがめちゃめちゃ面白い。昔はちょっとホロっとするホームドラマっていっぱいあったのですが、いまの時代、奇抜な設定がないと話題になりにくくなってしまい、こういう作品が少なくなってしまった。ドラマらしいドラマというところでいうと、今クールではこれがいちばんかな」
木梨の出演にも関心を寄せる。
「1980年代からとんねるずを見ていて、芝居がうまいことは知っていましたが、木梨さんがこんな味のあるお父さんを演じるとは思わなかった(笑い)。たしかに、いまの60代ってこれぐらい若いよな、と思います」(成馬さん)