弟に語っていた晩年の願い
征爾さんの弟である俳優でエッセイストの小澤幹雄(86)氏が最後に兄に会ったのは、この「セイジ・オザワ松本フェスティバル」だったという。『NEWSポストセブン』の取材に答え、兄を追悼した。
「病気を患ってからは体も動かなくなって指揮もできなくなってしまいましたけど、晩年も『指揮がしたい』と話していました。ステージに上がるのも難しくなり、総監督としてコンサートの陣頭指揮をとっていました。私が最後に征爾と会ったのは、昨年に長野で行われたコンサートです。込み入った会話をする時間はありませんでしたが、こんなに早く別れの日が来てしまうとは思っていませんでした。兄は小さい頃からいろいろなことに気遣いしてくれて、声をかけてくれる優しい人でした。とても感謝しています」(小澤幹雄氏、以下同)
訃報が届いたのは、2月6日の午前だった。
「征爾の訃報を聞いて急いで病院へ向かいました。静かに息を引き取ったようで、安らかに眠ったような顔をしていました。よしちゃん(小澤征悦)や奥さんの桑子真帆さんもいて、みんな黙って立ち尽くしていました。
大往生だと仰る方もいらっしゃいますが、征爾はまだまだやりたいことがあったんじゃないかと思います。今も兄の指揮する姿が頭から離れません」
晩年は病魔に冒され、思うように活動できなかった征爾さん。愛する家族らに見守られ、天国に旅立った。