「“あっちゃん”たちが来てから、仕事どころじゃないよ」
奇跡の積み重ねで出会えた
〈藤と違い、猫を飼ったことがなかったというヒロシは、決断するまでにかなり悩んだが、運命的な出会いに抗えなかったという〉
ヒロシ:2022年の夏、友人から猫のかわいさについて一晩中聞かされたことがあったんです。おれもいつかは飼いたいと思っていたから心が揺れました。でも、仕事やソロキャンプの動画撮影で家を留守にすることも多いし、猫を幸せにする自信がなかった。それに、いつか訪れる別れを思うと、どうしても踏み出せなかったんです。
藤:そうね、動物と暮らすには、覚悟が必要ですよね。私もマルオレちゃん(マルとオレオのこと)を迎えてからは、生活も仕事の仕方も猫中心に変わりました。
〈これまでなら、諦められたというヒロシ。ところがこのときは、不思議な縁が重なったという。猫好きの友人と話をした翌日、旅番組の収録で占い師に会い、「猫を飼う」と“予言”される。さらにこの頃、猫を飼える家に引っ越したことも大きかった〉
ヒロシ:いろいろな偶然が重なり、猫を飼おうっていう気持ちになっていきました。それで猫の保護活動をしている知人に声をかけたら、最近保護したというあっちゃんの写真が送られてきて……。藤さんと同様、おれも一目惚れでした。
〈あっちゃんが保護された場所は福岡県。このときも偶然、ヒロシは熊本で仕事をしていた。それで、帰りに会いに行ったという。ひとたび抱き上げた途端「一緒に暮らそう」と腹が決まったと目を輝かす〉
ヒロシ:あっちゃんは保護されたとき、わずか380gだったそうです。雨の日にドブ川のすぐそばにたった“1人”で捨てられていて、あと少し保護が遅れていたら命を落としていたって。だから、奇跡の積み重ねで出会えたんですよね。
〈ところが大変なのはこの後だった〉