推しを前に緊張する藤

推しを前に緊張する藤

『横須賀ストーリー』で山口百恵にアドバイス

藤:すごいお話ですね。当時の私は、『明星』や『平凡』などの雑誌をよく読んでいましたが、“新御三家”の皆さんは、森昌子さん、桜田淳子さん、山口百恵さんら“花の中三トリオ”とよく共演していましたよね。とても仲よさそうで……。結構交流があったんですか?

野口:いや実はね、アイドル同士の交流はほとんどなかったの。特に女性アイドルとは、お互いに忙しすぎてしゃべった記憶がない。雑誌には対談記事も載るけれど、あれも常に同行していた記者たちが、ぼくたちの言葉を集めて記事にまとめていたんだと思います。

藤:そうなんですね。意外。

野口:でも一度、百恵さんにアドバイスをしたことがあります。百恵さんのジャケット写真を撮影していた写真家の林秀次郎さんから、「彼女のコンサートの内容を見てほしい」と言われ、お話しする機会をいただいたんです。

藤:どんなアドバイスをされたのですか。

野口:歌い方を提案しました。『横須賀ストーリー』(1976年)の歌い出し、「♪これっきりですか」の「ですか」の部分は、「ですゥか」となりがちだけど、ウを発音すると汚く聞こえるから、「ですか」とした方がいいと──。

藤:たしかに! 私も以前、この歌をカバーさせていただいたことがあるんですが、あの部分、難しいんですよ。

野口:聞こえ方を意識するのが大切だと思うんです。「がぎぐげご」もダメ。「んがぁ、んぎぃ、んぐぅ、んげぇ、んごぉ」という具合に鼻濁音で発するようにもアドバイスしました。実は後日談があって、百恵さんの息子さんの三浦祐太朗くん(40才)にお会いしたとき、彼も「がぎぐげご」にこだわった歌い方をしていて、「母から教わりました」って……。それを百恵さんに教えたのはぼくだよって、うれしくなりましたね。

藤:アドバイスが受け継がれていくのは素敵ですね。私の師匠は作曲家の猪俣公章先生なんですが、いろいろなことを教えていただきました。たとえば、先生はよく、「歌は歌うんじゃなく語る、逆に詩は歌うんだ」とおっしゃっていました。21才のときにそう言われたもののピンとこなくて、でも忘れないでいたら、最近ようやくその感じがつかめるようになりました。

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