ボディーガードに囲まれながら手を振って降壇するトランプ氏(写真/Reuters/Aflo)
「婚前契約」が問題に
今年3月5日、各州の予備選挙や党員集会が集中し、スーパーチューズデーと呼ばれる共和党指名候補争いの山場で、トランプ氏は圧倒的な勝利を収めた。その夜、トランプ氏はフロリダ州にある豪華な別荘で盛大な祝勝会を開催。
「素晴らしい勝利だ!」
支持者を前にそう喜んだ彼の傍らにメラニア夫人の姿はなかった。6月27日に開催された第1回候補者テレビ討論会にも夫人は欠席。米メディアによれば、注目度の高い大統領選のテレビ討論会を、候補者の配偶者が欠席するのは異例だという。
「メラニア不在」は、ここ最近始まったことではない。トランプ氏が大統領選への再出馬を表明してから、彼女は公の場にほとんど姿を見せておらず、今回の銃撃事件の現場にもいなかった。理由のひとつとされるのが、トランプ氏の不倫問題だ。
「トランプ氏はメラニア夫人と結婚1年目の2006年に元ポルノ女優と性的関係を持ち、2016年の大統領選の直前には彼女に13万ドル(約2000万円)の口止め料を支払ったと報じられました。さらに、元『プレイボーイ』モデルとの不倫関係も明るみに出ました」(前出・地元紙記者)
2023年3月には、不倫相手への「口止め料」の支払いを不正処理した罪など、34件の罪で起訴された。6週間にわたった裁判では証人22人が証言し、この5月末に34件の罪状すべてで有罪判決が下された。
「裁判では、元ポルノ女優との性行為中にトランプ氏が避妊具を使わなかったり、トランプ氏が“妻とは別々のベッドで寝ている”と発言したなど、メラニア夫人が耳にしたくない証言が次々と飛び出しました。この裁判についてトランプ氏は、“妻にとってはとてもつらいことだと思う”と述べました」(前出・地元紙記者)
メラニア夫人は、一連の不倫報道や裁判について沈黙を貫いた。だが現地で囁かれるのは、夫人が「婚前契約」の見直しを求めたのではないかということだ。
「契約社会のアメリカでは、結婚生活のルールや離婚時のトラブルを回避する目的で『婚前契約』を交わすケースが珍しくありません。メラニア夫人もトランプ氏との結婚前に、離婚時の慰謝料を決めているといわれています。ですが想定をはるかに超えた夫の“裏切り”を受けて、夫人はその契約内容の見直しを求めたとみられています」(前出・地元紙記者)
トランプ氏の不倫疑惑がすでに報じられていた2021年には、離婚時にメラニア夫人が受け取れる慰謝料は5000万ドル(約80億円)だと報じた海外メディアもあった。
「2022年秋頃に見直された新しい慰謝料は、80億円以上だった可能性もあります。事態はそこからさらに動いています。不倫裁判で有罪になる一方、トランプ氏は最新の資産が65億ドル(約1兆円)と報じられるなど、仕事面では絶好調に。夫人はトランプ氏との間の一人息子にも財産が渡るようにと、再び金銭面での交渉を迫る準備があるそうで、新たに見直される慰謝料は6500万ドル(約100億円)を超えるといわれています」(前出・地元紙記者)