芸能

【65周年を迎えた吉本新喜劇】すっちー&島田珠代が語る王道の源流と現在「変な動物園に来ちゃった感じで、変なものと遭遇して笑うのが新喜劇の強み」

リハーサルではお互いを見ながら行なったダンスも本番では決まった。左から2番目が座長のアキ、右から2番目が座長の酒井藍

リハーサルではお互いを見ながら行なったダンスも本番では決まった。左から2番目が座長のアキ、右から2番目が座長の酒井藍(写真提供/吉本興業)

「邪魔すんで~」「邪魔すんねやったら帰って~」。今や関西人でなくても、聞き馴染みのあるフレーズだろう。吉本新喜劇が生み出した笑いは、65年の歴史で広く浸透してきた。愛される「王道」の源流と現在に、ノンフィクションライターの中村計氏が迫った。

 * * *

 ちゃんとやってないように見える。

「お前の番やぞ!」
「お前、セリフ忘れとるやろ!」
「台本にないこと言うな!」

 吉本新喜劇を観ていると、たびたびそんなシーンに出くわす。セリフを忘れたという体を装っている場合もあるが、本当に忘れてしまっていることも多々ある。ただし、この手のやりとりが展開されるときは決まって劇場は大爆笑に包まれる。

 座長のうちの1人で、今や吉本新喜劇のエースと言ってもいい存在のすっちーが話す。

「普通の芝居で『お前の番やぞ!』はダメなんですけど、新喜劇のお客さんの中では、それも許容範囲というか、そもそも完成品を求めてはいないと思うんです。そのかわり、笑かしてやというのはある。だから、セリフを忘れても、笑いに変えられればOKなんです。お客さんにセリフ間違えるなよとか堅苦しいことは言われないぶん、日本一『笑かしてくれよ』のハードルは高い舞台だと思いますよ」

 そう、ちゃんとやってないように見えて、実は、ちゃんとやっている。それが旗揚げから65年も続いている理由なのだ。すっちーが続ける。

「張り巡らされた伏線を最後の最後で回収しアッと言わせる、みたいな謳い文句でやってる団体ではないんで。ちゃんとやってるねんけど、あえてそこは何でもないように見せておいて、でも、見終わったときにお客さんの胸にストンと物語のようなものが落ちてくるというのが理想かな」

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《大谷翔平が“帰宅報告”投稿》真美子さん「娘のベビーカーを押して夫の試合観戦」…愛娘を抱いて夫婦を見守る「絶対的な味方」の存在
NEWSポストセブン
令和最強のグラビア女王・えなこ
令和最強のグラビア女王・えなこ 「表紙掲載」と「次の目標」への思いを語る
NEWSポストセブン
“地中海の楽園”マルタで公務員がコカインを使用していたことが発覚した(右の写真はサンプルです)
公務員のコカイン動画が大炎上…ワーホリ解禁の“地中海の楽園”マルタで蔓延する「ドラッグ地獄」の実態「ハードドラッグも規制がゆるい」
NEWSポストセブン
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さん、撮り下ろしグラビアに挑戦「撮られることにも慣れてきたような気がします」、今後は執筆業に注力「この夏は色んなことを体験して、これから書く文章にも活かしたいです」
週刊ポスト
強制送還のためニノイ・アキノ国際空港に移送された渡辺優樹、小島智信両容疑者を乗せて飛行機の下に向かう車両(2023年撮影、時事通信フォト)
【ルフィの一味は実は反目し合っていた】広域強盗事件の裁判で明かされた「本当の関係」 日本の実行役に報酬を支払わなかったとのエピソードも
NEWSポストセブン
イセ食品グループ創業者で元会長の伊勢彦信氏
《小室圭さんに私の裁判弁護を依頼します》眞子さんの“後見人”イセ食品元会長が告白、夫妻のアパートで食事した際に気になった「夫としての資質」
週刊ポスト
ブラジルの元バスケットボール選手が殺人未遂の疑いで逮捕された(SNSより、左は削除済み)
《35秒で61回殴打》ブラジル・元プロバスケ選手がエレベーターで恋人女性を絶え間なく殴り続け、顔面変形の大ケガを負わせる【防犯カメラが捉えた一部始終】
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
《ルフィ事件》「腕を切り落とせ」恐怖の制裁証言も…「藤田は今村のビジネスを全部奪おうとしていた」「小島は組織のナンバー2だった」指示役らの裁判での“攻防戦”
NEWSポストセブン
モンゴルを公式訪問された天皇皇后両陛下(2025年7月12日、撮影/横田紋子)
《麗しのロイヤルブルー》雅子さま、ファッションで示した現地への“敬意” 専門家が絶賛「ロイヤルファミリーとしての矜持を感じた」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ツアーに本格復帰しているものの…(左から小林夢果、川崎春花、阿部未悠/時事通信フォト)
《トリプルボギー不倫》川崎春花、小林夢果、阿部未悠のプロ3人にゴルフの成績で “明暗” 「禊を済ませた川崎が苦戦しているのに…」の声も
週刊ポスト
三原じゅん子氏に浮上した暴力団関係者との交遊疑惑(写真/共同通信社)
《党内からも退陣要求噴出》窮地の石破首相が恐れる閣僚スキャンダル 三原じゅん子・こども政策担当相に暴力団関係者との“交遊疑惑”発覚
週刊ポスト
山本アナは2016年にTBSに入局。現在は『報道特集』のメインキャスターを務める(TBSホームページより)
【「報道特集」での発言を直撃取材】TBS山本恵里伽アナが見せた“異変” 記者の間では「神対応の人」と話題
NEWSポストセブン