林官房長官と面会し「今年こそ帰国の実現を」と訴えた横田早紀江さん(2025年1月、東京・千代田区。写真/時事通信フォト)

林官房長官と面会し「今年こそ帰国の実現を」と訴えた横田早紀江さん(2025年1月、東京・千代田区。写真/時事通信フォト)

拉致問題はまだ終わっていない

 北朝鮮による日本人拉致が始まったのは、美智子さまが皇太子妃でおられた1970年代のこと。その拉致事件が実際に全国区で知られるようになったのは、美智子さまが皇后になられて10年近くが経過した1990年代後半に入ってからだった。そして2002年、ようやく被害者の一部が帰国した。

 皇族方は毎年、ご自身の誕生日に文書でお言葉を寄せられる。美智子さまは2002年の文書で、「悲しい出来事についても触れなければなりません」と前置きしてから拉致被害者の問題に言及され、「驚きと悲しみと共に、無念さを覚えます」「何故私たち皆が、自分たち共同社会の出来事として、この人々の不在をもっと強く意識し続けることが出来なかったか」と述べられた。

「皇族方は憲法の定めにより、政治的な問題に対して立ち入った論評をすることを避けてきました。『皇室は祈りでありたい』と考えられてきた美智子さまが、ここまで政治的な問題に切り込む発言をされたことに驚きの声が上がりました。なぜもっと早く国民の悲しみを知ることができなかったのかという後悔が、皇后としてのお立場を上回ったのでしょう。

 また、美智子さまは、横田めぐみさんの母、早紀江さんと1学年差で、同世代の娘もお持ちです。母として抱かれたやり場のない怒りや、やるせなさもあったのかもしれません」(皇室ジャーナリスト)

 その後、拉致被害者の新たな帰国はないが、美智子さまは、折に触れて声を上げ続けられ、皇后として最後に綴られた2018年の誕生日文書では、これからも国内外の出来事に心を寄せ続けたいと述べられた。そこで挙げた唯一の具体例が、拉致被害者の問題だった。

「美智子さまも拉致被害者もその家族も、みな等しく年を重ねます。生きて再会したいと願う人たちのタイムリミットは迫りつつある。それどころか、すでに亡くなった方もいます。美智子さまご自身が『忘れてはいけない』と胸に刻まれていらっしゃることはもちろん、国民の意識の中でも風化させてほしくないという思いがあるのでしょう。拉致被害者の問題はまだ終わっていないという切実な思いが、今回の選歌に込められているように感じます。

 美智子さまは、令和への御代がわり以降も短歌を作り続けていらっしゃるという話も聞きますから、これからもご自身の祈りを31音に込められるのではないでしょうか」(前出・皇室記者)

 美智子さまがお歌に紡がれた思いは、いつ実を結ぶのだろうか。

女性セブン2025213日号

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