ふたりには共通点も(左から藤川球児・監督、阿部慎之助・監督)
2025年のセ・リーグは混戦模様。順位が毎日のように入れ替わり、どの球団のファンにも面白い展開になっている。開幕前の評論家の予想では、巨人と阪神を上位に推す声が多かったが、両軍のポイントはどこか。江本孟紀氏、中畑清氏、達川光男氏が語り合う。【全3回の第2回】
江本:新加入の甲斐(拓也)は素晴らしいキャッチャーだと認めるが、ピンチをしのいでベンチに帰ってくる時に“やった感”を出しすぎ。一生懸命やっているのだろうけど、ピッチャーがしんどくなっちゃう。神宮のヤクルト戦では次に投げるピッチャーがいるブルペンまで試合中に足を運んでいた。
達川:WBCでもブルペンまで行ったり、五輪でブルペンに電話を掛けたりしていましたよね。
江本:オレがピッチャーなら「何しに来た」と追い返しちゃうね。見た目もよくない。アマチュア野球じゃないんだから。
中畑:今は打撃も好調だからいいけど、これで打てなくなった時に同じようなことをしていると、どうかなとは思うね。
達川:ソフトバンク時代は工藤(公康)監督から「拓ちゃん、なぜあそこに投げさせているの」「根拠はなんなの」と厳しくやられていたんです。それでいて頑張っても誰もほめない。それが今はスポーツ報知をはじめみんながほめるけん、その気になっているんでしょう。
中畑:巨人では2年目の泉口(友汰)はほめてやっていいんじゃないかな。
江本:若手は門脇(誠)も中山(礼都)もレギュラーのチャンスがあるのに、どこかで打てなくなる。唯一、残ったのが泉口。阿部(慎之助)監督も苦しいよね。結局、キーマンは岡本(和真)。このチームは岡本がもっと打ちまくらないといけないですよ。打率を上げるよりここ一番でホームランが打てるバッターを目指してもらいたい。
中畑:オレは慎之助をほめてあげたいね。自分のやりたいことを着実にやっている。巨人にはいなかったタイプの監督だよ。
江本:阿部も阪神の藤川(球児)も勝ってもバカみたいに喜ばないのはいいね。藤川は岡田(彰布・前監督)の遺産に頼らざるをえないのが難しいところだけど。
中畑:阪神の問題は抑えの岩崎(優)でしょう。
江本:それはある。スピードがないもの。
達川:そのあたりについて藤川は偉いですよ。就任した時に「力がないベテランはいらない」と言ったのは、岩崎や西(勇輝)への牽制球だと思いますよ。江本さんと同じ高知商業出身で、土佐犬と同じぐらい怖い(笑)。