入院された上皇さまの付き添いをする美智子さま(2024年3月、長野県軽井沢町。撮影/JMPA)
「世紀のご成婚」から、今年で66年。次代にバトンを渡され、穏やかな日々を過ごされていた最中、上皇さまの心臓に異変が起きた。上皇さまのため、心の限りを尽くされる美智子さま。決して揺らぐことのないそのお姿を、雅子さまは見つめられていて──。
新緑が目にしみる、東京・代々木の明治神宮会館。5月13日、雅子さまは代々の皇后が務める日本赤十字社の名誉総裁として、「全国赤十字大会」に出席された。国母としての慈愛に満ちた表情には、これまで以上に強い責任感がにじむ。雅子さまの胸の内は、先の皇后から受け取られた決意の念であふれていた──。
5月10日、東京大学医学部附属病院に入院されていた上皇さまが退院され、お住まいの仙洞御所に戻られた。
「定期検診で心臓に異変が認められた上皇さまは、精密検査のために5月6日から入院。8日から予定されていた葉山御用邸でのご静養が急遽延期となりました。ご高齢で持病もある上皇さまが入院されるとあって、関係各所では一気に緊張が高まった」(皇室記者)
詳しい検査の結果、上皇さまは「無症候性心筋虚血」と診断された。聞きなじみのないこの病気について、東京医科大学名誉教授で信濃坂クリニック院長を務める高沢謙二さんが解説する。
「『心筋虚血』とは、血管が狭くなり、心臓の筋肉に充分な血液を送ることができない状態のことをいいます。中でも自覚症状がないものが『無症候性』。一般的には、狭心症と呼ばれる病気です。
無症候性が怖いのは、症状がないために無理をしてしまうことです。気がつかないうちに不整脈を起こし、心停止につながることも考えられるため、慎重な経過観察が必要な病気とされています」
2012年の心臓手術以来、13年ぶりの入院となった上皇さま。4泊5日の入院期間中、美智子さまは一日も欠かさず、病室に通われた。
「美智子さまは上皇さまの入退院に付き添われただけでなく、毎日4時間から5時間の長時間にわたって病院に滞在。検査の時間以外は上皇さまに付きっきりで、一緒に病室で昼食を召し上がる日もありました。上皇さまおひとりで入院するといっても、側近は常におそばについていますから、不自由はないはず。美智子さまは、『私が上皇さまをお支えしなければ』という一心だったのでしょう」(宮内庁関係者)
献身的なお姿が注目された一方、これほど長時間のお見舞いは、一般の患者には許されていない。
「コロナ禍を経て、多くの病院で面会時間に制限が設けられるようになりました。今回上皇さまが入院された東大附属病院でも《1回の面会は60分まで》と告知されている。それにもかかわらず、連日300分近い長時間の付き添いが実現したのは、美智子さまの上皇さまを思われる強いお気持ちがあってこそのことです」(前出・皇室記者)
上皇さまにとっても、美智子さまの存在は大きな心の支えになっていたようだ。
「美智子さまがおそばにいらっしゃるとき、上皇さまは安心されているようでした。いつも手をつないでお散歩され、一緒に過ごされている美智子さまだからこそ、検査や今後への不安を解消できたのでしょう。医師からの説明にも、おふたりで耳を傾けられていました。美智子さまは上皇さまの病状や今後の治療方針について、積極的に医師に質問を重ねられたそうです」(前出・宮内庁関係者)
一方で、こうした美智子さまの熱心な姿勢には心ない批判も寄せられた。
「ネット上では、美智子さまに対して“病院に迷惑なのでは”“目立ちたがり”などの誹謗中傷まがいの声が散見されています」(前出・宮内庁関係者)
今回に限らず、昨今はSNS上での美智子さまへの中傷が問題視されてきた。しかし、美智子さまの“上皇さまを支える”という一念は、並大抵のものではない。
「美智子さまは皇室に嫁がれる際、“孤独な幼少時代を送られた皇太子さまに、温かい家庭をつくって差し上げたい”というお気持ちだったといいます。ご自分のことよりも、当時皇太子だった上皇さまを支えたいというお気持ちが強く、いまもそのお心を変わらずに持ち続けていらっしゃるのでしょう」(前出・宮内庁関係者)