ディナーショーができたら面白いとも口にした(撮影/小澤正朗)
CHA-CHA脱退以降、ダンスを極めたいと考え、ロサンゼルスにも渡った木野は長らくバラエティ番組には出演していないが、萩本の猛稽古が踊りに役立った部分もあるという。
「感覚的な話になりますが、ダンスの“間”が笑いに通じるように、お笑いの“間”がダンスにつながる面もある。だから、SMAP以降のアイドルがバラエティで活躍したのは必然だったのかもしれません」
“男性アイドルの革命児”SMAPは台本のあるコントだけでなく、アドリブのトークでも笑いを取れた。その点が画期的だった。1994年『笑っていいとも!』のレギュラーに中居正広、香取慎吾が抜擢され、翌年には草なぎ剛も加わった。『いいとも!』で力をつけた彼らはその後、バラエティ番組で司会を務めるまでになった。
ただ、“アドリブのトークで笑いを取る”という点においても、CHA-CHAはSMAPの先駆けだったと言える。1988年当時、『いいとも!』の裏で『欽ちゃんのどこまで笑うの!?』が放送されていた。CHA-CHAはこの番組に準レギュラーで出演していた。
「クイズやゲームなどをするバラエティでしたけど、その場のリアクションやトークは全てアドリブでした。あの頃、厳しい稽古や生放送で鍛えられたから、かっちゃん(勝俣)は今もバラエティで活躍できるんでしょうね」
昭和の終わりから平成の初めにかけて、『ザ・ベストテン』『歌のトップテン』『夜のヒットスタジオ』などの歌番組が終了。テレビの中で、バラエティがより力を増していった。そんな時代を見越すかのように、CHA-CHAはアイドルでありながら、本格的に笑いに挑戦した初めてのグループだった。
(了。前編から読む)
【プロフィール】木野正人(きの・まさと)/1968年12月2日生まれ、静岡県出身。少年隊や田原俊彦のバックダンサーを経て、1988年9月にCHA-CHAのメンバーとしてデビュー。今年5月12日には、CHA-CHAの5人が久しぶりに集結。その模様は、動画サイトTravel TV『木野正人 LEVEL9』、勝俣州和の公式YouTube『勝俣かっちゃんねる』で視聴可能
◆取材・文/岡野誠(松木安太郎研究家)