岩屋氏の「保守観」についても質問
「保守は攻撃的、排外的であってはならない」
川中:岩屋さんは先ごろ「高市政権が大きく右傾化すればアラートを発する」と話していました。この「大きく右傾化」の明確な兆候は何だと考えますか。
岩屋:最近はよく「保守とは何か」ということが問われる場面が増えていますよね。中には攻撃的、排他的な行動をすることが保守だと考える人もいるようだけど、それは大きな勘違いですよ。
私は、保守はそういうものではないと言いたい。
ひとりの人間が考えられることはたかが知れているし、全く間違いのない人はいないでしょう。だから歴史と伝統の中に先人たちの知恵がたくさん含まれているので、まずはそこに学ぶ。「保守」というのはそういう意味だと思います。
川中:岩屋さんが考える「保守」とは。
岩屋:自分だけが正しいと思い上がらず「自分も間違っているかもしれない」と謙虚な姿勢を持ち続ける。知恵はあちこちに散らばっているので、人さまの意見にも耳を傾けて真摯に対話する。そうやって知恵が融合されてこそ、よりよい結論を出せる。そのように構えることが、保守的な姿勢だと思いますよ。
だから私が言いたいのは、特定の誰かの政権、たとえば「高市政権がどうのこうの」ということを言っているわけではない。自民党や日本の政治全体がその姿勢を失いかければ、当然「本来の保守とはこうあるべきだ」とアラートを発していかねばと思っています。
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11月下旬のG20サミットにおける首相の外交姿勢には「高市総理らしいパフォーマンスをしていただいた」と評価をしつつ、存立危機事態の発言については「中国側の誤解を解く努力をすべきだろう」と冷静に語った岩屋氏。“国際協調”を重んじる同氏らしい視点だが、その姿勢ゆえか、最近はSNSで「売国奴」「媚中」など苛烈な批判を浴びている。
続く記事では、中学生記者・川中だいじが岩屋氏に「ネット世論がもたらす影響」と「誹謗中傷にどう向き合うか」を聞いた。政治の現場とSNSが地続きになったいま、現職の国会議員は何を思うのか。
(第3、4回は近日公開予定)
【プロフィール】川中(かわなか)だいじ/2010年12月11日生まれ、大阪市在住。主に選挙・大阪関西万博・IRカジノ・森友学園問題を取材。「日本中学生新聞」の主宰者として紙の新聞を発行。SNS上でもコラム記事を発信している。雑誌やウェブメディアへの寄稿のほか、文化放送『長野智子アップデート』やYouTubeメディア『ArcTimes』『デモクラシータイムス』などにも出演。2025年春よりテレビ大阪の公式YouTube「大阪NEWS【テレビ大阪ニュース】」にて『中学生記者・だいじの対談クラブ』配信中。『こちら日本中学生新聞』(仮題)を出版予定。
構成・文/前島環夏
【プロフィール】前島環夏(まえじま・わかな)/ライター・エディター。Web媒体を中心にインタビューや書籍編集などを行なっている。
