『欽ちゃん&香取慎吾の第101回全日本仮装大賞』でMCを務める萩本欽一と香取慎吾(番組公式Xより)

『欽ちゃん&香取慎吾の第101回全日本仮装大賞』でMCを務める萩本欽一と香取慎吾(番組公式Xより)

民放各局で進むアーカイブの再評価 

 特に民放各局が系列の有料動画配信サービスを持ったことで、過去の番組やアーカイブ映像の再評価を進めるなど、「局の財産として大切にしていこう」「続けることでブランドを保っていこう」という傾向が見られるようになりました。まだまだ視聴率獲得がメインのビジネスモデルではあることは変わらないものの、それでも目先の数字だけで判断しなくなったという変化を感じさせられます。 

 ちなみに近年の放送を見る限り『仮装大賞』と『夢をかなえたろか』の視聴率は十分とは言えず、業界内では何度か「そろそろ終了か」という声があがっていました。ひさびさに復活する『炎のチャレンジャー』にも視聴率獲得という点では不安があり、だからこそ最も視聴者の多い土日ではなく月曜祝日のゴールデン帯に編成したのでしょう。 

 つまり『仮装大賞』は日本テレビの『嗚呼!!みんなの動物園』『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』『ザ!鉄腕!DASH!!』『世界の果てまでイッテQ!』。『夢をかなえたろか』はTBSの『熱狂マニアさん!』『ジョブチューン』『バナナマンのせっかくグルメ!!』『坂上&指原のつぶれない店』。『炎のチャレンジャー』はテレビ朝日の『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』『池上彰のニュースそうだったのか!!』『ナニコレ珍百景』『ポツンと一軒家』を押しのけて放送するほど視聴率が獲れそうな特番ではない。あるいは「他局の土日ゴールデン帯で放送される裏番組との勝負は分が悪いから避けたい」という意向がうかがえます。 

 次に現在のテレビにおける高齢MCはどんなポジションなのか。 

 前述したように3人とも知名度が高く、特に「今なおテレビをリアルタイム視聴する人の多い中高年層に訴求できる」という点が再評価されています。 

 その点で見逃せないのは民放各局の評価指標が2024年あたりから変わりつつあること。TBSが2024年秋に新たな指標として「LTV4-59」(4~59歳の個人視聴率)の使用を発表しました。それまでの指標は4~49歳だったので上限を10歳引き上げたことになりますが、これは人口のボリュームゾーンである団塊ジュニア(1971~1974年生まれ)がすべてターゲットから外れてしまうことへの対応策でしょう。 

「成人の日」の定番にできるか 

 これはTBSだけでなく日本テレビやフジテレビにもターゲット層の上限を拡大するような動きがあり、テレビ朝日はもともと高齢層も重視していました。これまでメインターゲットから外されていた50代が指標に組み込まれたことで必然的に高齢MCの存在感が高まったのでしょう。 

 その意味で3特番の価値は高いだけに、奇しくも同じ日時にかぶってしまったことは「視聴者の分散」という点で誤算なのかもしれません。ただ、かぶったことを前向きにとらえるとしたら、1月の第2月曜と決まっている「成人の日」の名物として毎年3特番がそろい踏みしたら相乗効果が期待できる可能性もありそうです。 

 最後に3特番それぞれの強みと課題をあげておきましょう。 

『仮装大賞』の強みは一般人の微笑ましい奮闘ドキュメントであり、課題は仮装作品のバラつきとアイディアのマンネリ化。『夢をかなえたろか』の強みは一般人が夢を叶える幸せそうな姿であり、課題は憧れの芸能人と会う企画ばかりになっていること。『炎のチャレンジャー』の強みはユニークなゲームの数々であり、課題は一般人ではなく芸能人のゲーム番組になったこと。 

 いずれも長年愛された人気特番だけに、これらの課題を改善し、MCたちが元気であり続ける限り、まだまだ続けていけるのではないでしょうか。 

【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』『どーも、NHK』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

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