諜報活動についても私見を述べる岩屋氏
日本の諜報活動問題
川中:先ほどスパイ法案についてお話をうかがいました。国防で欠かせないインテリジェンス(諜報、情報活動)についてはどこまで強化すべきとお考えですか。
岩屋:なかなか難しい質問ですね。「インテリジェンスは強化すべきか否か」という単純な質問なら、当然、「強化すべき」という話になるでしょう。しかし、何をどのように強化するのかまでの議論にならなければ、それは本当の議論ではないと思います。
外国情報に特化した諜報機関、情報機関を設けるべきではないかという議論は何度もありました。実は私も若い頃、町村信孝先生(衆議院議長など要職を歴任)が自民党のPT(インテリジェンス・秘密保全等検討プロジェクトチーム)の座長だったときに委員会に所属しており、こうした問題について一生懸命に議論したんです。町村先生が亡くなった後、それを引き継いで「仮に日本に情報機関をつくるなら、こういうスタイルがいいのでは」という考えを一度まとめましたが、それは今、お蔵入りになっています。
──どういったことが争点になっているんでしょう。
岩屋:仮に対外情報機関を設置したとしても、いわゆる「スパイ行為」に関わる人に日本人がいれば、当然、日本人にも活動の矛先は向いていく。したがって、国民の知る権利や人権がしっかり確保できる仕組みがないといけない。また、業務に携わる人たちをどう守るかについてもしっかりと構えを作らねばなりません。場合によっては外交や国防に関する重大な事態に発展する可能性がありますからね。国民のみなさんからしても、非常に敏感な問題になっていくと思います。
さらにいえば、今は人が情報を取ってくる「ヒューミント」ではなく、サイバー手段を通じてどんどん情報を取る「シギント」時代に変わっている。日本の情報・諜報活動の体制を強化するために、どの分野に最も注力すべきか、どうすればウサギの耳を高く大きくすることにつながるかということも、幅広く考えないといけませんね。「日本に007のようなエージェントがいればいいんじゃないか」というようなイメージだけの議論では不十分なのです。
