公明党の前進となった公明政治連盟が初めて挑んだ参院選(1962年)では創価学会に選挙対策本部が置かれた(共同通信社)
圧倒的な結束力を誇った「婦人部」も消滅、「集票力もかつてほどではない」
こうして中道新党が誕生したが、公明と立憲は完全に消滅するわけではなく、参議院や地方では両党がそのまま残る。
「特に地方議会では自民と公明が共同会派を組み、立憲と対峙するケースが少なくない。そのため公明党をなくせば収集がつきません。さらに中期的には自民と“復縁”するケースも想定して、地方の組織を維持しているとみることもできます」(広野さん)
中道新党の結成で来る総選挙はどうなるのか。
薬師寺さんは公明党の新党結成は自民党の大きな痛手になると予想する。
「公明党は全国に支部があり、都道府県議会議員や市町村議会議員が合計で3000人近くもいます。それを支えているのが創価学会の組織です。そして国政選挙では、比例区で500万票以上を得票してきました。今回の総選挙でこの票の多くが引き続き自民党に行くのではないかという見方がありますが、それは間違いでしょう。学会員は純粋な宗教活動として選挙運動をしており、創価学会が“この候補者”と支持・推薦したらそこに票を入れます。自民党は小選挙区でかなりの学会票を失う可能性が高いです」
一方、広野さんはこれまでの学会票が中道に行くとは限らないとみる。
「今回、公明党候補は小選挙区に出馬せず比例区のみの立候補となります。小選挙区では立民候補に学会票が回る算段ですが、その立民候補はこれまでの選挙で激しく戦ってきた相手です。たとえば枝野幸男さんが中道の選挙区候補になれば、これまで強力な“仏敵”として批判していた相手を応援して周囲に投票を促すことになる。
手のひらを返してかつての敵に投票する心理的抵抗は大きく、周囲からの信用も失う恐れがあり、思ったほど中道に学会票が集まらない可能性が充分にあります」(広野さん)
創価学会の組織的な退廃も大きなネックになる。小川さんは「もはや創価学会にかつてほどの“集票マシーン”としての力はない」と話す。
「創価学会は会員827万世帯を公称しています。しかし、2024年の衆議院議員選挙で596万票、2025年の参議院議員選挙では521万票と、公明党の得票数で見れば遠く及ばない。
これは高齢化に伴い、学会員の数が減少していることもありますが、専業主婦を中心として圧倒的な結束力を誇った婦人部の消滅(2021年に女性部に名称変更)など学会員たちの“選挙離れ”が進んでいることの証です」
時代の変化に伴い、組織の先細りは避けられない。
「創価学会に限らず、宗教団体をはじめとする支援団体が軒並み力を失い、どの政党も無党派層や無関心層の浮動票を頼りにしないと選挙に勝てなくなっています。このため消費税減税など大衆受けする公約ばかりになり、ますます政治家が信頼を失っている。
時代が大きく変わるなかで政治が不安定になるのは世界的な傾向ですが、有権者としてはどこに投票すればいいのかわからない困った状況が当分続きます」(島田さん)
安定性を失い、何を信じればいいかわからない時代にこそ、宗教の持つパワーは脚光を浴びてきた歴史がある。いまだけではなく、10年後、20年後の次世代まで、この国をつないでいくためにも、政治と宗教のあり方について、私たちは目をそらしてはいけない。
※女性セブン2026年2月12日号
