今年の一般参賀に参加された際の雅子さま(2026年1月、東京・千代田区。撮影/黒石あみ)
あとがきには「素人の作文」
両陛下の最側近としての活躍が期待される新長官だが、実は剣士のほかに文筆家としての顔も持つ。
「黒田さんは過去に2度熊本県へ出向するなど、地方生活の経験も豊富。熊本では同県出身の直木賞作家・光岡明さんとの交流を深めたそうです。光岡さんや地元新聞社の人らのすすめもあって、縁のある土地を舞台とした小説作品を2作も発表しているのです。
『ステップ』と『時のはざまに』というタイトルの2作品ですが、現在流通しているのは中古品のみ。ただ、黒田さんの長官就任で小説にも注目が集まったのか、一部では1万円以上の値で取り引きされています」(別の宮内庁関係者)
2005年に発売された『ステップ』(熊本日日新聞社)は、主人公の男性が息子とともに自宅のある秋田から熊本へと旅をするところから物語が始まる。
「秋田県は黒田さんの初任地ですし、主人公の妻が若い頃、剣道を嗜んでいたという設定など、著者である黒田さん自身のことがかなり投影されています。
主人公父子が熊本にある3000段の“日本一の石段”を上ることでそれぞれの過去と向き合い、家族の再生を描く作品ですが、異色な存在として登場するのが主人公の妻。彼女は病気に悩みながらも死に抗わず餓死を選ぼうとするだけでなく、妊娠を巡って自殺未遂を起こした過去があるなど、かなりエキセントリックなキャラクターとして描かれています。
当時は黒田さんにとっても手探りの執筆だったのか、同作への自己評価を《素人の作文》と自虐的にあとがきに綴っています」(霞が関関係者)
そんな処女作から6年後に発表したのが、もう一冊の『時のはざまに』(熊本日日新聞社)だ。物語は定年を間近に控えた男性会社員が同窓会の誘いを受け、中高時代の恋人と再会することで動き出す。青春時代の思い出や彼女との7年前の甘い記憶を遡りつつ、人生において経過していく時間と「自然体に生きるとは何か」を自問するような描写が随所にちりばめられ、ヒロインとの埋まりそうで埋まらない距離感を精緻に描く大人の恋愛小説となっている。
「兵庫県生まれの黒田さんだけに神戸や尼崎の街並みが丁寧に描かれ、阪神・淡路大震災からの復興に強い思い入れがあることをうかがわせる一方で、登場人物たちの外見に対する自意識が強い部分や、クライマックスの過激な暴力シーンなどはかなり特徴的です。
前作同様、執筆には試行錯誤されたようですが、あとがきでは《登場人物の輪郭を設定し、それぞれが結末に向かって自ら動き始めるようになるまで、当然のことながら何度も頓挫しかけました》と振り返るなど、執筆のレベルが前作より格段に高次元になっていることがうかがえます」(前出・霞が関関係者)
どちらの作品も通読した前出の別の宮内庁関係者は、自重気味にこう語った。
「20年近く前の作品ということを差し置いても、作中の女性に対する視点が男性優位で前時代的な印象を受けました。ところどころ眉をひそめるような場面があることは事実でしょう。凄惨なシーンもありますしね。宮内庁内では小説家の一面を持つことは知れ渡っていますが、中身までは精査されていないようです。雅子さまや愛子さまがお読みになったら、困惑される内容とは言えそうです」
多才な黒田氏には、3作目ではよりハートフルな作品を期待したい。
※女性セブン2026年2月19・26日号
