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自民党総裁選 各陣営注目の「麻生の乱」と「二階の変」
自民党総裁選 各陣営注目の「麻生の乱」と「二階の変」
 森友学園を巡り財務省の決裁文書が改竄された問題で、安倍内閣の支持率は軒並み30%台に落ち込み、「退陣水準」の20%台は目前だ。自民党員の支持率は世論調査よりさらに低いという情報がある。「執行部が党員を対象に実施した総裁選の情勢調査では、安倍首相の3選支持はひと桁で、3選は望まないという声が圧倒的だったようだ」(非主流派議員) 秋の自民党総裁選での「安倍3選」機運が急速にしぼんでいる。総裁候補の中でも、政権禅譲を期待して安倍批判をしない岸田文雄・政調会長への風当たりが強まり、首相に距離を置いていた石破茂氏の支持が高まるという現象が起きている。岸田派議員が心配する。「党内には6年間の安倍政治への不満が溜まっている。地方議員はなおさらだ。総裁選が始まれば、安倍批判票を集めるために、誰が一番強く安倍さんを批判するかの悪口合戦になる。明らかに岸田さんは出遅れた」 総裁候補の各陣営が注目しているのは、前国税庁長官・佐川宣寿氏の証人喚問後に起きる“麻生の乱”と“二階の変”だ。自民党二階派幹部はこう見る。「麻生さんが大臣を辞任すれば、間違いなく安倍降ろしを仕掛けてくる。安倍さんに総裁選不出馬を迫り、細田派、麻生派、二階派の主流派連合の数の力で次の総裁を担ごうと考えている。 しかし、二階さんの思惑は違う。いまや文書偽造問題で官邸は機能不全に陥っており、役人は国会運営と政権運営を二階(俊博)さんに頼っている。わざわざ麻生路線に従ってヘゲモニーを渡すはずがない。それに、二階さんは筆頭副幹事長の小泉進次郎という強力なカードを握っている。本人が次の総裁選に出ることは考えにくいが、総裁選は本命不在だけに進次郎が応援した候補が勝つ。二階さんも進次郎の判断に乗る」 その進次郎氏は「自民党は官僚だけに責任を押し付けるようなことはしない」と安倍首相や麻生氏の責任を問う姿勢を鮮明にした。※週刊ポスト2018年4月6日号
2018.03.27 16:00
週刊ポスト
安倍総裁「圧勝」大崩壊 自民党総裁選票読み、現在の状況
安倍総裁「圧勝」大崩壊 自民党総裁選票読み、現在の状況
 万全と見られていた安倍晋三・首相の自民党総裁選3選が、今国会で一気に揺らぎ始めた。どこよりも早い総裁選シミュレーションで見えてきた、「まさか」のシナリオとは──。 森友学園への国有地売却をめぐる財務省の“文書書き換え疑惑”で批判の矢面に立つ麻生太郎・副総理兼財務相だが、最終的に詰め腹を切るしか政権を守る方法はない、と覚悟を固める可能性があるという指摘も出ている。 政権の大黒柱である麻生氏が辞任する事態となれば、政権の大打撃だ。9月の自民党総裁選に向けた党内のパワーバランスが大きく変わると指摘するのは政治アナリストの伊藤惇夫氏である。「森友文書の書き換えが事実であれば、麻生財務相の引責辞任は避けられないでしょう。そうなると、安倍首相と麻生さんの関係は大きく変わる可能性がある。麻生さんが閣外に去れば、総裁選でフリーハンドを持つことができる。安倍政権が泥船と判断すれば見切りをつけて、例えば総裁選に岸田文雄・政調会長の出馬を促して安倍降ろしを仕掛ける選択だってある。党内第2派閥の麻生派が首相を支持するか否かで、総裁選のキャスティングボートを握ることができる」「まさか」の始まりである。◆「3月までは動くな」 自民党総裁選は405人の国会議員票と党員投票で行なわれる。 官邸サイドの現在の票読みは、安倍首相支持を鮮明にしている細田派(94人)、麻生派(59人)、二階派(44人)の主流3派の基礎票だけで197票と議員票の半数に迫る。これに「将来の政権禅譲」を期待する岸田文雄・政調会長が不出馬を決めれば岸田派(46人)、さらに額賀派(55人)も雪崩を打って首相支持に回り、菅義偉・官房長官ら無派閥の安倍支持派議員を含めると300票以上の予測が立ち、圧勝は確実の形勢というものだった。 だが、麻生氏が“離反”すると、その票読みは根底から崩れる。「3月までは動くな」──麻生氏は今年初めに岸田氏と会談した際、総裁選への出馬を判断する時期についてそう助言したとされる。安倍首相の総裁3選は傍で見るほど盤石ではなく、国会の情勢次第で流れがどう変わるか分からないと考えていたのだ。 その予言通り、3月に安倍政権は窮地に陥った。◆福田元総理の反旗 安倍首相のお膝元の最大派閥・細田派でも反安倍の動きが浮上した。政界引退後もなお同派に隠然たる影響力を持つ福田康夫・元首相が最近、積極的にメディアに登場して安倍政治に異を唱えている。 2月28日、都内で開催した講演では憲法9条改正について、「改正しなければいけないというのが先にきている。中身より通りやすいものでという感じになってしまっている。本当に良いのかという気がする」──そう語って首相の前のめりの改憲姿勢に水を浴びせた。そして総裁選について、「しっかりした人が出てこないんだったら3選でも4選でもしたらいい」と突き放した。 一連の森友問題については露骨に嫌悪感を見せた。「各省庁の中堅以上の幹部は皆、官邸(の顔色)を見て仕事をしている。恥ずかしく、国家の破滅に近づいている」(昨年8月)「国家の記録を残すということは、国家の歴史を残すということ。その時の政治に都合の悪いところは記録に残さないとか、本当にその害は大きい」(昨年12月) そう役所の対応に容赦ない言い方をしてきたが、それでも改まらないことから、ついに憲法改正という安倍政治の本丸に公然とNOを突きつけたのだ。「日本初の公文書管理法の生みの親である福田さんの怒りはすさまじく、安倍政治が続くことそのものを憂慮している。各派の幹部クラスには福田シンパが多く、福田さんの声は党内に共感を生んでいる」(麻生派ベテラン議員) 安倍首相の支持基盤である細田派、麻生派の真ん中に亀裂が走っているのだ。◆お友達人事も崩壊 そのうえ、首相を守る“親衛隊”も総崩れだ。政権の看板政策だった「働き方改革」では、首相は厚労省のデータ改竄問題で裁量労働制の今国会提出断念を余儀なくされた。 その「A級戦犯」とされるのが最側近の加藤勝信・厚労相だ。安倍家とは家族ぐるみの付き合いで首相の信頼が厚く、他派閥(額賀派)ながら官房副長官から一億総活躍相、労働政策を所管する厚労相と常に看板政策を任されてきた。 ところが、データ改竄問題では省内を統制できず、「廃棄した」と国会で説明した途端に省内で段ボール32箱分の資料が発見されるなど傷口を広げた。「総理は加藤大臣を公邸に呼びつけて大変な剣幕で怒鳴りつけた。それだけに、財務省の森友文書書き換え疑惑が表面化すると、加藤さんはザマアミロといわんばかりに冷ややかだ。政権の危機だが、火の粉が別の役所に飛んで助かったと思っているんじゃないか」(官邸スタッフ) 首相を守るどころではないようだ。◆石破と「大阪の乱」 その間にも、地方では反乱の芽が吹き出してきた。安倍首相がとくに気にしているのが「大阪の乱」だ。 自民党大阪府連の府議や市議たちが「石破茂を支援する会」を立ちあげ、「総裁選の党員投票で石破氏を応援する。総裁は代わってほしい」と声を上げている。「安倍総理や菅官房長官はわれわれ大阪の自民党より、敵である日本維新の会の主張ばかり大切にしている。府連では官邸のそうした姿勢に不満がたまっており、『敵に塩を送るような総理を3選させるわけにはいかない』と行動に出た」(大阪府連のベテラン議員) それに呼応して石破氏が大阪で盛大なパーティを開催(2月5日)すると、首相は大阪選出の国会議員たちを公邸の昼食会(2月16日)に招いて懐柔を図っているが、効果的ともいい難い。「来年は統一地方選がある。自民党の地方議員にはアベノミクスの効果が地方に及んでいないという不満が強く、国会議員と違って官邸の人事での締め付けは通用しない。政権の求心力がこのまま下がっていけば、大阪の乱は全国に伝播していく」(反主流派議員)◆様子見の二階幹事長 総裁選の帰趨を占う上で見落とせないのが二階俊博・幹事長の動向だろう。「安倍の次は安倍」といち早く首相の総裁3選を支持してみせた二階氏だが、財務省の文書書き換え問題では「理解できない」と政府に厳重抗議し、財務省の調査報告も出し直しを指示して首相に距離を置き始めた。 二階氏まで主流3派から離れるようでは支持基盤がガタガタになる。そこで安倍首相は急遽、二階氏と会談(3月7日)して“蜜月”をアピールした。しかし、老獪さでは首相より一枚も二枚も上の二階氏が総裁選で言葉通りに安倍支持に回るとは思われていない。細田派のベテランが語る。「総理はお人好しすぎる。二階さんは総理を上手におだてて西川公也・元農水相、今村雅弘・元復興相、江崎鉄磨・前沖縄北方相、そして温泉豪遊ハレンチ写真などで、就任早々ピンチに陥っている福井照・現沖縄北方相まで二階派の問題議員を次々に大臣に押し込んだ。彼らのスキャンダルでどれだけ政権の足を引っぱられたか。それでも風を読むのが得意な二階さんは、総理の3選が危ういと判断すれば、“わが派の入閣待望組の滞貨一掃してくれてありがとう”と簡単に勝ち馬に乗り換えるはずだ」◆2&3位連合で「安倍落選」 官邸は小泉シンパの無派閥の若手議員を中心とする勉強会『2020年以降の経済社会構想会議』を発足させた進次郎氏を安倍支持派に取り込もうとしているが、当の進次郎氏はその初会合(3月1日)で、「総裁選とは関係ない」と断言。 勉強会の幹事長には、安倍批判を鮮明にしている福田元首相の長男、福田達夫・防衛政務官が就任し、今後の情勢次第では若手勉強会が安倍降ろし側へと回る可能性さえある。 信任選挙と見られてきた総裁選の“票読み”はまったく分からなくなってきた。政治ジャーナリストの野上忠興氏は「安倍弱体化」のケースの総裁選の得票をこう予測する。「このまま政権の求心力が下がっていけば、主流派から麻生派が抜け、二階派が中立に回り、安倍首相の支持勢力がどんどん離れていく。そうなれば総裁選で首相が見込める議員票は細田派を軸に、各派にまたがるお友達議員など140~150票がせいぜいでしょう。党員票はもっと厳しい。安倍氏が第一回投票で1位になったとしても、過半数に届かずに決選投票となる可能性は十分に考えられる。 派閥の議員数で見ると、麻生・岸田派連合ができれば2位は岸田氏の約130票、石破氏が額賀派の一部や谷垣派、石原派を取り込んで3位の約80票といった順番ではないか。安倍対岸田の決選投票となれば、3位の石破氏が首相に乗るとは考えにくい」 まさかの“安倍退陣シナリオ”まで見えてきた。※週刊ポスト2018年3月23・30日号
2018.03.13 07:00
週刊ポスト
安倍、岸田、石破…憲法改正口にするのは「目立ちたいから」
安倍、岸田、石破…憲法改正口にするのは「目立ちたいから」
「我が党は結党以来、憲法改正を党是として掲げ、長い間議論を重ねてきた。いよいよ実現の時が来た」 安倍晋三首相は国会召集日(1月22日)の自民党両院議員総会でそう宣言した。政治が国のあり方を大きく変える憲法改正に踏み込むというなら、国民はそれによって「明日は昨日とどう変わるのか」、火のような論戦を聞いてみたい。 ところが、国会が始まっても、改憲という「結党以来の悲願」に挑むはずの自民党内には全く熱気が感じられない。自民党憲法改正推進本部の幹部が語る。「本気で憲法改正を発議するなら、今頃は党内一丸となって国民に改憲の必要性を訴えていかなければならない。しかし、推進本部の幹部席には高村正彦ら引退議員と安倍側近が並び、総理へのお付き合いで『ああでもない、こうでもない』と議論しているだけ」 長年、憲法改正国民運動の先頭に立ってきた保守派の論客、櫻井よしこ氏は、そんな自民党内のムードを見かねてこう叱責している。「冷めたピザではないのだから、もっと熱をあげてほしい」(1月23日に開かれた「国家基本問題研究所」の月例研究会より)“冷めたピザ”みたいな改憲論議など国民だって食べたくないが、なぜ、自民党内がそうなっているかの舞台裏を覗くと実力者たちの思惑が見えてくる。「自民党リベラル派」を看板にする岸田文雄・政調会長はこの間、9条護憲派から改憲派へと転向し、“変わり身の早さ”を発揮した。「9条の改正は不要という考えに変わりはない」 モリカケ問題で安倍内閣の支持率が下がっていた昨年9月、岸田氏はそう語り、派閥の会合でも「宏池会(岸田派)は伝統的に憲法に愛着がある」と首相にはっきり距離を置いていた。 だが、安倍首相が総選挙に大勝して求心力を回復すると、いとも簡単に憲法への愛着を捨てた。今年1月9日のテレビ番組では、「9条2項を残したうえで、自衛隊を明記すること自体は意味がある」と安倍私案への賛成を表明して見せた。「将来、安倍首相から政権禅譲を受けるためにはここで恭順の意を表しておく必要がある」(岸田派議員) 総裁レースが有利になるなら9条改正など賛成でも反対でもどっちについてもいいという無責任な姿勢が滲んでいる。「自民党草案を変えるというなら総理が党内に説明すべき」 そう批判して「憲法改正」を総裁選の宣伝材料に利用しているのが石破茂・元幹事長だ。 自民党の正式な憲法改正草案には「国防軍」の創設が盛り込まれている。党内の9条改憲派にとって「国防軍」は悲願だ。 かねてから現憲法の前文を「いじましい。みっともない憲法」と批判してきた安倍首相も、石破氏も、本来はともに国防軍創設論者だったが、首相は公明党を抱き込むために昨年5月、方針を大転換した。「多くの憲法学者や政党の中には、自衛隊を違憲とする議論が今なお存在しています。『自衛隊は、違憲かもしれないけれども、何かあれば、命を張って守ってくれ』というのは、あまりにも無責任です」 そう語って9条に自衛隊を明文化する改憲私案を発表した。国防軍創設をあきらめ、9条改憲の“叩き売り”をしたようなものだ。それを石破氏は安倍攻撃の格好の標的と見た。「自民党草案では国会を通りっこないというのは敗北主義だ」「交戦権なき自衛権という概念は存在しない」と叩き、“我こそは真の改憲派”をアピールしている。「石破さんの言うことは一見筋論のようだが、本当の狙いは公明党との妥協をぶち壊し、安倍総理に憲法改正をさせないようにすることにある」(細田派議員) 後に、石破氏は馬脚を現わすことになる。◆改憲呼びかけ=自民党広告 改憲のテーマは9条だけにはとどまらない。安倍首相は「教育無償化」をあげ、自民党憲法改正推進本部では、安倍私案の9条と教育無償化に加えて「参院選の合区撤廃」、「緊急事態条項」の4項目が議論されている。 なぜ、幅広い憲法の中で4項目に絞られたのか。その裏にも打算が色濃い。保守論壇の大物、西尾幹二・電気通信大学名誉教授が語る。「安倍首相の9条改正私案が公明党取り込みのための妥協なら、教育無償化は維新の党への配慮です。どちらも、憲法改正発議が国会で成立しやすくするためだけの取引材料。安倍さんは自分の手で改憲さえできれば中身はどうでもいい」 憲法を改正した総理として歴史に名を残す。そんな安倍首相の姿勢を正論で批判しているように見える石破氏は、自民党の改憲4項目のうち「参院選の合区撤廃」の熱心な旗振り役だ。 憲法学者の上脇博之・神戸学院大学法学部教授はそこに“我田引水”の不純な動機が見て取れるという。「一票の格差是正で島根・鳥取と徳島・高知が合区された。自民党はそれを地域的不平等だとねじ曲げた論理で、憲法に各県から最低1人以上の参院議員を選出する条文を加えようとしている。鳥取選出の石破氏がそれを推進しているのは、地元選出議員を増やして自分の勢力拡大を考えているからでしょう」 安倍首相が名誉欲なら、石破氏は数のために憲法もねじ曲げる。 安倍政権は公明党や日本維新の会、希望の党の改憲賛成派などを取り込んで改憲案を発議し、来年7月の参院選に合わせて国民投票とのダブル選挙を実施する──というスケジュールを視野に入れている。 その国民投票さえ、自民党にとっては参院選を圧倒的に有利に戦う“抜け道”に他ならない。 参院選は公選法で新聞広告やテレビCMに規制があるが、憲法改正の国民投票は公選法の対象外で、第1次安倍内閣が成立させた国民投票法では、新聞や雑誌、ネット広告で改憲への賛成を呼びかけるのに制限が定められていない(テレビCMだけは国民投票14日前まで)からだ。しかも、政党交付金は自民党の年間約176億円に対して、立憲民主が約16億円、希望の党は約20億円で資金力は段違い。「自民党がカネにまかせて参院選の公示後も憲法改正への賛成を呼びかける広告を新聞・ネットなどに流し続ければ、参院選で野党はひとたまりもない」(野党幹部) 前出の西尾氏はこう言って嘆息した。「憲法改正は国の根幹にかかわる大事業。目先の都合や政治的打算で行なわれれば、必ず将来に禍根を残す」 こんな打算まみれの改憲論議の末に“自衛隊を合憲にしたぞ”と胸を張られても、最前線で国の守りにつく自衛隊員たちは虚しくなるばかりではないだろうか。※週刊ポスト2018年2月9日号
2018.02.01 07:00
週刊ポスト
元自民党重鎮・村上正邦氏 自民党、日本政治の危機を嘆く
元自民党重鎮・村上正邦氏 自民党、日本政治の危機を嘆く
 岸田文雄・政調会長、野田聖子・総務相、石破茂・元幹事長がポスト安倍有力候補として、安倍首相外遊のタイミングで突然、動き始め、9月の総裁選への意欲を見せ始めた。競争があるのは良いことではあるものの、いずれもダイナミックな動きは見られない。自民党旧中曽根派会長で「タカ派の武闘派」として数々の権力闘争を経験してきた村上正邦・元自民党参院議員会長はこの状況に自民党、日本政治の危機を見て取る。「自民党総裁選は日本の首相を選ぶ、つまり国の針路を決める選挙だ。過去、多くの実力のある政治家たちが子分を養い、政策を磨き、総裁の座をめぐって血みどろの権力闘争を繰り広げた。そうした権力闘争で国をどこに向かわせるべきかを決めてきたわけです。それが政治の活力を生んだ。 田中角栄先生はよく“人間は裸で生まれ、裸で死ぬ。失うものはない”ということを言われた。政治家は一代限りと覚悟して事に当たれという意味だ。安倍の政治を変えるべきだと考えるなら、権力をつかむためすべてを失う覚悟で挑まなければならない。 しかし、2世、3世政治家には、一族の名誉だとか、親父の顔に泥はぬれないとか、守るものが多すぎる。だから総裁候補と呼ばれても、すべてを失う覚悟で真剣勝負を挑む気概がない」 そう指摘をする村上氏は、さらに嘆く。「聞こえてくるのは国家論ではなく、岸田と麻生(太郎・副総理)が会談しただの、野田と石破が一本化しないだの、スケールの小さい話ばかり。今の自民党は本当の意味の権力闘争がなくなり、こんな顔ぶれから安倍の次、その次の代の総理・総裁が選ばれるなら、自民党も日本の政治も間違いなく衰退に向かう」 安倍首相に勝つ気がないのに出来レースの総裁選をするくらいなら、石破氏も野田氏も岸田氏もみんな出馬を辞退し、それこそ「勝ち目」がある小泉進次郎氏や河野太郎氏が安倍首相に挑む方がよほど「日本の針路」を問いかける戦いになるはずではないか。※週刊ポスト2018年2月2日号
2018.01.27 16:00
週刊ポスト
岸田文雄、野田聖子、石破茂らがポスト安倍へ動くセコい理由
岸田文雄、野田聖子、石破茂らがポスト安倍へ動くセコい理由
 国会開会直前、岸田文雄・政調会長と野田聖子・総務相、石破茂・元幹事長が“ポスト安倍”有力候補として、突然動き始めた。岸田氏は麻生太郎・副総理と会合を持ち、野田氏はフィリピンのドゥテルテ大統領と面会。さらには「推薦人を集める自信は150%ある」と総裁選出馬を公言し、石破氏は減税に言及した。いずれも安倍晋三首相が外遊の際のことであり、まさに“鬼の居ぬ間”を待っていたかのような動きである。9月の自民党総裁選までまだ時間はある。なぜこのタイミングなのか。それには“さもしい”ワケがあった──。 3候補の“総裁選から騒ぎ”の裏には、仕掛け人がいた。岸田氏を大いに慌てさせ、安倍首相外遊中の1月15日夜に東京都内の料亭で麻生氏と会談を持つ“麻生詣で”に走らせたのは、次のようなきっかけがあった。「安倍総理が総裁選で3選して東京五輪までやれば、次は河野太郎の時代になる」という発言である。これは菅義偉・官房長官が周辺に流した“河野待望論”とされ、新聞でも活字になった(朝日新聞1月13日付)。 この発言によって、岸田氏は総裁選後の出馬をめぐって揺れ動く。菅氏に近い議員の見方はこうだ。「河野待望論に浮き足立った岸田さんが麻生さんを頼ったことで、麻生・岸田両派の合併で大派閥が生まれることを警戒する安倍総理は岸田さんに決定的な不信感を抱いたはずだ。これで岸田禅譲の芽はほぼ消えたと見ていい」“待望論”発言の意図を、この議員はこう説明する。「安倍政権から岸田政権へと禅譲が行なわれれば、菅さんは出番がなくなる。なんとしても岸田氏への禅譲の流れを止めたい菅さんは、先ほどの発言が岸田に届くように仕向けた。それを頭から信じ切って『禅譲されるから』と安心していた岸田氏が急にそわそわし始めたということです」 本誌『週刊ポスト』は前号で、麻生氏と菅氏が河野外相擁立で手を組む可能性を報じたが、岸田氏は、麻生氏からも“河野カード”で翻弄されている。「河野の注目度アップで麻生派は自前の総裁候補を握った。ポスト安倍に岸田を推すか、それとも河野を立てるかは麻生さんの腹ひとつだ」(麻生派幹部) これまでの岸田氏は派閥合併に消極的だったが、“河野カード”が切られ、安倍首相からの禅譲路線が難しくなったことにより、総裁を目指すには否応なく麻生氏の言いなりになるしかないという状況に追い込まれている。 一方で、野田氏が推薦枠を「150%」も集められるという自信を持っているのにも“裏”がある。実は、野田氏と菅氏は“密約”を交わしていたというのだ。安倍側近の話である。「総理は総裁選で石破氏との一騎打ちになるのを嫌って“総裁選を盛り上げろ”と指示を出している。一騎打ちでも勝利は間違いないけれども、自分にことごとく逆らう石破さんと党員票で接戦にでもなればプライドに傷がつく。 そこで、総理の意向を忖度した菅さんは総裁選での“石破氏封じ込め”のために野田氏を裏で支援することを決めた。総裁選で反安倍票を分散させるために、“石破とは組まない”ことを条件に野田聖子に推薦人を貸し出すつもりだ。野田が『150%』と出馬に自信を見せているのも、官邸から兵が借りられると計算しているからだ」 野田氏は1月16日の講演で石破氏と「反安倍連合」で候補者を一本化する可能性を問われ、「ありません」と自信たっぷりに否定して見せた。これは、約束手形を頼みにしているからなのか。 3人の総裁候補たちは麻生─菅氏の掌の上で踊らされているピエロのようにも見えてくる。※週刊ポスト2018年2月2日号
2018.01.23 16:00
週刊ポスト
安倍首相外遊で鬼の居ぬ間に岸田、野田、石破に不穏な動き
安倍首相外遊で鬼の居ぬ間に岸田、野田、石破に不穏な動き
「国会が終わって蝉の声が聞こえてきた後に考えたい」──安倍晋三首相は9月の自民党総裁選への出馬について余裕綽々の言い方をして通常国会前に東欧諸国とバルト3国を歴訪(1月12~17日)した。 訪問先のブルガリアでも、「閣内にあろうがなかろうが、我こそはという人は手を挙げていただければいい」と、“誰の挑戦でも受ける”と総裁3選に自信を見せた。 そんな“鬼の居ぬ間”を待っていたかのように自民党内で不穏な動きが相次いだ。政権を支える2人の派閥領袖、岸田文雄・政調会長と麻生太郎・副総理が東京都内の料亭で会談を持ったのは安倍首相が留守中の1月15日夜だった。呼びかけたのは岸田氏で、両派の事務総長クラスの幹部も同席した。麻生派議員が語る。「岸田さんが麻生さんに頭を下げてポスト安倍に向けた協力を要請したと聞いている。派閥合流の話題も出たようだ」 会談は党内に波紋を広げた。それというのも、岸田氏は安倍首相からの「3年後の政権禅譲」を狙って今年の総裁選には出馬しないという見方が有力だったからだ。しかし、最近は派閥の会合で「われわれ宏池会(岸田派)は憲法に愛着がある」と憲法改正を進める安倍首相との違いを強調するようになっていた。「岸田さんはこのまま禅譲を待っているうちに、河野太郎、小泉進次郎らが台頭して出番を失うのではないかと焦っている。しかし、総裁選で総理に挑んで惨敗すればそれこそ“次の次”の芽もなくなる。総裁選で恥ずかしくない票を取るには麻生派の数が必要だから、麻生さんの腹を探った」(岸田派参院議員) そんなおっかなびっくりの岸田氏とは対照的に、“出る、出る”と一番派手に飛び跳ねているのが野田聖子・総務相だ。「推薦人を集める自信は150%ある」 そう総裁選出馬を公言し、夫と障害を持つ長男をつれてフィリピンを公式訪問。ドゥテルテ大統領と会談したかと思うと、この春には女性の政治塾を立ちあげる。16日の講演では、総理になる日のために毎年、「野田内閣の閣僚名簿」を作っていると明かしてメディアにネタを提供するリップサービスぶりだ。 岸田氏には「何のために首相をめざすのか。“お座り”して(順番を)待っているのは国民軽視だ」と痛烈な言い方でケンカを売る一方で、首相には「安倍内閣を倒すつもりはない」とも公言している。総裁選出馬を目指すのは、「泡沫でも出ることに意義がある」という“記念受験”のようなものだ。 石破茂・元幹事長も負けじと安倍批判のトーンを一段と上げた。「法人税を増税し、所得税減税で消費を喚起すべき」 なんと、こちらは大減税をぶち上げて首相の消費税増税路線に真っ向から反対を唱えたのだ。“減税の石破”を売りに総裁選で地方の党員票を掘り起こす作戦らしいが、それなら昨年末の税制改正で政府・自民党が正反対の「法人税減税とサラリーマン増税」を決めたときにもっと反対すべきだろう。「石破派は20人の弱小派閥で圧倒的に不利。そこで総裁候補がいない額賀派との派閥合併話が浮上しているが、額賀派には勝ち目がない石破を担ぐメリットはない。党内で封じ込められ、見え見えの人気取りで目立つしかない」(細田派議員) 安倍首相が外遊へ旅立つ前日の11日に、石破氏は派閥の政治資金パーティーを通常国会召集後の2月に開催する案内をブログに告知したものの、果たして何人集まるのだろうか。なんとも情けない総裁候補たちである。※週刊ポスト2018年2月2日号
2018.01.22 07:00
週刊ポスト
河野太郎政権誕生の現実味 小泉純一郎は「大化けするかも…」
河野太郎政権誕生の現実味 小泉純一郎は「大化けするかも…」
「安倍3選は確実」と見られている9月の自民党総裁選が、にわかに風雲急を告げている。「次の総裁選で必ず河野太郎を立ててやる」 麻生太郎・副総理がそんな不穏な言葉を口にしたのは半年ほど前だったという。 安倍晋三首相が内閣改造(昨年8月)で麻生派の大臣枠を減らし、自民党3役からも外したときだ。首相にすれば、モリカケ疑惑で支持率が急落する隙を突くように麻生氏が派閥合併路線に乗りだし、麻生派を党内第2派閥に急成長させたことへの牽制だったが、麻生氏はこの仕打ちに沸騰した。「旧谷垣グループから麻生派に入会した有力議員を大臣で処遇するつもりだった麻生さんは総理に面子を潰され、怒りの形相だった」(同派議員) 逆にこの人事で大きな影響力を見せつけたのが麻生氏と対立関係にある菅義偉官房長官だった。 菅氏は「政治の師」である故・梶山静六氏の長男・弘志氏、秘書として長年仕えた故・小此木彦三郎氏の三男・八郎氏の2人を入閣させ、大臣ポスト争奪戦で麻生氏を出しぬいた。だが、実は、それは安倍政権から足抜けする布石だったという見方がある。「菅さんはあの時点で安倍総理の総裁3選は難しいとみていた。そうなると総裁選後に官房長官も交代する可能性が高い。だから前回の改造が官邸で力を振るえる最後の人事と判断して恩人の息子たちを大臣に押し込んだ」(菅氏に近い議員) 当時、トロイカ体制は終焉を迎えかけていたのだ。ところが、大逆転が起きる。安倍首相が昨年10月の解散総選挙という起死回生の大博打に勝利して求心力を回復し、総裁3選の道を切り開いたからだ。しかし、いったん崩れた3人の信頼関係は元には戻らない。「安倍首相は総裁選後、政権の総仕上げに向けて麻生―菅のトロイカから骨格を根本的に組み替え、新しい体制をつくるつもりだ。中枢から外されることが見えている2人にすれば、生き残るには手を組んで総裁選で総理に挑まざるを得ない情勢になってきた」(同前) その“切り札”に浮上したのが河野カードだ。◆大化けするかもしれない〈岸破聖太郎〉──ポスト安倍の総理・総裁候補である岸田文雄氏、石破茂氏、野田聖子氏、河野太郎氏の4人の名前を合成してそう呼ばれる。その中で唯一、安倍首相を相手の総裁選で大番狂わせを起こす可能性を秘めているのが河野氏だ。「太郎が総裁選に出馬したら、かつての小泉のような(*)国民的人気を呼ぶかも知れない」【*2001年の自民党総裁選で、勝ち目がないと言われていた小泉純一郎氏は「自民党をぶっ壊す」と言って国民的人気を呼んだ。その流れに乗った地方の党員、国会議員が雪崩を打ったように小泉氏を支持。大本命と言われていた橋本龍太郎氏を破って総裁となった】 ある自民党長老はそう語り、比較された小泉純一郎・元首相も首相経験者の会合で、「あの男は大化けするかもしれない」と漏らした。 河野氏は永田町で「総理になれない家系」といわれる河野家の三代目。祖父の一郎氏は池田勇人・元首相のライバルだったがついに首相になれず、父の洋平・元衆院議長も「総理になれなかった自民党総裁」だ。太郎氏も若手議員時代には党の方針に逆らって国会の採決で何度も造反、「自民党の異端児」と呼ばれた。そのため出世は遅く、当選7回で内閣府の行政改革相に就任(2015年)したのが初入閣だったが、外相になると評価は一変する。 就任前は「河野談話」で知られる父と同じ親中、親韓派と見られていた。だが、日中外相会談で王毅外相に「大国としての振る舞い方を身につけていただく必要がある」と注文をつけ、慰安婦問題で韓国の文在寅大統領が日韓合意では解決できないと表明すると「断じて受け入れることはできない」と反論するなど中韓に毅然とした対応をとった。 外相を4年務めた前任の岸田氏の“リベラル外交路線”が目立たなかったのに対し、就任半年で「河野外交」を強く印象付けたのだ。◆進次郎とも馬が合う 麻生氏は洋平氏から派閥を引き継いだことから、太郎氏は麻生派の「正統なプリンス」でもある。菅氏との関係も良好だ。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が語る。「菅さんは、行革相時代の仕事ぶりで『河野太郎はできる』と高く評価し、総理に外相起用を推挙した。菅さんがポスト安倍でキングメーカーになることを考えていることはほぼ間違いなく、今年の総裁選で麻生氏と組んで河野カードを切るかもしれない」 政治ジャーナリスト・藤本順一氏は河野政権誕生のシナリオをこう予測する。「ポスト安倍に向けて岸田派、石破派、それに額賀派が三派連合を組む動きがある。そうなると安倍政権の屋台骨を支えてきた麻生氏と菅氏は政局の主導権を奪われかねないから、確執はあっても手を組まざるを得なくなる。共通の総裁候補は河野氏しかいない。 そうなるとキーマンは小泉進次郎氏。同じ神奈川県選出議員として河野氏の支援に回る可能性がある。2人はともにアメリカに留学しており、旧態依然とした永田町の論理とは一線を画す政治スタイルは共通していて、馬が合うようです。もし菅氏、麻生氏に加えて進次郎氏まで河野支援に回れば、河野政権誕生が現実味を帯びてきます」“異端児”が吹かせる風は、秋の巨大台風となるか。※週刊ポスト2018年1月26日号
2018.01.16 07:00
週刊ポスト
女性セブン2018年3号以外使用NG
小泉進次郎氏 安倍内閣支持率低迷すれば9月の総裁選出馬も
 森友・加計学園問題で大揺れとなった2017年の安倍政権だが、2018年も穏やかな船出とはいかないようだ。 なかでも「第二のモリカケ」と噂されるのが昨年12月に発覚した「スパコン詐欺事件」。コンピューター開発会社社長の齊藤元章容疑者(49才)が、国の助成金4億3000万円を騙し取った容疑で逮捕された一件である。「齊藤容疑者は『安倍首相に最も食い込んだ男』として知られる元TBS記者でジャーナリストの山口敬之氏(51才)と昵懇で、山口氏の住む超高級賃貸マンションの家賃はスパコン会社が負担していた。山口氏はフリージャーナリストの伊藤詩織さんに性的暴行を加えた容疑で逮捕状が出た人物です(その後不起訴に)。安倍首相の“オトモダチ”である山口氏を通じて、政界から齊藤容疑者に何らかの利益供与がもたらされた疑いがあり、野党は首相を徹底追及する方針です」(全国紙政治部記者) 2017年末には、リニア中央新幹線建設工事でゼネコン大手4社による談合事件も明らかになった。こちらも安倍首相に近い人たちが中心におり野党は政権絡みで責任を追及するとみられる。 年明け早々厳しい情勢が予想される安倍首相だが、2018年は“悲願達成”の一歩を踏み出す年。政治評論家の有馬晴海さんが語る。「今年は国政選挙がないので、安倍首相は念願の憲法改正に邁進するはずです。通常国会で審議を進め、早ければ6月にも衆参両院で憲法改正発議がなされる可能性がある」 通常国会終了後の9月には自民党総裁選がある。順当にいけば安倍首相の3選だが、不穏な動きも見られる。「体調不良説が根強いうえ、年明けからのスパコン・リニア疑惑追及で支持率が低迷すれば、出馬断念に追い込まれる可能性がある。 2017年の衆院選後に総裁選出馬を問われ、『政界は一寸先は闇』と含みをもたせた岸田文雄を中心に、石破茂、野田聖子、河野太郎らが総裁の座を虎視眈々と狙っている」(前出・全国紙記者) なかでもダークホース視されるのが小泉進次郎氏(36才)。「2017年の衆院選後、安倍首相が教育無償化の財源を財界に求めたところ、『党は何も聞いていない』と猛反発するなど、進次郎氏は現政権への不満を高めている。 安倍内閣の支持率が低迷したまま総裁選に突入すれば、国難を救うために進次郎氏が立ち上がる可能性がある。総裁選の勝敗はわからないが、少なくとも進次郎氏が立ち上がれば、ついていく若手はたくさんいる」(別の全国紙記者) もし勝てば、史上最年少の総理大臣が誕生する。東京五輪を前に歴史が動くか。※女性セブン2018年1月18・25日号
2018.01.15 16:00
女性セブン
改憲案の国民投票実施なら憲政史初の「首相リコール投票」に
改憲案の国民投票実施なら憲政史初の「首相リコール投票」に
 国政選挙が予定されていない2018年の政治の最大イベントは、9月の自民党総裁選だが、ほぼ安倍晋三首相の3選が確実視され、国民の多くは“政治に大きな変化は起きない”と思っているのではないか。 ところが、そうした前提が根底から覆されるかもしれない。自民党内で総裁選延期説が急浮上している。「憲法改正を掲げて先の総選挙に勝利した安倍総理は、1月召集の通常国会での改憲発議に意欲を燃やしている。会期内に改憲案が衆参で可決されれば、60~180日以内に国民投票が行なわれる。 その最中に総裁選を実施し、“ポスト安倍”と目される石破茂さんや岸田文雄さんが遊説で“私は総理とは9条改正についての考え方が違う”などと言い出せば改憲がぶち壊しになってしまう。そこで官邸では、通常国会で改憲発議すれば総裁選を1年延期し、国民投票で憲法改正を成立させることに全力をあげるというシナリオが検討されている」(安倍側近議員) 日程を整理すると、通常国会の会期末(6月)までに改憲案が国会で発議されると、早ければ8月、遅くとも12月に我が国初めての国民投票が実施される。発議から国民投票までは改憲賛成派と反対派がメディアを通じて国民に主張を訴える「国民的議論」の期間になる。ただし、安倍首相にとって国民投票は政権の存立に直結する大博打でもある。 欧州では、2016年に英国の国民投票でEU離脱が決まり、離脱反対だったキャメロン首相が辞任に追い込まれた。イタリアでも、総選挙に大勝したレンツィ首相が憲法改正の国民投票を実施したが、否決されて辞任した。政治ジャーナリスト・野上忠興氏が語る。「議院内閣制では国民が直接、総理大臣を選ぶことができない。そのため、憲法改正など大きな政治テーマの賛否を問う国民投票が、そのまま政権に対する信任投票の性格を帯びやすい。 政権への不満が強まると、改憲案の内容には反対ではなくても、“この政権は嫌だから否決しよう”という反対票が増える。改憲案が国民に否決されれば安倍首相がいかに国会で圧倒的多数の議席を持っていても、内閣総辞職しなければならない」 可決されれば安倍首相はその後の総裁選も勝ち、異例の長期政権時代に突入し、“一強体制”が続くことになる。だが、改憲案が否決されれば首相は交代し、経済政策だけでなく、外交路線から「女性宮家創設」といった課題まで政治の方向性が大きく転換される可能性がある。 国民が自分の1票で強大な政権の命運を決めることができる憲政史上始まって以来の“首相リコール投票”が実施されるのだ。※週刊ポスト2018年1月1・5日号
2017.12.21 16:00
週刊ポスト
二階俊博・自民幹事長 正攻法に頼らず派閥の人数増やす異能
二階俊博・自民幹事長 正攻法に頼らず派閥の人数増やす異能
〈政治は数、数は力〉──という田中角栄流の「数の論理」は昔も今も自民党派閥政治の基本原理だ。選挙で子分を増やして兵を養い、権力の座を目指す。総選挙による派閥勢力の消長は政界地図を大きく塗り替える。 特別国会が召集され、第4次安倍内閣が発足すると、自民党では各派閥が拡大合戦を展開中だ。 ポスト安倍をうかがう実力者、岸田文雄・政調会長(岸田派)と石破茂・元幹事長(石破派)は派閥の候補全員を当選させてしっかり“次”を射程に入れると、議席を減らした他の派閥は負けじと新人議員の囲い込みに躍起となっている。親分の谷垣禎一氏が引退した谷垣グループは“草刈り場”になる。 だが、そのはるか上を行くのが二階派だ。二階俊博・自民党幹事長は党内の陣取りではなく、選挙中から“スカウト”のアンテナを野党に向けていた。 選挙最終盤の10月19日、沖縄・那覇市随一の歓楽街にある高級おでん屋の奥の個室で、秘密の会合が開かれた。上座に座ったのは二階氏最側近の武田良太・自民党副幹事長。「幹事長特別補佐」の肩書きを持ち、党内では「二階氏の政界裏工作担当」と呼ばれる。 同席したのは沖縄2区の自民党候補の選対幹部たちだが、その中に、敵陣営の最高幹部がいた。 沖縄1区で自民・國場幸之助氏と争っていた日本維新の会の下地幹郎氏の実兄で、地場大手建設会社の社長を務める下地米蔵氏と、やはり下地陣営の選対幹部を務める元県議の2人だ。自民党関係者がこの“呉越同舟会合”の中身を明かす。「会合では沖縄の選挙情勢分析が行なわれ、武田副幹事長は“下地(幹郎)さんは沖縄のために必要な人。国会に残ってもらわないと”と心配し、米蔵社長は“幹郎をよろしく”と頭をさげたと出席者から聞いています」 その下地氏は小選挙区では落選したが、九州ブロックの比例代表で復活当選した。 自民党副幹事長が選挙中に対立候補の選対幹部と会合を持つのは異例だろう。本誌の直撃に米蔵氏は、「選挙情勢の話をしただけ」、武田氏も「下地社長には沖縄2区で自民党が建設業界の票をもらっているからお礼を言った」と説明する。 だが、地元では、「下地氏はもともと自民党橋本派の出身で、二階幹事長はその手腕を高く評価し、二階派にスカウトしたいと考えている。武田氏はそうした意を受けて会談を持ったのではないか」(前出・自民党関係者)という見方がなされている。 こうした人脈のネットワークが二階派の“復元力”を支えている。 二階氏は解散前、無所属議員を次々に二階派に入会させて岸田派を抜く党内第4派閥(47人)に拡大させたが、総選挙では西川公也・元農水相や同じ派閥の門博文・代議士との“路チュー”スキャンダルを起こした中川郁子氏、夫の“ゲス不倫”に加え、自身の公用車の私的利用で叩かれた金子恵美氏ら、派閥の候補が8人も落選して勢力を減らした。 ところが、選挙後の短期間に中曽根康弘・元首相の孫の康隆氏など新人5人を次々に入会させ、瞬く間に勢力を44人にまで挽回してみせたのだ。自民党最大派閥・細田派の議員が語る。「二階さんが怖いのは、選挙という正攻法によらずに数を増やす異能を持っていることだ。新人や他派閥からのスカウトだけではない。政界に広くアンテナを張りめぐらせ、無所属議員を派閥に入れ、他党からも引き抜く。そして二階派に入れば、カネも票も面倒見る。こんな芸当ができる政治家は今の自民党には他にいない」 選挙で子分を増やす正攻法しか知らない岸田派や石破派は、「逆立ちしても細田派を超えることはできないから脅威ではないが、二階派はどこまで膨らむかわからない」(同前)と警戒しているのである。※週刊ポスト2017年11月17日号
2017.11.06 07:00
週刊ポスト
小泉進次郎氏は安倍政治をぶっ壊せるか 東京五輪後が正念場
小泉進次郎氏は安倍政治をぶっ壊せるか 東京五輪後が正念場
 総選挙において全国各地で自民党候補者の応援弁士を務め、安倍晋三首相以上の動員力を見せつけて「自民党の新しい顔」となった小泉進次郎・筆頭副幹事長。今回の総選挙は安倍首相にとって“師匠”である小泉純一郎氏の息子である進次郎氏の人気を利用する絶好のチャンスとなった。政治評論家の有馬晴海氏が語る。「イエスマンではない進次郎に全国行脚させることで安倍さんは逆風をプラスに変えた。これは手始めです。 憲法改正という超大型の政治課題に取り組むには高い支持率を維持しなければならない。かつて小泉元首相がやったように、今度は安倍さんが進次郎を手元に置いてその人気を自分の政権の安定にとことん利用しようとするはずです」 そのためには進次郎氏をしっかり政権に縛り付けておく必要がある。実は、首相が総選挙で突然掲げた「全世代型の社会保障への転換」は進次郎氏が提唱する政策だ。政策を融合させることで、後継のレールを敷き、《安倍の自民党》に取り込む意図が透けて見える。 果たして進次郎氏は“安倍傀儡”に甘んじるのだろうか。自民党が政権を失った2009年総選挙で初当選した進次郎氏は、若くして首相になったことで失敗した安倍氏を反面教師とするかのように、正反対の政治姿勢をとってきた。父や安倍氏が所属していた細田派に入らずに無派閥を通し、自民党総裁選(2012年)では安倍氏と争った石破茂氏に投票して反安倍の道を選んだ。 内閣改造のたびに入閣候補に名前が挙がっても、「まだまだかけるべき『雑巾がけ』の期間がある」と下積みを志願し、決して“親の七光り”で出世コースに乗ろうとはしない。自分への当てつけのようにさえ見える政治家人生を歩む進次郎氏は、安倍首相にとっては不気味な存在だ。 進次郎氏はこの先、首相と手を握るのか、袂を分かつか3つのポイントで選択を迫られる。 最初は次の内閣改造だ。自民党内では総選挙の論功行賞で「進次郎の入閣は確定」(細田派議員)と見られており、幹事長への大抜擢説もある。そうなるとまさに安倍首相と同じ出世コースだ。人事を受け入れるかどうかの決断は進次郎の政治家人生を大きく左右する。 2番目は安倍首相と石破氏らの出馬が予想される来年9月の総裁選である。「来年のことを話すのは早いのではないか」 NHK開票番組でそう語って態度を保留したが、安倍3選を支持するかどうかの踏み絵を迫られるのは間違いない。 そして憲法改正がある。自民党で震災被災地支援の先頭に立ってきた進次郎氏は、「憲法改正の前に目の前の生活がある」と首相の改憲論を批判して震災復興を優先すべきだと唱えていた。安倍改憲にどういう姿勢を取るかが問われる。 その3つの選択の後に、進次郎氏が大分市の演説会(10月16日)で予告した“勝負の時”がやってくる。「2020年9月6日、東京パラリンピックが閉幕する。翌日の7日から日本は正念場を迎える。その時のことを考えて『人生100年時代』に誰もが豊かに暮らせ、子どもたちを支える社会をつくるために、今までとは全く違う政策を打ち出します」 東京五輪後に日本社会は危機を迎え、その時こそ安倍政治と決別するという宣言のタイミングだとも読み取れる。 2020年9月7日──。進次郎氏が父・純一郎氏のように「安倍政治をぶっ壊す」と独立戦争を起こすか、それとも安倍首相のように服従を誓って政権禅譲を受ける道を取るか。政治家としての真価が問われる。※週刊ポスト2017年11月10日号
2017.11.01 11:00
週刊ポスト
小泉進次郎氏 首相の座を意識し官僚集めた勉強会立ち上げる
小泉進次郎氏 首相の座を意識し官僚集めた勉強会立ち上げる
 安倍晋三首相は類い希な強運の持ち主かもしれない。政権が窮地に陥っても、政敵がバタバタと自滅していく。 11月1日の特別国会で吉田茂首相以来となる4回目の首班指名を受けた後、首相は第4次内閣を発足させる。国会を見渡すと散り散りになった野党にはもはや政権を倒す力は残っていない。 来年の自民党総裁選で3選すれば総裁任期は東京五輪後の2021年9月までとなり、大叔父の佐藤栄作首相を超える戦後最長の超長期政権が完全に視野に入ってきた。戦後のサンフランシスコ講和条約を締結した吉田首相と沖縄返還を成し遂げた佐藤首相、2人の大宰相の在任記録を抜くといわれても、国民の熱狂的歓迎は起きそうにない。 そうした中、霞が関の若手官僚たちが1人の若手政治家を“促成栽培”している。総選挙で安倍首相以上の動員力を見せつけ、「自民党の新しい顔」となった小泉進次郎・筆頭副幹事長だ。進次郎氏を囲む勉強会ではとくにこの数か月、熱気あふれる議論が交わされてきた。“安倍内閣の小手先の働き方改革では高齢化問題はどうにもならない。定年延長ではなく、定年をなくすくらいまで政治が手を入れないと”“ネガティブな超高齢化社会に向けてどうやれば国民にポジティブなメッセージを送れるか。心に刺さる言葉が欲しいんだよね”「進次郎内閣」の政権構想をつくるためのブレーンストーミングである。この動きに神経を尖らせて情報収集している内閣官房の官僚が語る。「進次郎は1年ほど前から将来の首相の座を意識して官僚を集めた勉強会を立ちあげている。先行しているのは財務省の中堅官僚グループで、超高齢化社会をテーマに進次郎政権の柱となる政策づくりをしてきた。 それに対抗しているのが経産省の若手女性キャリアを中心とする勉強会。高齢化社会の産業構造や自動運転技術などの無人化社会、移民政策など分野ごとに各省の若手に積極的に声をかけて参加者が増えている。 最近では進次郎も同じ年代の官僚が多いこっちの勉強会が気に入って、“経済が停滞する時代にはどんなメッセージが共感を得るのか?”など、質問も多いと聞いている」 霞が関には将来有望と見込んだ若手政治家に官僚をはり付けて政策を勉強させる“先物買い”のシステムがある。その政治家が総理・総裁になったとき、ブレーンとして最も食い込んだ省庁が政策決定の主導権を握って政権をコントロールすることになるから、役所の浮沈がかかっている。 しかも、財務省と経産省が進次郎氏にはり付けている官僚は将来の次官候補と呼ばれるエリートで、議論の内容から見ても“遠い将来の総理”と考えているのではなく、ポスト安倍の有力候補とされる石破茂氏や岸田文雄氏と並ぶ位置づけで具体的な政権構想づくりを競っていることがわかる。 総選挙での応援演説が聴衆の心をつかみ、メディアが競うように報じたのも、勉強会での研究成果のようだ。※週刊ポスト2017年11月10日号
2017.10.30 07:00
週刊ポスト
東京五輪開会式 安倍、森氏、丸川氏の「我が物顔」見たい?
東京五輪開会式 安倍、森氏、丸川氏の「我が物顔」見たい?
 議院内閣制の日本では、総理大臣は国民の直接選挙ではなく、国会議員の投票で選ばれる。制度上はそうであっても、安倍晋三・首相が「国難突破」を掲げて解散・総選挙に踏み切り、有権者の信任を得た以上は、来年9月の自民党総裁選に出馬して3選を果たし、国政を担って危機を突破してみせなければならない。それが国民に対する責任というものだろう。 ところが、自民党内では、安倍首相は余力を残したまま退陣し、総裁選も実施せずに後継指名で「キングメーカー」の座をめざすという見方が浮上している。 その前例が1987年の「中曽根裁定」だ。中曽根康弘・首相(当時)は“死んだふり解散”で総選挙(1986年)に大勝して任期を1年延長したあと、影響力を残して退陣。その際、自民党は総裁選を行なわず、中曽根氏が安倍氏の父・晋太郎氏、竹下登氏、宮沢喜一氏の3人から後継総裁を選ぶことになった。中曽根氏は「後継総裁の指名について」という長い裁定文を書き上げ、3人を並べて「竹下登君」と後継指名し、力を見せつけたのである。「安倍さんも憲法改正の発議を花道に勇退し、キングメーカーの道を選ぶ。政権禅譲をちらつかせることで石破茂、岸田文雄ら総裁候補たちに忠誠心を競わせ、長く裏の権力を握ることができる」(細田派中堅) 1人の政治家が権力維持のために次の首相を決めるというやり方は国民不在の政治そのものだ。 しかも、政権禅譲説の効果はすでに現われている。森友学園・加計学園問題で「首相は説明責任が足りない」と批判していた石破氏は安倍批判を一切しなくなり、改憲に慎重だった政調会長の岸田氏は自民党の選挙公約の柱に「自衛隊明記」の改憲を盛り込んだ。 そして、ダークホースと見られている小泉進次郎氏は選挙応援の先頭に立って小池百合子・希望の党代表批判を展開した。禅譲期待のなせるわざだ。もちろん禅譲をちらつかせたうえで、“やっぱり続投する”という選択肢も残している。 五輪の栄誉も「安倍派」で独占する。安倍氏は首相を勇退すれば派閥領袖として政界に君臨し、東京五輪組織委員会会長にも就任、現会長の森喜朗氏は名誉会長に退くというシナリオが語られている。そして五輪開催年である2020年には次の都知事選が行なわれる。政治ジャーナリストの野上忠興氏が指摘する。「都民の支持を失った小池百合子氏の再選はまず難しい。自民党は安倍派の丸川珠代・前五輪相を擁立して新都知事が誕生する可能性があるでしょう」 東京五輪開会式に安倍氏、森氏、丸川氏が“我が物顔”で並ぶ光景を国民は見たいだろうか。 しかも、あれほど批判を浴びた加計学園問題も選挙が終われば、「禊は済んだ」と疑惑はなかったことにされ、文科省が先送りしていた岡山理科大学の獣医学部新設を認可して予定通り2018年4月に新キャンパスが開校する可能性が高い。 まさに安倍首相とその仲間たちだけが、我が世の春を謳歌する未来図が浮かび上がってくる。※週刊ポスト2017年11月3日号
2017.10.26 07:00
週刊ポスト
小池氏の愛読書『失敗の本質』から探る同氏の戦略的間違い
小池氏の愛読書『失敗の本質』から探る同氏の戦略的間違い
 小池百合子・東京都知事の「座右の書」が『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』(中公文庫)である。ミッドウェー海戦やインパール作戦など旧日本軍の失敗の事例研究を通じて組織運営の教訓を導いた名著として知られる。 今回の解散総選挙で「希望の党」の代表として選挙戦に臨んだ小池氏だが、当初目論んだであろう“政権を取る”という目論見は相当難しい状況になっている。総司令官の小池氏はどこで間違ったのか。「失敗の本質」をもとに探った。◆あいまいな戦略目的 希望の党の戦略は、自民党政権の打倒以外になかったはずだ。ところが、候補者擁立では希望への参加を拒否した野党候補にも刺客を差し向け、自民党では石破茂氏、野田聖子氏らの選挙区に候補者を立てないという中途半端な作戦をとった。 そのうえ、小池氏は戦いのさなかに「選挙後の自民党との連立」までほのめかしたのである。政権打倒が目的か、連立のために条件闘争が目的なのか、戦略目標がぶれたことで有権者の失望を買った。◆アンバランスな戦闘技術体系 希望の党は政治家として必要なスキルを身につけていない多くの新人を各選挙区に送り込んだ。中には9月に開校した若狭勝氏の政治塾「輝照塾」に参加したばかりの塾生も選ばれた。 技術的問題で全く戦果をあげることができなかった日本軍の秘密兵器「風船爆弾」(*注)を思わせる。【*注:太平洋戦争で日本陸軍が開発した気球に爆弾を搭載した兵器。約9300個が米国に向け発射された。268発が米国に到達したと見られている】◆大きな声は論理に勝る 組織運営の上でも小池氏は大きな失敗を犯した。選挙の直前に、都民ファーストの会から音喜多駿氏、上田令子氏の両都議が離党して批判会見を開いてイメージダウンを招いたことだ。2人の離党の理由は共通している。音喜多氏が語る。「トップダウンで論理的な説明がない。希望の党と都民ファーストが交わした政策協定も、午前中の議員総会で見せられて、午後には了承しろと。内容を精査する時間も与えられない」 上田氏も「庁内では役人が知事の意向を忖度して都政が硬直化している。そうした問題を知事に提起しようと思っても、文書質問するなといわれて知事に届かず、都民にも伝えることができない」と言う。 まさにトップの大きな声が論理に勝つという典型だ。◆データ解析が恐ろしくご都合主義 小池氏が得意とするのは奇襲作戦。安倍首相の解散に合わせた民進党の解党と希望への合流は大きな衝撃を与えた。だが、小池氏が「リベラル排除」を振りかざし、踏み絵を踏ませたことが批判を浴び、せっかくの勢いが逆風へと変わった。「小池さんはリベラル排除を言えば国民の喝采を浴びると読んだのだろうが、国民が求めていたのは安倍政権との対決で野党の批判合戦ではなかった。小池人気に便乗したい民進党議員はどんな踏み絵も踏むと甘く考えていた。党内の情報分析が全くできていなかった」(民進党系候補) 今からでも遅くない。小池氏はもう一度、「座右の書」を読み返してはどうか。※週刊ポスト2017年10月27日号
2017.10.17 16:00
週刊ポスト
小池知事が来春国政復帰も まさかの自民復党シナリオ
小池知事が来春国政復帰も まさかの自民復党シナリオ
 総選挙への出馬を断念した時点で、「希望の党」代表でもある小池百合子・東京都知事の「初の女性総理」の可能性は大きく遠のいた。少なくとも、国政復帰には次の総選挙を待たなければならないからだ。だが、早ければ来春にも小池氏が自民党総裁選出馬という、あっと驚く秘策があるという。「これは政権選択選挙になる」。小池氏は結党会見でそう語り、“黙って私に従え”と200人以上の候補者に誓約書を書かせた。 ところが、政権取りが難しい情勢になったと見るや、出馬を求める部下の声に背を向け、1人だけ戦線を離脱した。国民は彼女を「反自民の旗手」と見ていたが、そうではなかった。「小池氏の政権戦略は最初から自公との大連立をにらんでいた」。そう指摘するのは政治ジャーナリスト・野上忠興氏だ。「希望の党がたとえ総選挙に勝って政権をとることができたとしても、参院の勢力がほとんどないから非自民の枠組みでは政権運営はできない。小池氏はそれがわかっていたから、総選挙で自公を過半数割れに追い込み、そのうえで大連立をもちかけ、自公の参院勢力をあてにして小池政権をつくるというシナリオを描いていたはずです」 小池氏は、その戦略をあきらめたわけではないと見る。「当初の戦略は狂ったが、自公が総選挙で衆院の3分の2の勢力を失えば、小池氏は今度は北朝鮮による核危機の緊迫化を理由に、希望の党や維新の党を加えた“救国大連立”を自民党に持ちかけるのではないか」(野上氏) この自民・公明・希望・維新の「改憲大連立」ができる時が小池氏の出番となる。「国会で憲法改正の発議が行なわれるのは来年の通常国会で予算案が成立する3月以降になる。その前に、小池さんが都知事を辞職、同時に東京10区の若狭勝さんが議員辞職して4月に衆院補選と都知事選の入れ替えダブル選挙を行なえば、小池氏が国政、若狭氏が都知事選にスイッチすることができる」(小池ブレーン) 制度的には可能で、しかも小池氏の判断一つで仕掛けることができる。そうなれば国政に鞍替えした小池氏は、与党党首として連立政権で入閣する道が拓けることになる。◆野党崩壊の功労者 18年前にそっくりな状況があった。金融危機に直面した小渕政権が時の自由党の政策を丸呑みして自自公連立を組んだ。当時、自由党だった小池氏は経済企画政務次官として政府入りした経験を持つが、その後、小渕首相の急死をきっかけに自由党が連立残留を巡って分裂すると、小池氏は二階俊博氏らと政権に残り、自民党に合流して小泉政権で出世の階段を登った。「希望の党には自民党と組みたがっていた民進党保守派出身者が多い。改憲大連立となれば反対派が離党してそういう保守派だけが残り、最終的には自民党への合流に向かうのではないか。小池氏は野党第一党を崩壊させた功労者として自民党に復党、希望の党は自民党小池派に衣替えし、小池氏は、次は自民党総裁選で首相の座を狙うことになる」(同前)「政権選択」のつもりで反自民の希望の党に投票した有権者の1票が、小池氏の自民党総裁就任への踏み台になるわけである。小池氏は公約に、全国民に毎月一定額の生活費を支給する「ベーシックインカム」などをあげていたが、それも自身の野望のために国民にチラつかせた“撒き餌”だった可能性すらある。 民主党代議士経験を持つ政治評論家・木下厚氏は別のシナリオが考えられるという。「自公が過半数を維持しても、自民党が多少なりとも議席を減らせば党内で安倍降ろしが始まる。そういう状況で、小池氏が希望の党は首班指名で石破茂氏や野田聖子氏に投票すると宣言して自民分裂を仕掛ける可能性をみておくべきです。 失敗しても、希望の党は自民党反主流派とのパイプを誇示して与党に揺さぶりをかけられるし、自民分裂で石破政権ができれば小池氏は都知事を辞任し、民間人枠で副総理格の外務大臣か官房長官に就任することも可能です。衆院に鞍替えするのは次の衆院選か、あるいは補欠選挙でもいい」“自分ファースト”な素顔を見せ始めた小池氏なら、こんな奇策もやりかねない。※週刊ポスト2017年10月27日号
2017.10.16 11:00
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