まずは入社2年目から『ヒルナンデス!』を担当してきた水卜アナは、バラエティ色が付きすぎているのではないかという心配だった。日テレでも、あまりにもバラエティに慣れ過ぎてしまって、他の番組をやりづらくなった宮崎宣子アナや脊山麻理子アナという“前例”がいた。結果、二人ともフリーになって頑張ってはいるが、局アナ時代に、アナウンサーとしての仕事や勉強をどれだけ幅広くやれただろうかといえば、「完璧」ではなかっただろう。
だが、水卜アナの場合、メーンは『ヒルナンデス!』だったが、『24時間テレビ』の総合司会を任されたり、スポーツ中継のリポーターやニュース番組など、実はバランス良く担当していたのである。
それでも、まだ心配はあったようだ。そもそも水卜アナの知名度を劇的にアップしたのは「大食い」と「ぽっちゃり」。女子アナらしからぬキャラクターと、その親しみやすいルックスで「好きな女性アナウンサー」第一位に輝いたので、「食リポをやらない水卜アナ」に、どこまで数字があるのか?ということだ。
「好きな女性アナウンサーランキング」でライバルの加藤綾子や夏目三久のように画面の中央に立つだけで数字があるのか。はたまた、田中みな実のように、良くも悪くもチャンネルを留めさせる力が水卜アナにあるのか、という心配だ。
件の人気女子アナらと水卜アナの違いは一目瞭然。華やかで男性ウケする女性アナウンサーに水卜アナが勝てる点は、「女性に嫌われない」という、やや消極的な理由。なので、番組の起爆剤になるのか否かは未知数だったというワケだ。
が、そんな心配は無用だった。いや、そうした心配を跳ね返すほどの“アナウンサー力”が水卜アナにはあるのだということが、『スッキリ』出演の初週でよくわかった。
まずは見た目の安定感だ。タレント同様、小顔が全盛の女子アナ界にあって、水卜アナは立っていても座っていても、その顔に“存在感”がある。愛嬌あるルックスと体形は、F3やM3が「息子の嫁にしたいタイプ」に間違いない。他の在京民放局を眺めてみても、近年、この年代でこのタイプの女子アナは皆無なのだ。
そして、水卜アナは、表情を場面によってガラリと変えてくる。ワイプをきられた瞬間から完璧な表情で、ナレーションの文言に小さく頷いたり、VTRに驚いたり、くるくる表情を変える水卜アナ。しかも、いとうあさこに代表される“ワイプ芸”とは異なり、アナウンサーの範疇をキッチリ守っているものなのだ。
同じ女子アナでも、『スッキリ』のコメンテーターで、既にタレントになって久しい高橋真麻のワイプ内の表情はもっと大げさだし、眉間にシワを寄せたり、口を尖らせたり、「ありえない!」というような顔もよくする。真麻の場合、ともすると、それらに、わざとらしさが感じられることもあるのだけれど、水卜アナに、そうした部分はゼロ。