国際情報

北朝鮮軍 韓国に「ワタリガニ合戦」の軍事挑発仕掛ける恐れ

北朝鮮の最大の権力集団は軍部である。金正日存命中はシビリアンコントロールができていたが、その死で軍部をコントロールできる存在がいなくなったとコリア・レポートの辺真一編集長は指摘する。軍事挑発が起きる懸念も出始めている。果たしてどんなシナリオが考えられるのか、辺氏が分析する。

* * *
当然予想される核実験などに加え、もうひとつの危険なシナリオがある。それは5~6月の「ワタリガニ合戦」だ。例年、この時期になると黄海上の北方限界線(NLL)付近は、ワタリガニのシーズンとなり、中国、北朝鮮、韓国の漁船がひしめき合う。海上の軍事境界線であるため毎年トラブルが発生する。

つまり、コントロールを失った北朝鮮軍部がこの機に、海上の軍事境界線の問題に決着をつけるため、再び挑発に出る可能性があるのだ。

2010年3月、北朝鮮は韓国の哨戒艦を撃沈し、同年11月には延坪島を砲撃した。この2つの事件は一般に金正恩の「暴挙」とされている。だが、北朝鮮はこの2つのアクションを起こすことで、NLLが不当であることを韓国に認めさせ、米国を平和協定に引っ張り出す作戦だった。しかし、米韓ともに北朝鮮の手には乗らなかった。この作戦に失敗した北朝鮮は、次は米韓が妥協せざるを得ないようなもっと大きな軍事挑発を仕掛けてくるだろう。

韓国国防部長官は、北朝鮮が軍事挑発してきた時には、2度と手が出せないように徹底的に叩くと宣言しているように、韓国が応戦すれば、黄海上での局地戦が起きる危険があるのだ。

局地戦になった時、米国、韓国、そして国際世論がはじめて海上の境界線と平和協定の重要性を認識する。それこそが軍事国家、北朝鮮の狙いなのである。

※SAPIO2012年2月1・8日号

関連記事

トピックス

全米野球記者協会ニューヨーク支部主催のアワードディナーに出席した大谷翔平と、妻・真美子さん(左/時事通信フォト、右/提供:soya0801_mlb)
《真美子さんが座る椅子の背もたれに腕を回し…》大谷翔平が信頼して妻を託す“日系通訳”の素性 “VIPルーム観戦にも同席”“距離が近い”
NEWSポストセブン
司法省がアンドリュー元王子の写真を公開した(写真/Getty Images)
《白シャツ女性に覆いかぶさるように…》エプスタイン・ファイルで新公開されたアンドリュー元王子とみられる人物の“近すぎる距離感の写真” 女性の体を触るカットも
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
【2・8総選挙「大阪1〜10区」の最新情勢】維新離党の前職が出た2区、維新前職vs自民元職vs野党候補の5区で「公明党票」はどう動くか
NEWSポストセブン
なぜ実の姉を自宅で監禁できたのか──
《“お前の足を切って渡すから足を出せ”50代姉を監禁・暴行》「インターホンを押しても出ない」「高級外車が2台」市川陽崇・奈美容疑者夫妻 “恐怖の二世帯住宅”への近隣証言
NEWSポストセブン
東京拘置所(時事通信フォト)
〈今年も一年、生きのびることができました〉前橋スナック銃乱射・小日向将人死刑囚が見せていた最後の姿「顔が腫れぼったく、精神も肉体もボロボロ」《死刑確定後16年で獄中死》
NEWSポストセブン
間違いだらけの議事録は「AIのせい」(写真提供/イメージマート)
《何でもAIに頼る人たち》会社員女性が告白「ケンカの後、彼から送られてきた”彼女の方が悪い”とAIが回答したスクショ」ほどなく破局
NEWSポストセブン
国際ジャーナリスト・落合信彦氏
国際ジャーナリスト・落合信彦氏が予見していた「アメリカが世界の警察官をやめる」「プーチン大統領暴走」の時代 世界の“悪夢”をここまで見通していた
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト、2025年10月15日)
《頬がこけているようにも見える》高市早苗首相、働きぶりに心配の声「“休むのは甘え”のような感覚が拭えないのでは」【「働いて働いて」のルーツは元警察官の母親】 
NEWSポストセブン
ジェンダーレスモデルの井手上漠(23)
井手上漠(23)が港区・六本木のラウンジ店に出勤して「役作り」の現在…事務所が明かしたプロ意識と切り開く新境地
NEWSポストセブン
元日に結婚を発表した女優の長澤まさみ(時事通信フォト)
長澤まさみ「カナダ同伴」を決断させた「大親友女優」の存在…『SHOGUN』監督夫との新婚生活は“最高の環境”
NEWSポストセブン
国際ジャーナリスト・落合信彦氏
【訃報】国際ジャーナリスト・落合信彦氏が死去、84歳 独自の視点で国際政治・諜報の世界を活写 
NEWSポストセブン
薬物で急死した中国人インフルエンサー紅紅(左)と交際相手の林子晨容疑者(右)(インスタグラムより)
「口に靴下を詰め、カーテンで手を縛り付けて…」「意識不明の姿をハイ状態で撮影」中国人美女インフルエンサー(26)が薬物で急死、交際相手の男の“謎めいた行動”
NEWSポストセブン