やっぱり、どんなに能力ある選手でも、一年を通して力を発揮できなくては意味がないじゃないですか。体のケアについて、奥さんや家族の力は大きいと改めて感じました。今回松田選手の取材をするにあたり、キャンプイン前に家族揃っての食事を撮影させていただいたんですね。そこでタコが出てきたのですが、奥さんが「タコ食べていいの」と言ったんですよ。
――えっ? どうしてタコがダメなんですか?
司馬:ゲン担ぎじゃないのですが、野球の世界って三振のことを「タコ」って言いますよね。「三タコをくらった」とか。そこを奥さんは気を遣ったのです。松田選手は熱いもの、辛いものは苦手でカレーもダメなんです。ソフトバンクのベンチ裏の食堂で他の選手はカレーを食べますが、松田選手だけは絶対に食べない。でも、よくよく取材をしてみると、どうやら「ご飯が汚れるのがイヤなんじゃないの?」と奥さんはおっしゃるわけです。今まで私は多くの世界的に活躍する日本人アスリートを取材してきましたが、どの方も「米」への思いが強い。取材していて「ご飯が好き!」と言う人が多い。やはりお米は日本人にとってパワーの源なんだな、と思いましたよ。理屈ではもちろん炭水化物を摂らなくてはいけないのですが、メンタル的にも、米が重要なんだと思うことが多いです。
――奥さんの力添えが大きいということは、実は番組で焦点を当てているのは松田選手の奥さん(元女子アナ・柴田恵理さん)だったりするのでしょうか?
司馬:そうなんですよ! いやぁ、とにかく奥さんの奮闘ぶりがいい!彼が頑張っているのはもちろんですが、奥さんは、料理のことを勉強して頑張っています。
今まで、私たちの番組はアスリートにスポットを当てていました。でも、今回は、スポットライトは松田選手が浴びつつも、奥さんの思いに松田選手がどうこたえるか、というのが見どころかもしれません。食を通して、松田宣浩という一人の選手だけでなく、奥さんも入れることで、深い人間像を描くことができたのかな、と思います。
元々奥さんは、華やかな職業と思われるアナウンサーでしたが、今では完全に松田選手のサポーターになりました。奥さんは毎試合ビデオを撮っていて、二人で反省会をするらしいですよ。“反省会”とは言いつつ、実は彼女は松田選手が喋っているのを聞くだけらしいんですね。松田選手は、奥さんに喋ることで頭の整理ができる。これも内助の功。毎試合欠かさない日課らしいですよ。しかも、“彼は走ることも魅力の一つだから”と言って体重を増やさせない配慮もする。この奥さんのサポートも含め、ぜひ4月7日は楽しんでご覧いただければ、と思います。