芸能

是枝ドラマの超低空飛行「山口智子戦犯説」に女性作家が反論

“数字の乖離”への衝撃は大きかった。ただ、作家で五感生活研究所の山下柚実氏は、それが女優・山口智子への評価を決定づけるものではないはず、と指摘する。

  * * *
 有名な映画監督・是枝裕和氏が手がけた初の連ドラ。16年ぶりにドラマ復帰した山口智子。宮崎あおい、阿部寛、西田敏行などの豪華キャストと、鳴り物入りで始まったドラマ「ゴーイング マイ ホーム」(フジテレビ系)。

 ところが。事前の期待に反して視聴率は落ち続け、最終回を前に第9話は4.6%(12月11日放送)まで低下。そのあまりの人気のなさに、「戦犯」捜しが始まっています。「視聴者にウケなかった山口智子」(『リアルライブ』)といった見出しも。

 かつて30%に迫る視聴率のトレンディドラマで活躍し、“高視聴率の女王”として名を馳せた過去があるからでしょうか。不人気の理由を、山口智子が一人で背負っているような状況なのです。

「ホームドラマという設定が、トレンディ女優・山口のイメージにそぐわなかったのでは」(『アサヒ芸能』)

「松嶋菜々子が完全復活した“家政婦のミタ”のような意外性もない。そもそもドラマの“固定客”である若い女性はもう山口の全盛期を知らない世代になっている」

「山口の“普通っぽさ”はトレンディドラマにはハマりましたが、その雰囲気は今のドラマにはあまり合ってないことが見えてしまった。数字が取れないと他局も山口を使うのは躊躇するだろうし、女優として厳しい局面を迎えています」(『週刊文春』)

 でも、本当に山口さんのせい?

 よく考えてみよう。

「“家政婦のミタ”のような意外性もない」って、ドラマの骨格を設定するのは俳優の仕事じゃありません。脚本家や制作陣です。

「普通っぽさ」は、役者・山口智子が求めたのではない。脚本・演出を担当している是枝氏がドラマ世界で求めたこと。

「テーマやメッセージに縛られない、人の日々の生のありようを描くのが連ドラだと僕は思っているんです」と、このドラマについての是枝氏は語っています(「ゴーイング マイ ホーム」ウェブサイト)。

 セリフまわし、身体の動かし方、目つき、表情、間合い。役者とは、設定された「役」という枠組みの中で、そのキャラクターを全身全霊を使って表現する、ドラマの構成要素の一つです。いわば、ドラマ世界という構築物を作りあげる、有用な一つの素材であり道具に過ぎません。もちろん、道具を使いこなす人は別にいる。家であれば、設計者であり大工です。

 時には、枠を超えた輝きを、役者が自力で見せる瞬間もあるでしょう。しかしこのドラマでは、山口さんの他にも役者はみな、「普通っぽい」雰囲気を求められ、それにきちんと応じて演技をしていました。阿部寛も西田敏行も。山口智子だけではないはずです。

 今回のドラマの視聴率をもって、「山口智子」という女優の力量に結論を出し、可能性をばっさりと切り捨ててしまうのはあまりに惜しい。そう感じるのは私だけでしょうか?

 このドラマが多くの視聴者の関心を十分には惹けなかった理由とは何なのか? 「山口智子」というワンピースの外にも「戦犯」が存在してはいないでしょうか。

関連記事

トピックス

和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン
『徹子の部屋』に月そ出演した藤井風(右・Xより)
《急接近》黒柳徹子が歌手・藤井風を招待した“行きつけ高級イタリアン”「40年交際したフランス人ピアニストとの共通点」
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
《長野立てこもり4人殺害事件初公判》「部屋に盗聴器が仕掛けられ、いつでも悪口が聞こえてくる……」被告が語っていた事件前の“妄想”と父親の“悔恨”
NEWSポストセブン
世界的アスリートを狙った強盗事件が相次いでいる(時事通信フォト)
《イチロー氏も自宅侵入被害、弓子夫人が危機一髪》妻の真美子さんを強盗から守りたい…「自宅で撮った写真」に見える大谷翔平の“徹底的な”SNS危機管理と自宅警備体制
NEWSポストセブン
鳥取県を訪問された佳子さま(2025年9月13日、撮影/JMPA)
佳子さま、鳥取県ご訪問でピンクコーデをご披露 2000円の「七宝焼イヤリング」からうかがえる“お気持ち”
NEWSポストセブン
長崎県へ訪問された天皇ご一家(2025年9月12日、撮影/JMPA)
《長崎ご訪問》雅子さまと愛子さまの“母娘リンクコーデ” パイピングジャケットやペールブルーのセットアップに共通点もおふたりが見せた着こなしの“違い”
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
ウクライナ出身の女性イリーナ・ザルツカさん(23)がナイフで切りつけられて亡くなった(Instagramより)
《監視カメラが捉えた残忍な犯行》「刺された後、手で顔を覆い倒れた」戦火から逃れたウクライナ女性(23)米・無差別刺殺事件、トランプ大統領は「死刑以外の選択肢はない」
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン