国内

米に促された岸田外相の韓国外相への平身低頭握手は屈辱的敗北

 7月に行なわれたASEAN(東南アジア諸国連合)閣僚会議では、日本外交の“屈辱的敗北”を象徴する場面があった。岸田文雄・外相と韓国の尹炳世(ユンピョンセ)・外相の会談でのことだ。

 中国から外相会談を拒否された日本は、米国の仲立ちで韓国との関係修復をめざし、米中韓外相会談前に岸田外相は仲介役のケリー米国務長官から韓国の尹外相との握手を促されると、腰を低くして韓国側に歩み寄った。

 そこまで韓国に平身低頭な姿勢を示さなければいけないことにも驚くが、その後に行なわれた日韓外相会談では、さらなる追い打ちをかけられた。

 尹外相は「歴史問題は細心の注意を払わないと、民族の魂を傷つける」と、岸田外相に対して安倍政権の歴史認識見直しの動きを牽制したのである。

 日本外交が危ういのは、中国や韓国の対日強硬姿勢の裏に、それを認める米国の存在があることだ。

 米国はASEAN閣僚会議で同盟国の日本と韓国の間を取り持つ一方、米中外相会談では“日本抜き”で中国と北朝鮮の非核化を進めていくことで一致した。これまで日米韓で対応してきた対北朝鮮の連携から日本がはじき出されつつある。

 オバマ政権は安倍政権の発足以来、露骨な“日本パッシング”のアジア戦略をとっている。それは米国政府が相手をどのくらい重視しているかの目安のひとつである大統領との「会談時間」からも明らかだ。

 安倍晋三首相は就任前から「日米関係を立て直す」と意気込んでオバマ大統領との会談を希望していたが、就任直後の会談要請は門前払いされた挙げ句、今年2月の日米首脳会談は1時間45分で終わり、オバマ大統領はその後の共同会見にも応じなかった。

「こちらは遠くから来たっていうのに、笑顔もなかった。冷たいなァ」

 安倍首相は現地で周囲にそうこぼしたほどだ。

 ところが、5月の米韓首脳会談は2時間も行なわれ、オバマ大統領は朴大統領と共同記者会見に臨んだ。6月の習近平・国家主席との米中首脳会談は2日間、のべ8時間という異例の長さに及んだのだ。

※週刊ポスト2013年7月19・26日号

あわせて読みたい

関連記事

トピックス

高校時代の安福久美子容疑者(右・共同通信)
《「子育ての苦労を分からせたかった」と供述》「夫婦2人でいるところを見たことがない」隣人男性が証言した安福容疑者の“孤育て”「不思議な家族だった」
活動再開を発表した小島瑠璃子(時事通信フォト)
《輝く金髪姿で再始動》こじるりが亡き夫のサウナ会社を破産処理へ…“新ビジネス”に向ける意気込み「子供の人生だけは輝かしいものになってほしい」
NEWSポストセブン
中国でも人気があるキムタク親子
《木村拓哉とKokiの中国版SNSがピタリと停止》緊迫の日中関係のなか2人が“無風”でいられる理由…背景に「2025年ならではの事情」
NEWSポストセブン
トランプ米大統領によるベネズエラ攻撃はいよいよ危険水域に突入している(時事通信フォト、中央・右はEPA=時事)
《米vs中ロで戦争前夜の危険水域…》トランプ大統領が地上攻撃に言及した「ベネズエラ戦争」が“世界の火薬庫”に 日本では報じられないヤバすぎる「カリブ海の緊迫」
週刊ポスト
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
新大関の安青錦(写真/共同通信社)
《里帰りは叶わぬまま》新大関・安青錦、母国ウクライナへの複雑な思い 3才上の兄は今なお戦禍での生活、国際電話での優勝報告に、ドイツで暮らす両親は涙 
女性セブン
東京ディズニーシーにある「ホテルミラコスタ」で刃物を持って侵入した姜春雨容疑者(34)(HP/容疑者のSNSより)
《夢の国の”刃物男”の素顔》「日本語が苦手」「寡黙で大人しい人」ホテルミラコスタで中華包丁を取り出した姜春雨容疑者の目撃証言
NEWSポストセブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン
秋の園遊会で招待者と歓談される秋篠宮妃紀子さま(時事通信フォト)
《陽の光の下で輝く紀子さまの“レッドヘア”》“アラ還でもふんわりヘア”から伝わる御髪への美意識「ガーリーアイテムで親しみやすさを演出」
NEWSポストセブン
ニューヨークのイベントでパンツレスファッションで現れたリサ(時事通信フォト)
《マネはお勧めできない》“パンツレス”ファッションがSNSで物議…スタイル抜群の海外セレブらが見せるスタイルに困惑「公序良俗を考えると難しいかと」
NEWSポストセブン
中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン