国際情報

「安倍政権はどうせ1年で潰れる」の予測が外れ習近平氏困惑

 香港では日中関係について、険悪な関係が長期化し、改善は安倍晋三政権後になるとの悲観的な見方が出ている。

 北京の中国外交筋が明らかにしたところによると、中国の外交政策を統括する中国共産党中央外交指導小組(グループ)は9月に入り、対日政策を見直した。今後も沖縄県尖閣諸島などの領土問題では妥協しないとしながらも、経済面を中心に対日交流を拡大するという新たな外交指針を打ち出したという。

 なぜ、習近平政権は今になって方針を見直すのか。「中国指導部は当初、安倍政権は1年程度で退陣を余儀なくされると予測していたが、どうもそうならないと考え始めた」と同筋は明かす。

 民主党の鳩山、菅、野田、その前の自民党の安倍、福田、麻生という6代の政権は、いずれもほぼ1年で交代してきた。安倍氏はその後を継いで首相に返り咲いたわけだが、実際にはその間に自民党の改革が進んだわけでもない。

「自民党の体質が変わったわけでもなく、東日本大震災による被害からの復興、福島の原発問題の解決、さらに日中関係など、難問も多く抱えていることから、安倍首相は前回同様、1年くらいで政権を投げ出すのではないか」

 中国政府のシンクタンク、中国社会科学院や中国外務省などの対日外交専門家の多くはそう予測していた。習指導部はそれらの予測をもとに、安倍政権退陣後に、尖閣問題を含めた新提案を行ない、日中関係を中国主導で立て直す青写真を描いた。

 ところが、あに図らんや、安倍政権は閣僚が辞任するなどのスキャンダルもなく、株価も上昇、さらに2020年の東京五輪開催まで決めて順風満帆といったところ。習指導部は完全に予想が外れた。

 そのなかで、日本企業の対中投資が激減していることに中国指導部は慌て始めた。

 日本の国際収支統計によると、今年上半期(1~6月)の日本企業の対外直接投資で、東南アジア諸国連合(ASEAN)向けは約1兆円に達し、前年同期比の4倍と過去最高の伸びを記録。一方で対中投資は4701億円で、同18%減と1990年以来最大の落ち込みとなった。

 中国社会科学院世界経済・政治研究所の徐奇淵・副研究員は「これまでは日中間の政治関係が冷え込んでも経済交流は活発な状態を維持するという『政冷経熱』が続いてきたが、昨年の反日デモ以来、『政冷経冷』に変化している。この新局面を両国の指導者は認識しなければならない」と警告する。

 しかし、中国側は振り上げた拳をどのように下ろすかに苦慮しているようだ。

 安倍首相と習主席は9月5日、サンクトペテルブルクで開幕した20か国・地域(G20)首脳会談の直前、控え室で数分間、言葉を交わしたが、習主席は「釣魚島(尖閣諸島の中国名)と歴史認識などの敏感な問題を正確に処理しなければならない」などと安倍首相を牽制し、これまでの姿勢を踏襲した。

 対する日本は「領土問題など元々存在しない」という立場だけに、両者の言い分は、相変わらず平行線のままである。

 安倍首相は「対話の扉は開いている。ただ、対話を焦るつもりはない」と主張しており、日中間の意地の張り合いは当分続きそうだ。

 中国側は「ポスト安倍政権」に期待し、新たな日本の政変が起きるのを待っているようだが、中国政治は現在、腐敗問題や改革の進め方などをめぐって揺れに揺れており、先に倒れるのは案外、習近平指導部である可能性も否定はできない。

■文:ウィリーラム 翻訳・構成/相馬勝

※SAPIO2013年11月号

トピックス

大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
結婚を発表したPerfumeの“あ~ちゃん”こと西脇綾香(時事通信フォト)
「夫婦別姓を日本でも取り入れて」 Perfume・あ〜ちゃん、ポーター創業の“吉田家”入りでファンが思い返した過去発言
NEWSポストセブン
(写真右/Getty Images、左・撮影/横田紋子)
高市早苗首相が異例の“買春行為の罰則化の検討”に言及 世界では“買う側”に罰則を科すのが先進国のスタンダード 日本の法律が抱える構造的な矛盾 
女性セブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン