国内

国交省 秘密保護法案紛糾の陰で「スーパー堤防」事業を再開

 霞が関ではいよいよ、年末の予算編成が本格化、各省は予算獲得に向けて燃え上がっている。本誌名物の覆面官僚座談会では財務省中堅官僚A氏、経済産業省中堅官僚B氏、総務省ベテラン官僚C氏、防衛省若手官僚D氏に集まってもらい、公共事業をめぐる暗闘を語ってもらった。〈司会・レポート/武冨薫(ジャーナリスト)〉

──あなたがたは国会中、石破茂・自民党幹事長の「デモはテロ」発言などで特定秘密法案の審議が紛糾していたとき、本音では「これで他の法案を通しやすくなる」とほくそ笑んでいたんでしょう。

経産B:一番喜んでいるのは国交省。国土強靱化基本法に加えて、交通政策基本法も成立させた。これには採算が合わない地方の鉄道路線や離島航路などへの財政支援に道を開く内容が盛り込まれている。旧建設官僚が国土強靱化で公共事業を増やし、旧運輸官僚も負けじと補助金を増やそうとしている。消費増税の税収が入るとはいえ、それを認める財務省も太っ腹だね。

財務A:交通政策基本法は経産省との共管。おたくも一枚かんでいるじゃないか。

防衛D:国交省は浮かれすぎです。国土強靱化法を先取りして、この秋から、民主党政権の事業仕分けで中止されていた悪名高いスーパー堤防事業を再開させた。完成まで400年かかるといわれ、会計検査院からも無駄を指摘されていた事業です。そんな目立つことをするから不信感を持たれる。

──スーパー堤防は、防災というより、堤防の外側の低くなっている地面を同じ高さまで広範囲に盛り土し、住民を立ち退かせて高層マンションを建てるという事実上の都市再開発事業。総事業費は数十兆円かかるとみられている。いつの間に予算が復活していたのか?

経産B:国交省は安倍内閣が発足直後に打ち出した10兆円景気対策にこっそり東京の荒川などのスーパー堤防事業の予算の一部を盛り込んでいた。まず事業再開を既成事実化し、国土強靭化法の成立を梃子に、来年度予算で本格化させる作戦だ。財務省も公共事業を増やすことは消費増税法案を成立させたときの自民党との交換条件だったから、目をつぶって認めた。

総務C:荒川の現堤防は200年に一度の洪水にも耐えるようにできている。しかも、東京など大都市のウイークポイントは堤防の決壊ではなく、集中豪雨で下水道や側溝の排水能力を超えて溢れる内水氾濫だから、スーパー堤防はいらない。そんな金があるなら、むしろ遅れている地方河川の堤防整備に回すべきなんだ。

関連キーワード

トピックス

田久保市長の”卒業勘違い発言”を覆した「記録」についての証言が得られた(右:本人SNSより)
【新証言】学歴詐称疑惑の田久保市長、大学取得単位は「卒業要件の半分以下」だった 百条委関係者も「“勘違い”できるような数字ではない」と複数証言
NEWSポストセブン
本拠地で大活躍を見せた大谷翔平と、妻の真美子さん
《真美子さんと娘が待つスイートルームに直行》大谷翔平が試合後に見せた満面の笑み、アップ中も「スタンドに笑顔で手を振って…」本拠地で見られる“家族の絆”
NEWSポストセブン
“高市効果”で自民党の政党支持率は前月比10ポイント以上も急上昇した…(時事通信フォト)
世論の現状認識と乖離する大メディアの“高市ぎらい” 参政党躍進時を彷彿とさせる“叩けば叩くほど高市支持が強まる”現象、「批判もカラ回りしている」との指摘
週刊ポスト
国民民主党の玉木雄一郎代表、不倫密会が報じられた元グラビアアイドル(時事通信フォト・Instagramより)
《私生活の面は大丈夫なのか》玉木雄一郎氏、不倫密会の元グラビアアイドルがひっそりと活動再開 地元香川では“彼女がまた動き出した”と話題に
女性セブン
バラエティ番組「ぽかぽか」に出演した益若つばさ(写真は2013年)
「こんな顔だった?」益若つばさ(40)が“人生最大のイメチェン”でネット騒然…元夫・梅しゃんが明かしていた息子との絶妙な距離感
NEWSポストセブン
前伊藤市議が語る”最悪の結末”とは──
《伊東市長・学歴詐称問題》「登場人物がズレている」市議選立候補者が明かした伊東市情勢と“最悪シナリオ”「伊東市が迷宮入りする可能性も」
NEWSポストセブン
日本維新の会・西田薫衆院議員に持ち上がった収支報告書「虚偽記載」疑惑(時事通信フォト)
《追及スクープ》日本維新の会・西田薫衆院議員の収支報告書「虚偽記載」疑惑で“隠蔽工作”の新証言 支援者のもとに現金入りの封筒を持って現われ「持っておいてください」
週刊ポスト
ヴィクトリア皇太子と夫のダニエル王子を招かれた天皇皇后両陛下(2025年10月14日、時事通信フォト)
「同じシルバーのお召し物が素敵」皇后雅子さま、夕食会ファッションは“クール”で洗練されたセットアップコーデ
NEWSポストセブン
高校時代の青木被告(集合写真)
【長野立てこもり殺人事件判決】「絞首刑になるのは長く辛く苦しいので、そういう死に方は嫌だ」死刑を言い渡された犯人が逮捕前に語っていた極刑への思い
NEWSポストセブン
問題は小川晶・市長に政治家としての資質が問われていること(時事通信フォト)
「ズバリ、彼女の魅力は顔だよ」前橋市・小川晶市長、“ラブホ通い”発覚後も熱烈支援者からは擁護の声、支援団体幹部「彼女を信じているよ」
週刊ポスト
米倉涼子を追い詰めたのはだれか(時事通信フォト)
《米倉涼子マトリガサ入れ報道の深層》ダンサー恋人だけではない「モラハラ疑惑」「覚醒剤で逮捕」「隠し子」…男性のトラブルに巻き込まれるパターンが多いその人生
週刊ポスト
ソフトバンクの佐藤直樹(時事通信フォト)
【独自】ソフトバンクドラ1佐藤直樹が婚約者への顔面殴打で警察沙汰 女性は「殺されるかと思った」リーグ優勝に貢献した“鷹のスピードスター”が男女トラブル 双方被害届の泥沼
NEWSポストセブン