スポーツ

学生結婚して一児の父親だったドラ1 監督との粋な師弟関係

 かつてのプロ野球は人間臭さに溢れていた。スポーツライターの永谷脩氏が、「子連れルーキーの開幕戦」を振り返る。

 * * *
 今では滅多に見なくなったが、かつては「学生結婚」をしていたプロ野球選手がいた。代表格は西鉄三連覇の立役者・三原脩。早大時代、野球部合宿所「安部寮」近くの喫茶店のマドンナに一目惚れ。寮を抜け出しては会いに出かけ、入れ込みすぎて、一時は野球部追放になりかけたほどだった。
 
 それから約30年後の1977年。同じく学生結婚で、しかも一児の父親という変わり種が、大洋にドラフト1位で指名された。福岡・西南学院大卒の門田富昭。看護婦をしていた5歳年上の共子夫人との出会いは、門田がケガで入院していたことがきっかけ。門田の一目惚れで、逢瀬を重ねるうちに一児を授かったのだ。まだ大学生だった門田にかわり家計を支えたのは、育児をしながら看護婦として働いた夫人だった。
 
 門田は卒業後プロには指名されたが、活躍できるかは未知数。
 
「プロとして一人前になったら、必ず呼ぶ。待っていてくれ」
 
 門田は妻子にそう言い渡して、単身、横浜に赴任する。
 
 幸運にも、大洋では人に恵まれた。当時の監督・別当薫は慶大卒の粋人。自身も学生時代に同棲生活が発覚し、寮を追われた経験もあるから話も早い。「いい仕事をする人間にはその位の元気がなけりゃ」と理解を示してくれた。
 
 しかも入団早々、いきなり開幕カードで起用される。当時の大洋は平松政次、野村収、斉藤明雄らがいたが、そんな中での大抜擢だった。別当といえば近鉄監督時代、高校を中退して入団した土井正博(のち西武)を一人前に育て上げた実績があり、新人発掘には定評があった。実際門田は、小倉商高時代には、「西の江川(卓)」といわれたほどの逸材であった。
 
 栄えある開幕カード登板。夫人は夫の投げる姿を一目見たいとは思いながらも、場所は初めての横浜であり、「家計を考えるとそんな余裕はない」とすっかり諦めていた。そんな夫人の元に、新幹線のチケットとホテルの予約票が送られてきた。添えられていた手紙には、「ご主人の成績もあなた次第。苦労を承知で頑張り続けて下さい」と、監督名で手紙が添えられていた。
 
 実は開幕前、大洋のマネージャー・亀井進が別当監督に呼ばれ、門田が開幕カードで投げる日に合わせて妻子が上京できるよう手配せよ、費用は監督交際費で処理しておくようにと指示されていたのである。しかも妻子が帰福する際には『崎陽軒』のシウマイまで用意する心配り。これを後に知った門田は、「この人のために」と懸命に投げ続けることを誓い、初年から39試合に登板するフル回転を見せた。

関連記事

トピックス

2025年11月、ホーコン王太子とメッテ=マリット妃
《彼女は17歳だよ。きっと楽しいと思う》ノルウェー王室激震、エプスタイン元被告と次期王妃の“黒塗り”メール――息子マリウスは“性的暴行”裁判渦中 
NEWSポストセブン
現地では大きな問題に(時事通信フォト)
《トゥクトゥク後部座席での行為にタイ現地の人々が激怒》フランス人観光客の“公開露出”に目撃者は「丸見えだった」 入国ブラックリストに
NEWSポストセブン
父・落合信彦氏の葬儀で喪主を務めた落合陽一氏
「落合信彦の息子という記述を消し続ける時代があった」落合陽一氏が明かした、父について語り始めた理由“人の真価は亡くなった時に分かる”【インタビュー】
NEWSポストセブン
本来であれば、このオフは完成した別荘で過ごせるはずだった大谷翔平(写真/アフロ)
《大谷翔平のハワイ訴訟問題》原告は徹底抗戦、大谷サイドの棄却申し立てに証拠開示を要求 大谷の“ギャラなどの契約内容”“資産運用の内幕”が晒される可能性も浮上 
女性セブン
表舞台から姿を消して約1年が経つ中居正広
《キャップ脱いだ白髪交じりの黒髪に…》「引退」語った中居正広氏、水面下で応じていた滝沢秀明氏からの“特別オファー” 
NEWSポストセブン
菅直人・元首相(時事通信)
《認知症公表の菅直人・元総理の現在》「俺は全然変わってないんだよ」本人が語った“現在の生活” 昼から瓶ビール、夜は夫婦で芋焼酎4合の生活「お酒が飲める病気でよかった」
NEWSポストセブン
弾圧されるウイグルの人々(日本ウイグル協会提供)
【中国・ウイグル問題】「子宮内避妊具を装着」「強制的に卵管を縛る…」中国共産党が推進する同化政策・強制不妊の実態とは…日本ウイグル協会・会長が訴え
NEWSポストセブン
大場克則さん(61)(撮影/山口比佐夫)
《JC・JK流行語大賞は61歳》SNSでバズる“江戸走り”大場さんの正体は、元大手企業勤務の“ガチ技術者”だった
NEWSポストセブン
中村獅童と竹内結子さん(時事通信フォト)
《一日として忘れたことはありません》中村獅童、歌舞伎役者にならなかった「竹内結子さんとの愛息」への想い【博多座で親子共演】
NEWSポストセブン
週末にA子さんのマンションに通う垂秀夫氏
垂秀夫・前駐中国大使が中国出身女性と“二重生活”疑惑 女性は「ただの友達」と説明も、子供を含む3ショット写真が本物であることは否定せず 現役外交官時代からの関係か
週刊ポスト
青木淳子被告(66)が日記に綴っていたという齋藤受刑者(52)との夜の情事を語ったのはなぜなのか
《不倫情事日記を法廷で読み上げ》「今日は恥ずかしいです」共謀男性社長(52)との愛人関係をあえて主張した青木淳子被告(66)が見せていた“羞恥の表情”【住職練炭殺人・懲役25年】
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長も流出の被害にあった過去が(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長の誕生日会》かつては「ご祝儀1億円」の時代も…元“極道の妻”が語る代替わりのXデー