国際情報

落合信彦氏 北朝鮮に関し、金日成の正体など嘘まみれと指摘

 遅々として進まない拉致交渉。一体何が問題の本質にあるのか。そして、日本は北朝鮮という国家をどのように解釈すればいいのか。作家の落合信彦氏は、こう警告する。

 * * *
 何度騙されれば気が済むのか。北朝鮮との拉致交渉において、北朝鮮側が「調査結果は報告できないが、北朝鮮に来れば教えてやる」と言い出したことを受けて、政府は北に調査団を派遣するという。そもそも北は最初から調査する気など全くなかった。長くあの国を取材してきた私からすれば、怒りを通り越して呆れるほかない。
 
 北朝鮮という国には、信義という言葉はない。あるのは、その場しのぎのウソだけだ。
 
「今度こそ調査をやる」と騙り、調査期間を引き延ばすだけ引き延ばし、その間にできるだけ日本からカネを引き出す。北の狙いはそれしかない。事実、国連次席大使をはじめとする北朝鮮の国連代表部は10月7日、ニューヨークの国連本部で記者会見を開き、「拉致問題は完全に解決済みだ」とした上で、拉致の調査と制裁解除に関する日朝間の合意について、「日本は義務を果たすべきだ」と堂々と言ってのけた。
 
 このことは日本ではほとんど報じられていない。日本人は北朝鮮に不毛な期待をするあまり、現実から目を背けているのである。
 
 そもそも北朝鮮という国は、その出自からしてウソまみれである。この国は、若い頃から満州で抗日パルチザンを組織していた金日成が、日本軍を打ち破って1945年8月に凱旋帰国したという神話の上に成り立っている。しかし、実際にはこの頃、金日成はソ連のハバロフスクでソ連軍の偵察旅団大尉として働いており、しかも名前は金聖柱という本名を名乗っていた。
 
 実は金日成という人物は当時別にいて、確かに満州で日本軍相手に戦っていたのだが、終戦時には36歳で日本軍に殺されていた。彼はその頃、朝鮮において伝説的な英雄だった。そこでソ連のスターリンは、彼の名声を利用するために、金聖柱大尉を金日成になり替わらせたのである。
 
 これが北朝鮮建国神話の真相だ。ウソで塗り固められた土台に立つこの国はその後、金正日、金正恩と代替わりしても、建国以来のウソつき体質は全く変わっていない。その上、指導者の質は代ごとに劣化しているのだから、始末が悪い。「唐様で貸し家と書く三代目」、三代目が家業を潰すという意味だが、金正恩にはうってつけの言葉だ。

 2代目の金正日は知性を感じさせない男だったが、3代目は輪をかけてひどい。太りすぎで脚を痛めたとかで最近まで動向が不明だったが、私は暗殺された可能性も疑っていた。粛清した張成沢を慕うグループを中心に、彼に恨みを持つ人間など山ほどいるからだ。
 
 その後、脚を引きずる写真が公開されたが、果たして本人かどうかは定かではない。影武者である可能性もあるからだ。これは錯覚かもしれないが、顔が本物よりきりっとしていた。金正日も、数人の影武者を抱えていた。
 
 ただし、金正恩の場合、影武者を作ることは容易ではあるまい。あれほどの「金満太り」をした人間など、相当のコストをかけなければ養成できまい。

※SAPIO2014年12月号

関連記事

トピックス

林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
「パー子さんがいきなりドアをドンドンと…」“命からがら逃げてきた”林家ペー&パー子夫妻の隣人が明かす“緊迫の火災現場”「パー子さんはペーさんと救急車で運ばれた」
NEWSポストセブン
豊昇龍
5連勝した豊昇龍の横綱土俵入りに異変 三つ揃いの化粧まわしで太刀持ち・平戸海だけ揃っていなかった 「ゲン担ぎの世界だけにその日の結果が心配だった」と関係者
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン