だが、ここでふと疑問になるのは、それほど簡単に結婚相手の死体が見つかるのか、という問題だろう。実は、そこには産業が存在していると語るのは、前出の夕刊紙記者である。
「つまり人に知られないように墓を掘り返して死体を盗み、それを地下のマーケットで売りさばくという組織の存在です。彼らは、マフィアというより情報に精通している組織です。やはり市場で最も高い値が付くのが若い女性だとされています。ですからどこそこの村で若い女性が死んだという情報をいち早く得て、それを掘り返しに行くのです。このとき、掘り返したことを遺族に気付かれたら大変なことになります。ですから遺族に悟られずに死体を持ち出すことも重要で、犯罪グループはそうした技術にも長けていると考えられています」
新華ネットが配信(2014-10-30)した記事によれば、今年六月、河北省巨野県の城北派出所の警官が、電気自動車を専門に盗む自動車窃盗グループを摘発した際、その犯罪グループの構成員の一人が、彼らがこのほかに死体の盗掘と密売に関与していることを自白したという。
メンバーの王によると、死体盗掘・密売犯罪グループは全部で八人で、直近の犯行では三月に同県田橋鎮で死後わずか三カ月の女性の死体を掘り出して売ったのだという。支隊を売った値段は一万八千元(約三十万六千円)だったという。また王は、山東省のテレビ局のインタビューを受けて以下のようにも答えている。
「骨がむき出しになってしまったような古い死体は、ほとんど値段がつかないが死んだばかりの死体には一万六~七千元から二万元で売り飛ばすことができる」
王たちのグループが盗んだ死体は、その後の追跡調査によりいくつかの町を経て邯鄲市の犯罪グループの劉という人物の手に渡ったことが判明した。劉の供述によると、死体は同市のちいさな医院の遺体安置所に置かれていて、その間に死体の買い手を探したというのだが、死体の買い手が見つかるまでにわずか一週間しかかからなかったというから、中国社会における需要の大きさがうかがい知れる。
ちなみに最終的に同省武安市の買い手に引き渡された死体は、三万八千元の値で取引されたという。